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トピックス -企業家倶楽部

2015年01月07日

企業家の執念

企業家倶楽部2015年1/2月号 視点論点


   日経夕刊の歴史小説「天下家康伝」(火坂雅志著)が10月中旬で終わった。毎日、この小説を楽しみにしていた読者の1人として、一抹の淋しさを感じる。

   終章で家康が関ヶ原の戦いを終えてこうつぶやく。「武田信玄のような軍略の才もなく、信長のような既成社会のしがらみを打ち破っていく突破力もなく、豊臣秀吉のごとき万人を巻き込んでゆく人間的魅力も持ち合わせていなかった。それがなぜ、嶺の頂点に到達し得たのか・・・。思いの強さか」

   著者は家康にそうつぶやかせる。「上をめざすことを途中で諦めていたら、自分はついに何者にもなり得なかった」と述懐させる。つねに先をめざし、おのれを磨いた家康に好運の女神はほほえんだのだろう。

   関ヶ原の戦いに臨むにあたり、家康は伏見に残り、石田三成に殺される運命の鳥居元忠ら家臣団に言う。「わが人生、最大の賭けがはじまる。明日の運命は誰にもわからぬ。のるかそるかの危うい賭けだ。だが、命懸けの大博打を打てぬ者に、新しい世は築けまい」。

「天下家康伝」は見方を変えれば、企業家の物語と言えるだろう。武田信玄、上杉謙信、織田信長、豊臣秀吉、徳川家康は戦国時代に登場した企業家のような気がする。おそらくこれらの武将は年商1兆円を売り上げた企業家ではないだろうか。

   これら歴史に名を残した武将のほかに、多数の武将が名を残そうと、ひしめき合っていた。むしろ、その方が大多数を占めていただろう。

   そういう風に戦国時代を見ると、ソフトバンクの孫正義社長やファーストリテイリングの柳井正会長兼社長はどの武将になぞらえることが出来るか興味をそそる。

   東北地方には伊達政宗もいた。豊臣秀吉や徳川家康に逆らう若武者はもう少し早く生まれていたら、秀吉や家康をしのぎ、天下を取っていたかも知れない。

   若武者、伊達政宗は今のところクロスカンパニーの石川康晴社長が似合っている。ファーストリテイリングの柳井さんを追っかけている石川さんは伊達政宗のようにさっそうとした若武者振りだ。

   先日、企業家大学と企業家ネットワーク勉強会の合同講演会に出てもらった。開口一番、「私は逆張りの経営者です」と宣言した。柳井さんも若い頃は人が「山」といえば、「そうじゃない。川だ」というので、「山川」というあだ名が付いていたそうだ。

    石川さんの逆張りは2012年9月にも発揮された。2年前の9月は日本政府が尖閣諸島を国有化し、中国の反日運動が最も盛んになった時期だが、クロスカンパニーはこの日に北京店をオープンし、2014年9月末現在、中国で直営とFCを合わせて91店舗を有している。

   反日の感情が最高に高まり、日系企業は2013年に一斉に対中投資を凍結したのだが、逆にクロスカンパニーは中国での出店を加速させた。なぜか。50歳以上の高齢者は反日の人が多いが、若者は反日感情がほとんどないことがアンケート調査でわかったからだ。

   クロスカンパニーのお客は10代、20代が中心。精々30代まで。反日デモはほとんど関係ないと、石川社長は判断した。そこで、逆張り経営を強行した。

   石川社長は今のところ、年商1000億円で、天下を取るという所まで行っていないが、10年後、20年後には兆円企業となり、秀吉や家康クラスになるかも知れない。その可能性を感じさせる企業家だ。

   石川社長は最後にこう語った。「これからの企業家は家族を大切にする一方、経済成長も成し遂げて万能人(ユニバーサルマン)にならなければならない」と。賛成だ。石川社長が家族を愛しながら、兆円企業になることを楽しみにしている。

   家康に戻るが、三成と天下分け目の戦いに臨む時、家臣が次のように言う。「流れは石田三成ではなく、わが殿にございます。三成ごとき小人に天が味方いたしましょうか」。私利私欲の塊である三成には誰もついてこないと言うのだ。家康は違った見解を述べる。「天は常に勝ったものの味方だ。さればこそ、わしは必ず生き残る」と。やはり戦いは勝たねばならない。(T)



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