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トピックス -企業家倶楽部

2015年02月27日

銀だこスタイルで世界を駆ける/ホットランドの21世紀戦略

企業家倶楽部2015年4月号 ホットランド特集第1部


たこ焼チェーン「築地銀だこ」を主力に、国内外に和のファーストフード588店舗を展開するホットランド。2014年9月には東証マザーズに上場を果たし、2014年12月期は売上273億円、経常利益20億円を達成、快進撃を続ける。率いる社長の佐瀬守男は、強い単品、実演販売など、銀だこスタイルを構築、さまざまな業態開発に余念がない。そしてこの4月、米国のザ・コーヒービーン&ティーリーフと提携、カフェ事業に進出、先行するスターバックスを超えると豪語する。根っからのアイデアマンで、世界中に和のファーストフードを展開したいと意気込む佐瀬は未来戦略を語った。( 文中敬称略)

※ホットランド佐瀬守男社長へのインタビュー記事はコチラ!!



銀だこ野武士軍団が集結

 2015年1月22日13時30分、東京・高輪の会議室には120人以上の男たちが集まっていた。細長い会場は緊張した面持ちの男たちで埋め尽くされている。と、一人のスラリとした男が会場の前方に進み出て、席に着いた。男の名は築地銀だこで知られる、ホットランド社長の佐瀬守男である。この日はホットランドのFCオーナー総会が開催されるのだ。まずはオーナー会会長澤野寛之の挨拶、次いでFC各委員会の活動報告。会社側からの説明が続く。

 そして、いよいよ佐瀬が登壇する。熱気に満ちた会場には一瞬、緊張感が漂う。

 佐瀬が口を開く。「昨年9月、マザーズに上場しましたが、株価も3000円台を維持、業績も順調。前期は売上273億円を達成、利益も上々です。皆さんも株主として3月の株主総会にはぜひ出席していただきたい」



銀だこスタイルは外食の時流に乗っている

「世界に和のファーストフードを広げたいというビジョンの元、店舗展開をしていますが、今、我々のビジネスモデルが注目されています。5年前からアメリカのファーストフードの流れが変化している。今は実演販売、お客様の目の前で作って見せるという売り方が流行っている。ブリトー専門店『チポトレ・メキシカン・グリル』の上場時価総額は2兆円以上、特長は冷凍食品を使わず、全て手づくり。ケンタッキーフライドチキンは輝きを失っているが、『チックフィレイ』はFC希望者が5000社もウェイティング中です。これまでのマクドナルド、ケンタッキーから流れが変わってきているというのが現状です」

「我々は単品で勝負し、実演販売を以前から実施してきた。これは米国の成功企業と同じ。川上から川中の工場、そして最後はお客様の目の前で実演販売する。今、このビジネスモデルが注目されています」

 会場は静まり返って、佐瀬の話に聞き入る。

「川上のタコの話に切り替えた佐瀬の声には一段と力がこもる。たこ焼屋である以上、重要な素材とはいえ、タコにここまで愛情を注いでいる人間もいない。我々の一番の得意は、機械・器具まで自分たちで作れるということ。今後もさまざまな機械・器材をつくって皆さん方にもっと効率的な商売をしてもらえるよう努力していきます」



FCオーナーは共に戦う同志

「オーナー会社からの独立を認めて欲しいとの要望がきていますが、今年中には仕組みを作りたい。そうすれば無限大に夢が広がっていく。あとは人手不足の問題だけだが、夢があれば必ず飲食店は人で溢れると信じています」

「昨年仲間入りした『コールド・ストーン・クリーマリー』(以下コールド・ストーン)は順調。そして大釜屋は自動たこ焼器で焼いているが、大変好調です。ここを第二の銀だこにしたい。

 銀だこは職人が25分かけて焼いているので、テイクアウトしても皮がパリッとし、美味しく食べていただける。 

『大釜屋』はその場で食べてもらうたこ焼です。いずれ皆さんにも展開していただきたい。たい焼の銀のあんは、十勝のあずきを使用、桐生の工場であんこに命をかけた男たちがつくっている。クロワッサンたい焼は、前年比135パーセントと絶好調。1月20日からはショコラも発売しましたが、このチョコレートも自社工場で作っているのでメチャクチャ美味しい」

 ホットランドの戦略、業績を赤裸々に語る佐瀬の話に、会場は鎮まりかえり、身を乗り出して聞き入る。

「日本では間食しかやらないが、海外は主食も攻める。カンボジアに進出したが、技術も笑顔も素晴らしい。世界中にいい人材がたくさんいる。中国については大失敗して、負けて帰ってきた。しかし、今年はおたふくソースと合弁会社をつくり、再チャレンジします」

