2015年01月30日
イノベーションあふれる社会に/ENERGIZE GROUP代表取締役 生嶋健太
企業家倶楽部2015年1/2月号 モチベーションカンパニーへの道 vol.13
2009年に同社を設立し、「コスト改善プロジェクト」と経営者向けの「マネジメントコーチング」を主軸としたコンサルティングを行っている。昨年度の売り上げは約6億円。6期目の今期は20億円の売り上げ目標を掲げる。
「コスト改善プロジェクト」は現行の納入業者との仕入れ価格交渉を支援するもので、成果報酬型の2年契約を結ぶ。長年付き合いのある業者を変える必要がないため、つながりを重視する企業から支持され、現在約300社と契約、売り上げの7割を占める。
2012年よりスタートした「マネジメントコーチング」は、米国マネジメントアソシエーツ社のハワード・ゴールドマンが提唱する「すごい会議」の認定コーチとして、会議を通じた経営手法を提供する。
現在もクライアント数は増え続け、業績は売り上げの3割程度。2014年度中に売り上げ比率5割を目指し、会社の主力としていく考えだ。
「創業時、志や素晴らしいアイデアがあったわけではなかった」
そう語る生嶋は大学卒業後、中小中堅企業向け新事業としてフランチャイズを提案するコンサルティング会社に就職した。みるみる頭角を現し、現在エナジャイズの副社長である秦卓民と営業のトップを競った。
数年後、生嶋は秦とともに、新規立ち上げの会社に役員として迎えられたが、事業はなかなか軌道に乗らず人員整理の話が持ち上がった。「俺らが辞めますから、どうか、あいつらを残してやってください」
経験の浅い新人社員から順に退職を迫られる可能性が高まる中、若手の雇用継続のために生嶋と秦は退職。生嶋は子供が生まれたばかりで、到底リスクを取れるような状況ではなかったが、起業へと舵を切った。2009年8月末のことである。
「秦君がいなかったら起業という決断はしなかったでしょうね。ただ、何か売れるだろうという自信はありました」
前社でも、生嶋と秦は2人で年間4億円ほど売り上げるほどのやり手。引継ぎ作業に追われながらも、10月には創業を果たした。思わず誰かに伝えたくなるか。それが、何かを売る上で2人が定めた基準だった。
しかし準備期間もなく、言わば成り行きの起業である。「全く売れない。正直、売れるものなら何でも売りそうになった」と生嶋は苦笑する。生嶋らの業績を見込んで持ち込まれるのはフランチャイズの販売話ばかり。根本から企業の成功に携わりたいという思いが強く、固辞し続けていたが、企業資金は見る見る減っていく。最終的にはフランチャイズ本部に生嶋が深く入ることを条件に、ラーメン店のコンサルタントを引き受けることになった。
しかし、より顧客重視のサービスが実現出来たとはいえ、結局は以前と同じ事業内容である。新事業を模索し続けていた折、知人が購買コスト削減ビジネスを行っていることを知った生嶋。2008年のリーマンショックの影響が大きく、企業で盛んにコストカットが求められていたことを受け、コスト削減事業を開始した。
当初は、入札で最安値の価格を提示した企業から購入するリバースオークションの手法を試みるが、つながりを大切にする日本の商習慣に合わないと判断し、現在行われている独自の手法を開発した。
もちろん、創業時の思いは変わらない。目の前の顧客に喜んでいただけることに全力を尽くし、顧客が自分の大切な人に思わず教えたくなるようなサービスを心がけている。「大量のダイレクトメールと1日100本の電話でアポイントを取る営業は、非効率的で社員のモチベーションが上がりません」と語る生嶋。創業時から新規営業は行わず、全て顧客からの紹介だというから驚きだ。
創業から早5年。当初は生嶋らをよく知るスタッフばかりだったが、3年を過ぎ、新卒や中途採用を始めるとスタッフが定着しなくなってきた。企業理念の共有がいかに大切か実感した生嶋は、同社の基本コンセプトを明文化した。
「Re. DesignEng ineering により人と組織がドラマティックにトランスフォームする機会を提供する事でイノベーションがあふれる社会を創造する」
すなわち、自身の限界を取り払い、価値を再設計することで、劇的に内側から変わる機会を顧客に提供していくという。「トランスフォームとは、Aから全く異なるBへと変化するのではなく、A+、A++へと進化していくこと」と説く生嶋。それができれば、必ず売り上げはついて来ると断言する。
「世の中に0から生まれるものはありません。これまで無かったものも、実は従来あった0.1と0.1が組み合わさることにより生まれているのです」
スタッフ自身がトランスフォーム出来なければ、顧客にそうした機会を提供出来るはずがないという考えから、社内では使われる言葉も明確に定義付けがされている。例えば、背伸びしたら届く数字は「計画」、どうあがいても現状では届かない数字は「目標」という具合だ。
売り上げ目標で例えるなら、前期比120%は「計画」、同300%は「目標」である。120%は睡眠時間やコストの無駄を削れば達成できるかもしれないが、継続成長が見込めないため、いずれは限界を迎える。一方、前期比300%を達成するためには思考法そのものを変えるしかない。
これを「プロセスチェンジ」と呼び、それが出来れば売り上げが拡大できるだけでなく、新たな問題が起こった時にも臨機応変な対処が可能になるという。
エナジャイズは「人材そのものが商品」という考えから、社員教育にコストを惜しまない。年間で1人あたり500万円もの予算を計上。社員は全員アメリカでゴールドマンのコーチングを受ける。これは今後も続けていくつもりだ。
2015年4月には事務所を移転し、3Dプリンターを備えたラボも作るという。「プロダクトは世界を変えられる」と楽しげに語る生嶋は、将来的にはモノづくりに関わりたいと考えている。
そんな生嶋の個人的な夢は、学校を作ること。「若い人たちが夢を見る支援をしたい」と目を輝かせる。同社の企業理念、「人と組織がドラマティックにトランスフォームする」最たるところは教育機関だという考えが根底にはある。
2016年には新卒比率を50%にする計画だ。経営的にも「伸び代の大きな若い人を集めたらイノベーションが起きやすい」と言う生嶋は、自身もまだ30代半ば。彼も含めて社会に影響をもたらしていくに違いない。
社名の頭文字であるeとgをかたどった同社のロゴは、全身を使って一生懸命走る彼らの姿だという。それは、生嶋の描く未来へと走っていく同社のスタッフらの前向きな姿そのものと言えるだろう。(庄司裕見子)
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