トピックス -企業家倶楽部

2007年06月27日

サービスで差別化する/プラス社長 今泉嘉久

企業家倶楽部2007年8月号 私の信条 vol.3


   プラスの主力事業のひとつは、オフィス家具の製造・販売です。我々の2006年5月期の連結売上高は2726億円ですが、そのうちオフィス家具の売上高は約450億円と大きな割合を占めています。

   オフィス家具の業界は好調ですが、課題もあります。この業界には第1回目にお話しした「顧客満足=供給者満足」(CS<カスタマー・サティスファクション> =SS<サプライヤー・サティスファクション:造語>)のコンセプトがこれまでありませんでした。メーカー側の論理が全面に出ており、顧客主義の視点が希薄だったのです。例えば、企業がオフィス家具を購入する場合、購買担当者は実物を見ずにカタログの中から選ぶことが大半です。販売側にとってはカタログだけを用意すればいいので費用対効果は高いかもしれませんが、顧客企業からすると見もせず触りもしないで購入せざるを得ませんでした。つまりCS SSだったのです。そこで我我はCS=SSというキーワードで差別化を図り、顧客の利便性を高めていこうと考えました。

   ただオフィス家具は差別化しにくい商品です。デザインで多少の差別化を実現することは可能ですが、長い歴史があるデスクや椅子、テーブル、ソファなどはその基本構造を変えようがありません。例えば、オフィスで使われるデスクは、天板を1枚しか使いません。天板を2枚重ねや3枚重ねにしてもあまり意味がない。椅子の脚の数も5本が基本で6本や7本にすれば、コストが高くなるだけです。このようにオフィス家具は商品力で差別化するのが極めて難しい分野なのです。

   では、どのように差別化を図ればいいのか。我々は「モノで差別化できないならば、サービスで差別化を実現しよう」と考えました。CS=SSのコンセプトをサービスで実現しようと思い立ったわけです。具体的には、お客様に商品を必ずご覧になってから購入していただこうと思いました。しかし、ショールームに数多くのオフィス家具を展示し、お客様に見ていただきながらスタッフが説明しようとすると、1000?2000坪のとても大きなスペースが必要です。大手メーカーもその規模のショールームは東京や大阪などの大都市でしか展開していません。それ以外の地域では市場規模がそこまでないので、カタログ販売にならざるを得ませんでした。我々としても、2000坪規模のショールームを全国につくるのはリスクが高い。それに2000坪でもたかだか数百アイテムしか置けません。では、小さなスペースで数多くの商品を見せるためにはどうすればいいのか。大きなスペースが必要なのは完成品を置いているからです。それならば、完成品ではなく部材を展示すればいいと気がつきました。

   例えば、デスクは、天板、袖、引き出し、脚、デスクトップパネルで構成されています。店舗では、天板100種類、引き出し10種類、袖10種類、脚10種類、デスクトップパネル10種類の合計140種類の部材を置くだけであれば、それほどスペースはいりません。完成品の空間分がなくなるからです。

   さらにこれらの部材を掛け算すれば、わずか30~50坪の店舗で約100万通りの商品構成が可能になります。コンピュータ・グラフィックスを活用すれば、お客様が選んだ部材を組み合わせて、完成品としてお見せすることもできます。これにより、我々は土地代も製造費もコストカットできますし、お客様にとっても実物を手にとって見られるのです。このようにCS=SSを実現しながらサービスで差別化を図ることがこれから重要になってくるでしょう。我々はこのようなモデルショップを現在実験中ですが、5年後には全国に200店舗を展開したいと思っています。 



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