 佐瀬は一時間以上かけて、オーナーたちに会社の最新事情、自分の想いを熱く語った。佐瀬の気合の入った話に会場からは、大きな拍手が沸く。集まったオーナーたちの顔には、佐瀬と一緒に仕事をすることへの喜びと誇りが漲っている。銀だこ野武士軍団の一員であることへのプライドである。

 オーナー総会第2部は、佐瀬と本社スタッフも交えての懇親会である。会場となるのは東京・五反田駅傍の銀だこハイボール酒場である。開始時刻に覗くと、会場はオーナー総会参加者で溢れかえっていた。奥に陣取った佐瀬は、参加者一人ひとりと会話しながら、熱く語り合う。勿論、片手にハイボール、もう一方には銀だこである。立ち飲みスタイルの会場は、すし詰め状態。店のスタッフの気合も半端ではない。どれだけの数の銀だことハイボールがつくられたことか。この日はFCオーナーと本部社員が一体となって、夜中まで銀だこの未来について語り合った。まさに共に戦う同士。銀だこ野武士軍団である。


FCオーナーは共に戦う同志

ホットランドという会社


 今や売上273億円、経常利益20億円にまで成長。「築地銀だこ」を中心に、居酒屋の「銀だこハイボール酒場」、たい焼の「銀のあん」など 複数の業態で588店を展開。外食業界の勝ち組として、勢いを増すホットランドだが、ここまでくるのは数々の試練があった。もうダメという危機にも何度も見舞われた。しかし佐瀬は怯むことはなかった。

 佐瀬は群馬県桐生市の出身。実家は織機など機械製造を営んでいた。もともとやんちゃな佐瀬は実家を破門されてしまう。その佐瀬の心を捉えたのが、当時地方に進出していたマクドナルドであった。あれを和のファーストフードでつくりたい。佐瀬は想いを強くした。そして1988年、桐生市に焼きそばとおむすびの店を出した。これがホットランドの創業となる。店名は「ホットランド」と名付けた。



テイクアウトのたこ焼で勝負

 その後、たこ焼、アイスキャンデーなど様々な商品を手がけ、試行錯誤を繰り返した結果、たこ焼一本に絞り、1997年「築地銀だこ」がオープンすることとなる。たこ焼を選んだのは、ランチ中心の焼きそばと比較して、売れるシーンが長いこと、客層が広いことからという。

 皮はパリッと、中はトロッと、たこはプリッと焼き上げた“ぜったいうまいたこ焼”という主力のたこ焼ができるまでも、試行錯誤の連続。そして佐瀬が思いついたのが、テイクアウトしても美味しいたこ焼である。その頃はたこ焼といえば関西の食文化で、関東ではお祭りぐらいしか食べる機会がなかった。そこで持ち帰ってもパリッと美味しいたこ焼をつくれば勝てると考えた。

 持ち帰っても、美味しさが続くたこ焼を最初から戦略的に考え商品開発したからこそ、勝ち残っているのだ。そしていつかは銀座に店を出したいとの想いから『築地銀だこ』と名付けた。



銀だこスタイルの構築

 築地銀だこは特別だ。お客の目の前で25分間もかけてじっくり焼き上げる。その職人芸も美味しさの大切な要素である。だからこれを合理化したりはしない。手づくりで出来たてのアツアツをお渡しする。実はこの実演販売が、今、ファーストフードに求められている大切な要素である。佐瀬が試行錯誤しながら創りあげてきた銀だこスタイルこそが、今最も最先端といえるのだ。

 銀だこスタイルとは、「強い単品力」「幅広い客層」「自社製専用機械」「実演販売」「小スペース低コスト出店」の業態を確立させ、店舗網を築きブランド化し、川上から川下まで一貫したマーチャンダイジングを構築することである。長年考え抜いてつくり出した銀だこスタイルこそが、今の外食業界に求められている要素なのだ。

 どこにでもありそうなたこ焼をここまで昇華させた佐瀬守男。そこには数々の苦難。失敗があった。しかし人々の喜ぶ笑顔をみると、そんな苦労は消し飛んだ。人に喜んでもらいたいという想いは半端ではない。だからこそ主力原料のタコの養殖、捕獲・加工にまで踏み込む。佐瀬は語る。たこ焼を焼くという川下だけでなく、原材料を育て、捕獲するという川上まで一気通貫で関わりたい。自ら西アフリカのモーリタニアに出向き、現地でタコの捕獲を指導、タコ加工の産業化に乗り出すことを決めた。2015年には現地法人をつくり本格的にスタートさせる。「たこ壷漁を指導、その場で茹でて、カットすれば、現地の人をたくさん雇用できる」と語る佐瀬は嬉しそうだ。困っている人を見たらほっておけない性格なのだ。

