トピックス -企業家倶楽部

2015年06月04日

360°スゴイ!を実現する/株式会社VOYAGE GROUP 代表取締役社長兼CEO 宇佐美進典

企業家倶楽部2015年6月号 今、日本を最も面白くする企業家たち


コメンテーター:徳永卓三(企業家ネットワーク会長)、キャスター:宮舘聖子

この記事は、BS12(トゥエルビ)で放送した同名番組を紙面化したものです。2015年4月より後続番組として、『熱血企業家!』(BS12 毎週火曜午前7 時30 分から)を開始致します。過去放送分も含めた動画は、企業家ネットワークのホームページでご覧頂けます。

 Profile

宇佐美 進典 (うさみ・しんすけ)

1972年愛知県生まれ。1996 年早稲田大学商学部卒業後、トーマツコンサルティング入社。1999年アクシブドットコム(現VOYAGE GROUP)を創業、取締役COOに就任、2002年代表取締役CEOに就任。2005年サイボウズと合弁でcybozu.net を設立、代表取締役CEOに就任。2005 年サイバーエージェント取締役に就任。2007 年日本インターネットポイント協議会を設立、副会長に就任(現会長)。著書に『SNS ビジネス・ガイドW e b 2 . 0で変わる顧客マーケティングのルール』(共著)『新・データベースメディア戦略。~オープンDBとユーザーの関係が最強のメディアを育てる』(共著)がある。



メディア運営のノウハウを活かす

 当社には「メディア事業」と「アドテクノロジー事業」があり、この2つが売上げの90%以上を占めます。「メディア事業」は、ポイントサービスを中心としています。メディアのビジネスは、いかにたくさんのユーザーに使っていただくかが重要です。もともと我々自身がメディアを運営していたのは強みだと思います。その頃はユーザーが閲覧するとき、どうやって1ページあたりの収益性を最大化させていくのか悩みました。そのため、メディアとして困っている点や、どうしていきたいのかという勘所を押さえられています。

 一方「アドテクノロジー事業」は、そういったノウハウを他社に提供していくものです。主にネットの媒体者に対し、広告配信のプラットフォームを提供しています。このプラットフォームを利用すると、ユーザーは手間をかけずに広告収益を最大化できます。専属のコンサルタントが、クライアントの抱えている問題を聴き、広告枠の提案や純広告とアドネットワークの組み合わせ方など、各メディアと話をしながら決めていくのです。単にテクノロジーの部分だけでなく、人的な支援、コンサルティングの部分も含めて提供しています。我々がプラットフォームを提供することで、それぞれの会社がコンテンツやサービスを作ることに集中していただけると考えています。



コミュニケーションの鍵は運動会と図書室


コミュニケーションの鍵は運動会と図書室


 普段仕事で接点のない人ともコミュニケーションを活性化したいと思い、創業2、3年目から社員旅行を実施していました。しかし組織の規模が100人を超えるくらいになると、普段会っている人たちのグループでしか話をしないようになってしまいました。そこで、代わりになるものとして、高度経済成長期の日本企業を参考に運動会を始めました。毎年6月に開催し、今年で9年目になります。

 同様の理由で1階に社内図書室を作りました。以前は「タバコ部屋」が社員同士のコミュニケーションで大きな役割を果たしていました。タバコを吸う人はその狭い空間の中で、色々コミュニケーションできる。しかし、最近はタバコを吸わない人が増えています。そういう人からすれば「タバコ部屋」が無いのは不公平ではないかという意見があり、タバコを吸わない人でもリラックスできる空間として考えたのが図書室です。

 個人の家に眠っている本を集めて皆がそこでシェアできるようにしました。小説、技術者向けの解説書、あとはマンガも幅広いジャンルのものが置かれています。個人的に『ローマ人の物語』という塩野七生さんの本がお勧めです。会社経営にも近い話で、どういうふうに国を率いていくのか、色々なリーダーシップが描かれていて、人生の参考になる部分が多いと思います。全15巻の長い物語ですが、カエサルが中心となっている部分を読んでいただくだけでも面白いのではないでしょうか。



タイミングを逃さず行動する

 大学を卒業して、まずコンサルティング会社に入りました。2年間はシステムコンサルティングなどに従事していましたが、その後ベンチャーの世界を見てみたいと思い、3、4人のソフトウェアの企業に飛び込んで、営業やマーケティングを1年間経験しました。

