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トピックス -企業家倶楽部

2015年04月24日

プロダクトからではなくマーケットから発想する/エムアウト代表取締役社長 田口弘

企業家倶楽部2011年8月号 私の信条


   『ベンチャー』という言葉には「生命・財産を懸ける」「危険を冒す」という語源があります。起業には確かにリスクがつきものですが、市場の活性化のためには、あえてリスクを背負い、チャレンジする人材がなくてはなりません。しかし、最近のベンチャー業界には元気がない。それは成功の確率が低いからです。その確率を高めれば起業を目指す人も、それに投資する人も増えるでしょう。そこで私は成功の確率を徹底的にアップする仕組みを考え、事業を作り、それを売るという会社を設立しました。それがエムアウトです。


    その根底にあるのは、社名の由来でもある「マーケットアウト」という信条です。これはプロダクトからではなくマーケットから発想する、消費者の論理に立った哲学。私が1963年に創業したFA(ファクトリーオートメーション)部品や金型部品の専門商社ミスミの時代から考え、実践してきたことです。ミスミ設立当時の機械工具業界は、工具店がメーカーの販売代理店となっている状態でした。つまりプロダクトアウト・ビジネスの典型です。そんな中、ミスミはメーカーの作ったものは売らず、購買代理店業に徹しました。業界が求めているものを調達するマーケットアウト・ビジネスを行なったのです。


    今、成功しているベンチャー、たとえばフェイスブックやグルーポン、カカクコムなどもすべてマーケットアウトです。グルーポンなら「まとめてたくさん買うから安くしろ」、カカクコムなら「比較して有利なところから買おう」ということでしょう。これは供給側からは絶対に出ない論理。その消費者の視点に立ったビジネスが支持されているわけです。


    この「マーケットアウト」の哲学の下、消費者の視点からアイディアを掘り起こし、プロの見地から的確な資金や人材、ノウハウを提供して成功へと導く。いわばスタートアップのためのファクトリーがエムアウトです。スタートアップのプロセスを「事業開発」「事業化推進」「事業参入」という3つのフェーズに分け、プロジェクトチームによる分業制により事業アイディアを事業計画へ、さらに実際の事業へと育てていきます。


 
   それらは100%子会社であり、私たちの『商品』です。その内の一つ、アイデクトは宝石のリペアやリサイクル、リメーク、リユースといった『RE』ビジネスを手掛ける会社です。従来、宝石業界では一度身につけた石は無価値になり、デザインもどんどん陳腐化するため、また高いお金を払って新しい商品を買うしかありませんでした。でも、いらなくなった宝石は売ったり、作り直したりできれば消費者としては嬉しいでしょう。そのビジネスが支持され、現在、大丸東京店や玉川高島屋内などに13軒のショップを構えています。


    M&Aまで結びつき、投資資金の回収に成功する事業がある一方で、失敗の経験もたくさんあります。ビジネスプランの段階でやめたものは数百、プロジェクトチームの段階でも十数、株式会社にしてからやめたものも3~4社。成功事例だけでなく、そうした失敗事例も徹底的に研究したデータベースをインフラに生かしています。そもそもベンチャーはアイディアや思いつきだけでは成功しません。競争激しい世界で勝てる新しいビジネスモデルでなくてはいけないのです。我々は「マーケットアウト」を信条に、従来の企業がやりたくてもできなかったビジネスを作り上げる。そしてベンチャー業界を活性化するのが究極の目的です。


    東日本大震災以降、政治や原発問題でも迷走が続いています。国民の目線や思いからかけ離れたところで事態が動いているのは実に残念なことです。今後はビジネスのみならず、政治も社会もすべて「マーケットアウト」を基本に考えることが必要に違いありません。



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