 世界初の真ダコの養殖にかける情熱も半端ではない。石巻水産試験場と宮城大学との協力で、卵から稚ダコに育て、もともとタコの漁場だった熊本の上天草で養殖する。これまで真ダコを養殖した事例は一つもない。これが成功したら世界初となると、目を輝かせる。そうすればたこ焼だけでなく、生のタコもブランド化して販売することも考えられる。佐瀬にタコを語らせると、話はつきない。それだけ本気だからだ。



佐瀬守男という男

 佐瀬守男を有名にしたのは2011年の東日本大震災の復興支援である。被災した人々に元気になってもらいたいとの想いから、「銀だこカー」で石巻に現地入りした。佐瀬を筆頭に総勢40人、夢中でたこ焼を焼いた。たちまち行列ができた。全てを失った喪失感の中で、せめて温かいたこ焼を食べてホッとしてもらいたいとの想いが、佐瀬を駆りたてた。当初は一週間ぐらいと思っていたが、ここで帰るわけにはいかなかった。佐瀬は「ホッと横丁石巻」をオープン、100人を雇用した。そしてついには本社まで移転することになる。やるからには徹底するというのが佐瀬のやり口だ。1000日間頑張ろう、佐瀬は決意した。

 ピュアで熱い男、佐瀬のことを語る人々は皆、うれしそうにそう語る。後先考えずに行動してしまうことがある。だから当然、失敗も多い。タコ不足に見舞われた時、タコの養殖に取り組んだがタコが共食いしてしまい、一匹しか残らず大損害を被った。しかし「常に本気でチャレンジしているからつい応援したくなる」と、親友の人気パティシエの鎧塚俊彦は語る。

 佐瀬は希代のアイデアマンと、佐瀬を知る人はいう。常にアイデアが溢れでて、留まることはない。しかしそれは常に考え続けているからこそ思いつくのである。次から次と新しいアイデアを考えては実行する。そのスピード感は誰にも真似できない。

 どんどん実行するから失敗も多い。しかし失敗したときの引き際も綺麗と、リヴァンプ社長の澤田貴司は感心する。成功は他人のおかげ、失敗は自分のせい。なかなかこうした考えの社長はいない。もうだめだ、今度こそ会社が倒産する。そう弱音をはく姿を何度も見ているという鎧塚。しかし失敗してもケロッとしてまた次にチャレンジする。その行動力とスピードに誰もが舌を巻く。佐瀬がアイデアをスピーディに実行できるのも、佐瀬を愛し、心から慕う熱血集団がいればこそだ。

 ものすごいピュア、シャイな人、涙脆い人、さまざまな佐瀬像が語られる。しかしこのどれもが当てはまる。不思議な魅力を持つ男なのである。だからこの人と一緒に仕事をしてみたい、と思わせる。



M&Aで業容拡大

 2014年1月、佐瀬は米国の人気アイスクリームチェーン「コールド・ストーン・クリーマリー・ジャパン」を手に入れ、アイスクリーム市場に乗り出した。リヴァンプの澤田と意気投合、譲り受けることとなった。たこ焼は冬には強いが、真夏には弱い、片やアイスクリームは夏にはいいが、冬は弱い。ならば一緒にやれば季節変動のリスクを回避できる、との想いからだ。佐瀬にとってアイスクリームは初めてではない。過去に幾度もアイスキャンデーを手がけた経験がある。

 佐瀬がコールド・ストーンを買収したのには、もう一つの理由がある。コールド・ストーンは働きがいのある職場として3年連続一位を獲得していたからだ。9割が女性スタッフだが、とにかく皆が楽しそうに仕事をしている。銀だこは95%が男性という男所帯。興味津々であった。

 ましてコールド・ストーンもお客様の目の前で手づくりし、喜んでいただくというビジネスモデルは同じだ。しかし佐瀬の川上戦略からいけばまだ不足。今後は原乳から、それも牛を飼育するところから手掛けたいと、佐瀬の興味が頭をもたげる。将来ホットランド牧場ができることも考えられる。

 関西を中心に展開するたこ焼チェーン「大釜屋」も買収、ホットランドに組み入れた。ここは店で生のタコを茹でるところから実演する。但し焼くのは全自動の機械である。こうした機械の開発は佐瀬のお手のもの。将来はこの大釜屋もFC展開する考えだ。


