トピックス -企業家倶楽部

2010年06月27日

ロマンとビジョンを持つことで人生が変わる/ニトリ代表取締役社長 似鳥昭雄

企業家倶楽部2010年8月号 私の信条





 人生や経営においてロマンとビジョンが最も大切であると考えています。私は23歳の時に商売を始めました。学生時代はあまり優秀な生徒とはいえず、大学卒業後に就職した広告会社でも成績が伸び悩んでいました。次の職場にも馴染めなかったので、もう生きていくためには自分で商売をするしかないと思い立ったのです。競争相手が少ないほうが良いと思って、当時近所になかった家具屋を始めました。

 最初は全然思うように行きませんでした。私は接客が苦手で、お客様がまた店に来たいと思うような対応が出来ないのです。アルバイトを雇うお金もありませんし、赤字続きの時期がしばらく続きました。その状態を見た母が私にお見合いを勧めてきました。いいお嫁さんをもらって、店を手伝ってもらえばアルバイト料は要らないからです。

 何度かお見合いをして、今の妻が私のところに嫁いで来ることになりました。この結婚を機に運がめぐって来たようでした。妻は周りから好かれる人で、少しずつお得意さんが増えていき、何とか食べていけるまでになったのです。それまでは何をやっても芳しくなかったのですが、妻が嫁いで来てくれたことで一変しました。

 結婚と仕事のビジョンとは似ていると思います。これから何十年間一緒にいても大丈夫だと思える人でないと結婚できないのと同様、数年先の未来しか考えないようでは経営もうまく行きません。私は、良き伴侶を得て商売を立て直すことが出来ました。

 2店目を出店した時にアメリカへ視察に行き、アメリカと日本の違いに衝撃を受けました。家具の価格が日本の3分の1でしたし、商品が使う人の視点で作られている点にも驚きました。日本はアメリカに何十年分も遅れていると感じ、渡米をきっかけに日本人の暮らしを豊かにしたいと強く思ったのです。

 人のために何かをすることがロマンだと思います。私の場合は「日本人のために豊かな暮らしを提供したい」ということですね。このロマンを持ったことで、私の人生は大きく変わりました。以前は自分の暮らしだけで精一杯だったのですが、人生の目標を持ったことでそれまでの消極的な考え方が180度変わりました。そうすると、休みなく働いていても全然辛くないのです。

 ビジョンに関して、私は60年でアメリカと同じ暮らしを日本に提供しようと計画し、さらにその60年を30年ずつに分けて構想を練りました。前半30年のビジョンは以下の4点です。まずは、100店舗出店、売り上げ1000億円を達成すること。2つ目は地域から発信し、それを地方、世界へと広げていくこと。3つ目は東証1部に上場すること。4つ目は日本初のホームファニシング(家庭用品全般のトータルコーディネート)のフォーマットを確立すること。

 2002年で前半の30年が終わり、後半30年の新たな目標を掲げました。ニトリが目指すのは規模の拡大です。地方都市にもどんどん出店していきたいと考えています。売り上げや利益よりも社会貢献には店舗数が必要だと分かってきました。チェーンストアがあることでアメリカの人々に豊かな暮らしが定着していましたから。

 後半30年の目標も4段階に分かれていて、一次目標は100店舗で段階によって価格・品質を変えられるようになること、2次目標は200店舗で本格的なチェーン展開を目指すことです。これらはそれぞれ03年と09年に達成しています。3次目標は500店舗、地方の10万人以下の都市でも出店し、その地域に暮らす人々の住まいを変えることが出来ることです。既に目標達成のために毎年100店舗ずつ出店しています。4次目標は1000店で、日本の暮らしを変革できることです。

 現在海外にも6店舗出していますが、いずれアメリカにも出店したいと考えています。アメリカから学びましたから、やはり本場アメリカでニトリの真価を問うてみたいですね。いつ頃になるかは分かりませんが必ず実現したいと思います。



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