 実はその後、当社とは別の会社を立ち上げています。そこでは求人情報の検索エンジンを作るつもりでした。しかしなかなか上手く行かず、心機一転してインターネット上のマーケティングやプロモーションに特化した事業を展開していこうと作ったのが現在の会社です。その当時はインターネットがどれだけ発展していくのか分からなかったのですが、このタイミングでチャレンジしなかったら後悔するのではないかと思い、インターネット業界での事業に飛び込むことを決意しました。

 2004年頃、懸賞サイトを運営していて上手くいっていましたが、どんどん競争が激しくなって新しいプレイヤーが出てきて、広告の単価も下がってきているという実感はありました。やはりインターネットのサービスは参入障壁が低いので、落ち目になってから業態を変えるよりは、まだ売上も伸びていて、メンバーのやる気もあるタイミングで動き始めた方がいいのではないかと考えたのです。 当初そういう話を社員にしたところ皆大反対で、「何故うまくいっているものを変えるのですか?」「失敗したら誰が責任を取るのですか?」という声が社内からどんどん湧き上がってきました。そこで社内で説明会を開き、加えて希望者には6、7人くらいの少人数で説明し、それでも納得していない人には1対1で話をしました。そこから、サービス名もドメインもコンセプトも一新したのです。

 
 01年9月?12年5月までの約10年間は、サイバーエージェントのグループ会社の一つでした。私自身も自社の経営をするかたわら、サイバー本体で技術部門の担当役員を05?10年まで約5年間務め、今や主力事業となったアメーバをどうやって立ち上げていくのか見せていただきました。サイバーのグループに入るときから、将来上場を目指して成長ストーリーを考えていきたいと藤田晋社長には話していました。

 我々サイドの問題として、その当時主力としていた事業の一つが業績的に落ち込んだ時期がありました。またその頃当社がやっていた事業は、サイバーの本体がやっていた事業構造からすると少し中心から外れていました。そういった話を藤田さんにした時、タイミング的にサイバー本体の事業も上手くいっているので、上場目指して頑張れば良いと提案していただきました。それでスポンサーになってくれるところを探して、独立を果たしたのです。



ビジネスの枠組みを超えて

我々はスタートアップの企業に対して無料でオフィスを提供する制度を設けています。現在、入居しているのは15社、1ヶ月10社以上が入居の相談に来ます。お金はいただきませんが、価値観が合い一緒にオフィス空間を共有してもいいと思える会社に入居していただきたいと思っています。

 入居している会社に対して、我々はほとんど出資していません。資本的なつながりというより、人的な繋がりがあるのです。自分自身が創業時、知り合いの会社に間借りしていて、ちょうどそのとき一緒に間借りしている会社が何社かありました。そういうふうに上手くいっている会社がベンチャーを育てていく中で、日本のエコシステムのようなものができてきたのだと思います。社会に還元していくという想いで取り組んでいます。



クルーとともに360°スゴイものを作る

 社名を変更したときに、より会社のコンセプトや理念を大切にしたオフィスにしていきたいと考え、空間全体を「未知なる海に漕ぎ出す」というイメージで海賊船のような造りにしました。1人1人を同じ船の乗組員として捉えているので、社員に限らずアルバイト、派遣も含め、皆「クルー」と呼ぶようにしています。我々の強みはそれぞれの事業を作っていく「人」であり、新しく挑戦していく「カルチャー」です。

 一つの大きな船に乗っている以上、同じ価値観を共有したいと思っています。それは企業理念でもあります。その要素として例えば「挑戦し続ける」というものがあります。常に我々自身が今に満足せず、新しいことに挑戦し続けていく。それが個人、事業、ひいては会社の成長にも繋がっていくと考えています。

 僕の好きな言葉は「夢と志そして情熱」です。ベンチャーというのはロジックだけで押し進めていくのではなく、誰か1人の熱い夢や志や情熱があってはじめて「無理なんじゃないの?」というものが実現します。今どんな事業であるにせよ、どういうステージであるにせよ、各々が持っていてほしい要素です。

 会社をつくった時に事業計画が明確にあったわけではありませんでした。ただ「世界を変えるスゴイことをやろう」とは思っていました。その想いも企業理念としています。

「360°スゴイ」ものをクルーと共に実現していきたいというのが、僕個人としての夢でもあり会社自体の夢でもあります。



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