M&Aで業容拡大

スタバを超えるカフェをつくる

その佐瀬が今、気合を入れているのが、カフェへの進出である。 カフェの名は「ザ・コーヒービーン&ティーリーフ」。ロサンゼルスに本社を置く全米最古のカフェチェーンで、本国ではスターバックスより人気があるほどだ。中国、シンガポール、韓国など世界29カ国に出店、店舗数は千店弱を数える。そのコーヒービーンが日本進出のパートナーに選んだのが、ホットランドとイオンモールの合弁会社である。出資比率は66 :34である。

「たこ焼屋がカフェを・・・」と思う向きもいるだろうが、佐瀬は美味しいコーヒーとフード、そしてホッとする場所を提供するのは、ホットランドの使命、必ず勝てると強気だ。

 というのは、佐瀬の手中にはコールド・ストーンからきた石原一裕という大きな武器があるからだ。石原は過去にコーヒーチェーン「タリーズ」の立ち上げに加わり、社長の松田公太の片腕として活躍した。コーヒーについて詳しいのは勿論、カフェの展開についても経験済みだ。

 石原という武器を手にした佐瀬は、このカフェ展開に並々ならぬ力を注いでいる。先行するスタバに対抗しようというのだから鼻息は荒い。

 スタバに対抗するポイントは3つある。一つはシングルビーンを使った圧倒的に美味しいコーヒーの味である。もともとコーヒーの焙煎からスタートしたコーヒービーンは、ロスでも定評がある。ましてここは紅茶も取り揃えている。コーヒーと紅茶、両方を美味しく楽しめる店は、日本にはまだ存在しない。

 2つ目は美味しいフードメニューの充実だ。ここには大親友のパティシエ鎧塚俊彦が加わり、つくりたての美味しいフード類を提供すると意気込む。こだわり抜いたコーヒーと、鎧塚シェフ監修のスイーツや軽食が登場するのだから、話題にならない訳はない。3つ目は明るいロスのイメージの居心地の良い空間である。

 1号店の場所は東京・日本橋の交差点に新築中のビルの一階を確保した。ここは50坪の大型店となる。2号店は湘南を予定している。この2店舗をフラッグシップ店として、ブランドをしっかり作り、日本全国に展開しようというのだ。そこで活きるのがイオンモールとの合弁という強みである。全国の主要イオンへの展開は確実。5年間で200店を出店する計画だ。

 今、日本はコーヒーブームである。セブンイレブンの100円のコーヒーは、その価値と価格が支持され、年間7億杯にのぼる。そしてこの2月、米国からブルーボトルコーヒーも上陸、コーヒー戦争が勃発する勢いだ。その中でコーヒービーンがどこまで食い込めるか楽しみだ。



銀だこスタイルで世界展開

 最近、佐瀬は海外出張が多い。銀だこスタイルの世界展開が加速しているからだ。2004年、香港に築地銀だこをオープン以来、タイ、シンガポール、台湾、カンボジアと次々と出店、かの地の人々に喜ばれている。タイでは数時間待ちの行列ができ、現地の人々を驚かせた。

 中国にも10店舗を出店したが、あえなく沈没、退店した。しかし負けたままでは終わらない。2015年、おたふくソースと合弁で会社を立ち上げ、再びチャレンジする。2月中にはオープンする。これを成功させ、中国に本格的に展開する考えだ。

 アメリカも2015年には現地法人を設立、まずはロサンゼルスに出店予定だ。コールド・ストーン、コーヒービーンと2つの外食チェーンと提携したが、佐瀬は世界に散らばるこの2つのFC企業をテコに、世界展開を加速する考えだ。コールド・ストーンは世界27カ国、コーヒービーンは世界29カ国に出店している。これらのFCオーナーに銀だこ他、和のファーストフードを提案しようというのだ。そのために戦略的にこの2社と提携したと語る。これにより世界展開は飛躍的に加速、最低でも27カ国に展開したいと夢を語る。

 日本では間食市場を狙ってきた佐瀬だが、海外ではカレー、ラーメン、寿司など主食市場も取りにいくと強気だ。既に香港では銀カレーが大変な人気となっている。

 国内では2020年には、築地銀だこのみで1000店はいけると語る。銀のあん、コールド・ストーンなど他のブランドで2000店、併せて3000店は出店できると強気だ。海外はコールド・ストーンとコーヒービーンのFCオーナーを味方につければ、とてつもない数の店舗が展開できる。今後はいくつかのブランドを併せて複合店を出店、季節変動リスク、時間変動リスクに対応する。そうすればいろんな商品をお客様に提供できると夢を語る。

 大きな夢を広げる佐瀬だが、課題は夢を具現化する人材をどれだけ育成できるかだ。和のファーストフードで世界の人々をどこまでホッとさせられるか。戦いはこれからだ。

※ホットランド佐瀬守男社長へのインタビュー記事はコチラ!!



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