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トピックス -ビッグベンチャー

2015年03月16日

グローバル経営で世界を獲る/良品計画代表取締役会長 松井忠三 × クロスカンパニー代表取締役社長 石川康晴

企業家倶楽部2015年4月号 今、日本を最も面白くする企業家たち


この記事は、BS12TwellV 火曜7時30 分から放送中のワールド・ビジネス・チャンネル同名番組を紙面化したものです。今、日本を最も面白くする企業家の熱きドラマを綴っております。今回は2014年4 月放送分をお届けします。なお、過去放送分も含めた当番組の全てのラインナップは、企業家ネットワークのホームページでご覧頂けます。(http: / /kigyoka.com)



成長を支えるのは仕組み

松井 私は、当社の業績が下降していた2001年に良品計画の社長に就任しました。この年の中間期に赤字になり、お店を閉め、リストラをせざるを得ない状況でした。このような事態の際は、普通の状態に戻していくだけではなく、負けた構造から勝つ構造に創り変えることを考えなければなりません。

 そこで私たちは商品づくりや販売、経営、人材育成の仕組みなどをつくり、お店のオペレーションの仕組みをほぼ毎日変えました。99%は変わらないのですが、1%は必ず変わる。つまり、仕組みの中に創造性が入るので、計画から実行、改善までがきれいに回るのです。

石川 我々の会社にも色々な仕組みがあります。私は23歳で会社をつくって、本当にお金がない中、どうしたら借り入れもせずに急拡大させることができるか考えました。そして、低資産・高回転・高粗利の3つが達成できれば必ずキャッシュが高まり、それを使って拡大戦略が打てるという結論に至ったのです。このために、社内で「ROA戦略」という財務的な戦略を立てました。

 小型店を意識して内装投資を下げ、もの作りから販売までを一気通貫で行う製造小売(SPA)で高粗利をたたき出し、さらに在庫を絞っていくことで回転も高めていく。この戦略を、創業後6年目に打ち出してから、運転資金の借り入れなしで売上1000億円に到達するまで右肩上がりです。



崖っぷちからの再生

石川 1994年の創業から5年間は順調に業績が伸びました。しかし、99年に初の赤字。当時の店舗は3店舗でしたが、13名中10名のスタッフが退職しました。まさに崖っぷちです。

 そこから全店舗閉店して、残った3名のスタッフと閉店セールで得たお金を握り締め、大好きなブランドをつくろうと団結しました。名前は「アース ミュージック&エコロジー(以下アース)」、そしてこれがSPA参入のきっかけです。

松井 私も2001年中間期に38億円の赤字を計上し、「サラリーマン人生最後のステージで一番重い荷物が来た」というのが実感でした。

 最初はリストラをして、その後再生という作業に入っていきましたが、日本の小売流通のトップアナリストに「無印の時代は終わった」と表現されてしまいました。リストラは比較的容易にできる施策ですが、再生ができないと復活したことにはなりません。ここで保てないと、会社も自分も倒れてしまう。この時がハードルとしては一番高かったですね。



ブランドにもイノベーションが必要

松井 一号店は30坪で200アイテム。これを1000坪まで大きくしていきました。販売量を増やし、お店の面積を広げて、それから商品開発を牽引した。つまり、「販売なくしてビジネスなし」ということです。

 5年や10年が経つと、必ずお客様のニーズが変わっていきます。これに商品開発が追いつかなければいけません。

 私は、海外に「ムジ・グローバル・ソーシング」という、商品を専門に開発する会社を作りました。ここがフィリピンやタイ、ベトナムに行くと、そのエリアにある昔から長く活かされてきた伝統を見つけだし、我々のコンセプトをそこに加えて、世界中の文化を取り入れた商品を開発しているのです。

石川 弊社でも、定番の枠とトレンドの枠を当初から設定しています。状況によっては3年も5年もやっていくものと、四半期ごとにトレンドに合わせて変えていくものに大きく分けているのです。その枠の中でそれぞれもの作りをしていて、うまく回しています。

 もう少し広い概念で言えば、「一年に一度ブランドを壊す」という作業をしています。それは、増収増益最高益のピーク時でもです。アースは15年経ちますが、ヤングのセグメントに近い一つのブランドがこれまでもったのは、プチイノベーションによって商品を変え続けたからだと思っています。

松井 ブランドは必ず陳腐化していくので、それはものすごく大事なことです。壊していけるようにならないとお客様の変化に遅れてしまいます。お客様のニーズに応えるためには必ずイノベーションがないといけませんし、それを仕組みの中に取り入れていくことが肝要です。



