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トピックス -企業家倶楽部

2015年06月25日

創業期の危機を超え成長ベンチャー特化の人材会社/ネオキャリア代表取締役 西澤亮一

企業家倶楽部2008年6月号 注目企業

ベンチャー企業の魅力を伝える

企業が新卒者獲得に熱を上げている。

厚生労働省、文部科学省が3月にまとめた今春卒業予定の大学生の就職内定率(2月1日時点)は、88・7%と前年同期より1.0ポイント上昇。4年連続で前年を上回る熱狂ぶりで、多くの会社が優秀な人材を自社に招くべく、凌ぎを削っている。

「そんな時は、学生がよく知っている大手企業に人気が集まりがち。しかし、裁量権が大きい環境で自分を高めたいと、ベンチャー企業を望む新卒もいる。彼らとベンチャー企業を繋げるのがネオキャリアです」と、社長の西澤亮一は笑顔で話す。

   ネオキャリアが手がけるのは、新卒・中途採用関係の業務。就職活動生のための求人情報サイト「ネオキャリア就職ナビ」や、転職用求人サイト「ネオキャリア転職支援」の運営に加え、新卒・中途の人材紹介事業、さらにベンチャー企業だけを集めた会社説明会イベントの開催もしている。2007年9月期の売上高は22億900万円、経常利益は1億4400万円。上場も視野に入ってきた。

   その強みは、従業員300人以下で成長中のベンチャー企業に特化している点にある。「ネオキャリア就職ナビ」には、「若手社員が次世代携帯開発、気象衛星システム等に活躍しています」「2010年の上場へ向けたカウントダウン!100人の社内起業家を育てる」など、威勢のいいキャッチコピーがずらりと並ぶ。求人広告の掲載価格は30万円(約1年半の掲載)からで、2008年度には500社が出稿。登録している学生は10万人に上る。 

「ベンチャー企業が大手新卒求人サイトに登録しても、大手企業に見劣りしてしまったり、知名度が低い分、探し出されないことが多い。大枚をはたいても人が集まらず、割に合わないと、大手求人情報サイトに出稿を控えるベンチャー企業が多くありました。ネオキャリアはそのニーズを衝いたわけです」と西澤は説明する。

   ベンチャー企業の魅力を伝えるため、工夫をこらす。例えば、ソフト会社の求人を出す場合も、ただ「急成長中のソフト会社です」と紹介するだけではなく、「社長の近くで一流の技術を身に付けられる」など、ベンチャー企業だからこそ実現できる状況を強調する。もちろん、若い人が多い、仕事の裁量権があるなど、会社によって魅力は異なる。そんな会社独自の魅力を探るため、採用広告作成時には社員たちにウェブアンケートをとる。「仕事のやりがいは?」「会社の魅力は?」などいくつかの質問で現場の声を聞き、より現場の息遣いが伝わる広告を作っている。

   ネオキャリアのサイトを使い成長したベンチャー企業も多い。例えばあるモバイル関係の会社は、社員10名の頃からネオキャリアを活用。社長が持つ技術力を強くアピールしたことで応募者が増え、3年間で100名以上の規模の会社へと急成長した。

「ずっと見ている会社が、うちを使って成長してくれるのは本当に嬉しいです」と西澤ははにかむ。


ベンチャー企業の魅力を伝える

創業期、4000万円の負債を完済

そんなネオキャリア自体も、現在社員150人というベンチャー企業である。しかし、成長の最中には何度も危機に直面している。

   最大の危機は創業期に起こった。西澤は2000年4月に投資会社に入社後、同年11月に投資会社の仲間らとネオキャリアを創業。当時は「自分は社長タイプではないだろう」と取締役として参画した。創業期の仕事は、中途採用の人材紹介やコンサルティング。メンバーのほとんどが20代前半で和気藹々とした雰囲気の中、西澤は、会社の売り上げの半分以上を稼ぐなど活躍を見せた。

   しかし、02年になってすぐ給料が遅配した。「何かがおかしい」。不信に思って見た会社の通帳は、なんとほとんどカラ。あわてて調べてみると、4000万円の負債まであることが発覚した。社長はその責任をとって辞任、02年4月、高い営業成績を出していた西澤が社長を引き継ぐことになった。

「当時は経理もいなかったし、稟議すらなかった。皆経営がわからない素人集団でした。反省しましたね」と、当時を振り返り苦笑いする。

   社長になった西澤がまず手をつけたのは、全社員を安心させることだった。「社員が一人でも残っているなら、最後までやる。ゼロになったら会社を辞める。だから、安心して働いて下さい」と宣言した。しかし状況は厳しく、出資者から「会社存続を再考するように」と言われた。一時は全役員と創業メンバーの給料をストップするまで追い詰められた。創業メンバー9人のうち、3人が辞めていった。

   西澤自身が逃げずに踏みとどまれたのは、ひとえに親の影響による。西澤の父親はやりたいことがあったものの、祖父が背負った借金を返済すべく、田舎に戻った。そして跡を継ぎ、借金を返し続けた。「父のように、誰かに必要とされる生き方をしたい。逃げない生き方をしたい」。父の背中を見て育った西澤少年は、いつしかそう思うようになった。

   たとえ潰れそうな会社でも逃げ出したくないと、夢中で会社を改革していった。「テクニカル的な改革より、皆が『会社から求められることをやる』ことに意識を集中しました。あと、社員が不安がらないよう、僕自身が『できる』と信じてやりました」。結果、03年9月に借金を完済することができた。

   西澤はこの経験から、創業期のベンチャー企業がまずぶつかるのは、5~10名の壁だと指摘する。

「この壁を越えたいなら、社長が心の底から本当に成長を求め、リスクをとる必要があります。ネオキャリアもリスクをとって参入した新卒採用が、結果的に成長の起爆剤となった。成長したいのか?今のままの組織でいいのか?社長は自問する必要がありますね」



「クレド」策定で組織力強化

06年には社員100人規模に成長。しかしその際、会社の方針が伝わらないことが多くなった。そこで社内で「クレド」と呼ばれる行動指針を全社員で創りあげ、07年10月に導入、組織力強化を図った。「どんな時も自分と仲間を信じ、目の前の状況にしっかりと向かい合い、前向きに挑戦していきます」「新しい会社のあり方や働き方を創り続けるために、どんなに小さなことでも工夫と改善を続け、新しいことに挑戦し続けます」など、15の約束を定めた。この「クレド」に沿って、いい行動をした社員を表彰する「ベストクレド」制度も導入。ネオキャリア社員のアンケートでも、8割が「どんな行動をすればいいかわかりやすくなった」「会社の方向性が明確になった」と感じており、好評だ。「メンバー皆で創ったことで、主体性を持って働くようになりました」と西澤も満足気に語る。

   このクレド作成のノウハウを生かし、08年2月には、企業の行動指針作りを手伝う「クレドコンサルティング事業」も開始。今後は、現在の採用事業に加え、「クレドコンサルティング事業」を始めとする人材定着・育成事業にも力を入れる方針だ。「将来的には、多くの人に仕事の楽しさを教えていきたいですね」と笑う西澤社長。現在30歳。前向きで明るい、元気溢れる経営者である。



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