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トピックス -企業家倶楽部

2015年06月24日

リスク管理の裏方カンパニーをめざす/エス・ピー・ネットワーク代表取締役社長 渡部洋介

企業家倶楽部2008年12月号 注目企業

反社会勢力に対する防波堤


 企業経営にはトラブルがつきまとう。不良商品の苦情から社員の事故、使い込み、工場火災、労働争議など枚挙にいとまがない。経営トップはその一つひとつを解決しなければならない。

 その中で最近、特に増えているのが反社会勢力(暴力団)がからんだトラブルである。記憶に新しいところでは、不動会社のスルガコーポレーションが暴力団と関係の深い地上げ屋を使ったことが発覚、株価が急落して倒産に追い込まれた。新聞沙汰には至らないが、フロント企業(暴力団が経営する企業)につけ込まれて、四苦八苦している企業は多い。

 フロント企業は一見しただけでは一般の企業と見分けがつかず、知らないうちに取引関係を結び、その関係を解消出来ないでいる企業もある。暴力団対策法が強化されて以来、しのぎの道を一般企業を脅す方向に見出しているのだ。

 こうした反社会勢力の襲来の防波堤となって、企業を守っているのがエス・ピー・ネットワークである。同社は反社会勢力だけでなく、企業に襲いかかるあらゆるリスクを未然に防ぐリスクマネジメントコンサルティング会社だが、特に反社会勢力に関係するリスクマネジメントに特長を持つ。

 同社を創業した渡部洋介社長と熊谷信孝副社長は元警視庁の刑事。暴力団の天敵である。社員440人のうち、約70人が警察関係の出身者だ。武道で鍛えた頑強な体格の持ち主である渡部社長は「まず、経営トップが暴力団との決別を断固たる決意で社内外に宣言することです」と反社会勢力に対するリスクマネジメントの要諦を説く。


反社会勢力に対する防波堤

小さなコンプライアンス違反を見逃さない

 小さなコンプライアンス(法令順守)違反を放置すると、将来大きなリスクになることが多い。たとえば、高級品などを扱う販売店が反社会勢力に商品を売ったとする。初めのうちは、特に問題は起きないが、商品の修理などを通じて、少しずつ無理難題を要求してくる。これを放置すると販売店の業績を揺るがすリスクに成長する。

「こんな時は内部統制の規則をつくり、暴力団などに特別の配慮をせず、一般顧客と同じように適正な修理代を頂くとともに、特別の利便を与えないようにすることです」と渡部社長は助言する。もちろん、それだけで暴力団が引き下がるはずはない。そこでエス・ピー・ネットワークの出番となる。内部統制のルールづくりから実際の暴力団との対応まで支援する。

 一般人は暴力団とはめったに遭遇しない。それだけに会社などに踏み込まれると、パニックに陥ってしまう。万一、暴力団と対峙しなければならなくなった時、どうするか。渡部社長は次のようにアドバイスする。まず、一人では会わないこと。弁護士や総務担当者を横につける。暴力団も人を脅すのが商売なので真剣、あらゆるパフォーマンスを披露する。

 あまりにも脅しがひどい場合は「それは恐喝ではないですか。警察に言いますよ」と警告する。相手も心得たもので「言えよ」と高飛車に出る。そこで「わかりました。そうします」と答えると、大体の場合「待て。少し話し合おう」と折れて来る。暴力団にとっては警察が一番怖いのである。
           
 エス・ピー・ネットワークは暴力団対策だけのコンサルティング会社ではない。広くリスク全般についてのリスクマネジメントを手助けする。内部通報窓口(リスクホットライン)、震災対策整備コンサルティング、個人情報保護対応と漏洩対策、クレームリスクマネジメント、警備対策など多岐にわたる。最近では、インターネット上における誹謗中傷や風説の流布などによるリスク防止なども手がけている。「日本一の裏方カンパニー」を目指している。

 エス・ピー・ネットワークはどんな手順でリスクコンサルティングするのか。まず、顧客にSPクラブに入会してもらう。資本金1億円以上の企業は月額15万円、同1億円未満の企業は月10万円を支払って入会する。SPクラブでは毎月1回リスクリスクマネジメントに関するセミナーを開く一方、危機管理に関する情報を会員に提供している。



未然防止こそが犯罪防止の最上の策

 渡部社長は大学を卒業後、警視庁に勤め、16年間刑事生活を送った。犯罪の撲滅に情熱を燃やす熱血漢だった。しかし、同時に事件や被害が起きてから出動する警察活動に疑問を持った。「なぜ、未然に防止する活動が出来ないのか。未然防止こそが犯罪防止の最上の策ではないか」。そう思った渡部社長は同僚の熊谷副社長とともに1996年、エス・ピー・ネットワークを設立、リスクマネジメントのコンサルティング事業に乗り出した。

 しかし、武家の商法というか、当初はうまく行かず、1年も経たないうちに資金繰りに窮した。2年目に入った頃から徐々にSPファンが増え始め、3年目から右肩上がりの業績を上げることが出来るようになった。

 現在、SPクラブの会員数は約500社に達し、08年5月期の売上高は36億円強、経常利益も2億円を計上するまでに成長した。渡部社長は「16年間の刑事生活で学んだことより、会社を経営してお客様から学んだことがはるかに多い」と厳しいビジネスマン生活を振り返る。

「社長は現場で何が起きているか、目配りしてほしい」と渡部社長は訴える。どんな小さな企業でもリスクの種がころがっている。たとえば①不透明なカネの使い方②残業代の未払いなどの労務問題③小さなコンプライアンス違反など。特に、③の小さな違反を放置していると、将来、「食品の偽装や建築基準違反など大きな不祥事に発展する」と忠告する。

 同社では簡単なヒヤリングシートで隠れたリスクをあぶり出す。「支店や営業所などの拠点監査をすると、社長が驚くようなコンプライアンス違反が沢山出て来る」と熊谷副社長は指摘する。



リスク管理はコスト低減につながる


 渡部社長が今、取り組んでいるのは企業側のリスクマネジメントに対する意識の啓蒙。特に現在のように不況になると、リスクが表面化していない場合は、不要不急の出費として、リスクマネジメントをおろそかにしてしまう企業が多いからだ。

「リスクが表面化してからでは、遅い。リスクを未然に防げば、会社全体のコストも低減できる」と渡部社長は説く。リスク管理が会社のコスト低減になることを経営トップに理解してもらうことが同社の課題といえそうだ。



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