反日デモの中で中国展開

石川 2011年に初めて中国に現地法人をつくり、2年半で50店舗を出しました。一番大変だったのが反日デモの時。我々は、その最中である2012年9月に4店舗オープンしました。

 しかし結果は、2011年に出した上海店は反日デモ中でありながら前年比を上回りましたし、デモのピーク時に出した北京店も目標を達成しました。上海と北京で数字を落とさなかったことが励みになり、2013年には30店舗強の出店をして、14年度においては中国に51店舗出店を計画しました。

松井 実は2012年9月の業績は我々の既存店では落ち込みました。ものすごく影響が出たわけです。ところが11月の既存店の業績は昨年比で100%を超えています。つまり、中国の人たちに愛してもらえるブランドであれば、政治問題が起こる中でもビジネス上は大きな影響を出さずにやっていける。そこに注力するのが一番です。

 我々の食品のシェアは、日本が8%ほどであるのに対して中国は2割ほどです。このように2倍以上の食品のシェアを取っているという事実は、それだけ安心感があるということにほかなりません。特に中国の若い人は環境問題にものすごく敏感です。そういう嗜好の人たちにも応えられるような商品を出しています。

石川 私どもは中国人の顧客を呼んで、「日系不買運動が起きた場合に、あなたも日本ブランドを避けますか」と聞きました。興味深かったのは、「お父さんは日本車を買わないかもしれないし、お母さんは日本の家電を買わないかもしれないけど、私たちは日本のライフスタイルが大好きです」というある人の答えです。我々のセグメントは20 ?30代前半ですが、反日デモの支持層とは違って、すごくシンプルに「日本はいい」と捉えてくれています。この調査が、その後の出店の裏付けになっています。



世界を見据えた未来展望

石川 私たちは、既存事業は日中集中戦略で、比較的小さなお店を日本と中国に大量に出していきたいと思っています。

 しかし、それだけでは成長が鈍化してしまうので、2014年9月から国際戦略ブランド「KOE」を立ち上げました。この新規事業は、アメリカやヨーロッパでもグローバル旗艦店舗として出していくものです。そして、それをドミナントしていきます。レディース、メンズ、子供服などの複合的な業態で、世界のZARAやH&M、GAPのように一兆円を超えるような企業を追いかけていくブランドにします。そして、ファーストリテイリングのユニクロや、日本の魂のような無印良品など、私たちの日本のトレンド分析力を世界に発信していきたいです。

松井 我々もできるだけ早い時期に店舗数や売上を、海外に日本を越えてもらって、世界中の人たちに使ってもらえる商品にしていきたいと思っています。日本発で、そういうことができる可能性を我々は持っていると思っています。



人と違うことを考える

石川 当社は2014年で20周年を迎えました。商品や会社の構造も変わってきましたが、この20年間で一つ筋が通っているものがありました。それは「人と違うことを考えよう」という価値観です。

 例えば、3ー4000人を超えるリテール中心の我々ですが、全員正社員です。他にも、セレクトショップから業態をSPAに変えたことや、早い段階で駅ビルに進出したこと、止めた方がいいと言われながらアメリカの会社を買収するなど、人と違うことを考える概念が今もあると思います。

 また、国際戦略を展開するにあたり、ダイバーシティが大事だと思っています。日本で女性の活用すらできない会社や、海外に置いている現地法人のトップを日本人で占める会社が、本当にグローバル競争に勝てるのかといつも思っていました。そのため、アメリカや上海や台湾のクロスカンパニーのグループ会社など全てにおいて、人事の現地化を行っています。

松井 選択肢がある時は難しい方を選ぶ、と私は決めています。遠い道に真理があるということが多いのです。

 例えば、私が社長になってから、毎年アウトレットを閉めてきました。在庫が残った時にアウトレットを作るのは簡単です。しかし、アウトレットが無い会社もあります。春物は沖縄から入れて、秋物は北海道から入れるのです。そして、売れる商品は田舎のお店から新宿に持って行けば瞬時になくなります。アパレルですから、ほとんど物流費もかかりません。増産という時には、中国や東南アジアでつくる。今ですと、ネット販売しているものは動向が見えるので、本格増産はその情報をもとに考えることができます。

 アウトレットビジネスはなかなか困難です。しかし、在庫を処分している会社とそうでない会社のどちらが勝つかと言えば、アウトレットで勝負しない会社に軍配が挙がるでしょう。

 すべからく、全てに渡ってそのようにしていかなければ経営が陳腐化していきます。逆説的ですが、困難だと思う方の道を選択すると、大きな間違いを起さずにやっていけるのです。



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