• トピックス
  • 企業家倶楽部
  • バックナンバー
  • 企業家チャンネル
  • 私の注目ニュース
  • 新商品コーナー

トピックス -企業家倶楽部

2015年07月02日

宅配リユースで世界を変える/リネットジャパングループ 代表取締役社長 黒田武志

企業家倶楽部2015年8月号 今、日本を最も面白くする企業家たち


コメンテーター:徳永卓三(企業家ネットワーク会長)、キャスター:宮舘聖子

この記事は、BS12(トゥエルビ)で放送した同名番組を紙面化したものです。2015年4月より後続番組として、『熱血企業家!』(BS12 毎週火曜午前7 時30 分から)を開始致します。過去放送分も含めた動画は、企業家ネットワークのホームページでご覧頂けます。





宅配回収でリサイクルを促進させる

 弊社は2000年創業、インターネットと宅配便を使い、無店舗型のリユース事業を展開している会社です。古本・CD・DVDだけでなく、中古のブランドやジュエリーなど、幅広くリユース商材を扱っています。これまではネットオフという会社でリユース事業を展開してきましたが、この度リネットジャパンに社名を変更し、リサイクル事業に挑戦しようとしています。

 リネットジャパンの特徴は、ネットオフで培った宅配回収を応用した新しいリサイクルの事業形態です。2013年4月、小型家電リサイクル法という新しい法律が制定され、その認可を2014年1月に取得しました。家に眠っている小型家電を宅配便で回収、中間処理の業者への売却を通して、レアメタルなどの資源を抽出するのが主な事業です。



家に眠っている都市鉱山を発掘したい

 天然鉱山と対比させて、既に発掘され携帯電話やパソコンに使用されている資源のことを都市鉱山と呼びます。日本は資源のない国と一般的に言われていますが、都市鉱山まで含めた場合、資源大国に匹敵する埋蔵量があります。金や銀であれば、世界で一番天然鉱山を所有している国よりも総量の面では勝っているのです。しかし現状は、年間850億円ほどのレアメタルが再活用されずにそのまま埋め立てられてしまっています。我々は宅配便でそれを回収し、都市鉱山を掘り起こすことを目標にしています。

 小型家電という分類はまだ世間では馴染みがないかもしれません。先行して制定されていた家電リサイクル法では、テレビ、冷蔵庫、洗濯機、エアコンの4品目の回収が義務付けられていました。小型家電とはその4品目以外すべての家電を指します。例えば携帯電話は、現在日本中の家庭に2億台眠っていると言われています。個人情報などのデータ漏えいの懸念があるため、お客様も簡単に捨てることができないというのが現状なのですが、我々はデータセキュリティについても安心・安全なサービスを提供することを徹底していています。

 私が都市鉱山について知ったのは、創業から10年を経た2010年に、ある大学教授の書籍を読んだことがきっかけです。その時、我々が今までやってきた宅配便を使ったサービスが、その課題の解決のために応用できるのではないかと思い立ちました。事業に先駆け、「宅配回収で世界を変える」という意志表示として、日本経済新聞の一面で私自ら出演した広告を大胆に打ちました。私も社員もはじめは手探りの状態でしたが、我々がパイオニアとして小型家電のリサイクルを推進するのだという強い想いを貫き続けました。

 小型家電リサイクル法の草案が浮上した時、宅配回収の構想から既に2年が経過していました。我々は草案の段階から積極的に関係各所にプレゼンを行ない、遂に宅配便による回収を実現させたのです。知名度のある大企業ではないので、はじめはベンチャーがどこまで事業展開できるのかと難色を示す関係者もいましたが、ネットオフで14年間宅配買取を続けてきた実績、年間2000万冊をリユースしてきた経験、そして会員数200万人という規模の大きさが最終的な決め手になったのだと思います。


家に眠っている都市鉱山を発掘したい

ものづくりの知恵を活かしてシステムの効率化を図る

 2009年夏、グーグルやペイパルなどを輩出したシリコンバレーの起業支援団体が主催する「PACT2009」という大規模なビジネスコンテストがありました。世界各国200社あまりのベンチャー企業の中から、我々ネットオフはファイナリストに選出されました。自社の大規模な商品センターで在庫を管理し、インターネットで販売するという形態が世界からみてユニークなビジネスモデルだったこと、そして中古品の中でも特に単価の安い古本商材で利益を出せていたことなどが評価されての受賞です。

 機械で全てを行う全自動管理体制なら、もちろんアメリカの方が技術も進んでいます。しかし、古本は一点ものが多いので、機械ではなく人間が管理しなければなりません。そのため、利益を出すには作業従事者の書庫内の移動を一歩でも早くする工夫や、個々の作業を短縮する小さな改善を積み上げることが大切です。

 我々の商品センターはトヨタ生産方式を採用しています。私が元々トヨタの社員だったということもあり、トヨタのものづくりに鍛えられた方々にも知恵をお借りしながら、14年かけてこの管理体制を作り上げてきました。

 地道な努力かもしれませんが、そのような姿勢がネット企業としてはユニークに映ったのかもしれません。我々はIT系の企業ですが、愛知県に基盤を置く会社らしくものづくりの知恵も大切にしています。



人生を変えた坂本氏との出会い


 私が起業を決意したきっかけは、トヨタの社員時代まで遡ります。偶然社内でカーショップの新規立ち上げ事業に携わることがあり、ビジネスを新規開拓することの面白さに目覚めました。そんな中、ある雑誌に記載されていた、ブックオフ創業者である坂本孝氏の「ベンチャーを応援したい」という内容の記事が目に止まったのです。その精神性に感銘を受けた私は、有給休暇を使って坂本氏の講演会に通い詰め、気付けば三重県四日市市のブックオフで時給700円のアルバイトを始めていました。もちろん週末のみですが、寮のある名古屋から車で1時間半かけて四日市市まで通う日々を送っていました。

 そんな生活が10カ月ほど過ぎた頃、講演会によく来ていた私が店舗でアルバイトをしていることを聞きつけた坂本氏本人から店舗運営をやってみないかとのお話を頂き、それがきっかけになってトヨタを退社、私は独立を決意しました。ひとつの会社に定年まで勤め上げるという価値観の両親からは猛反対されましたが、「自分の人生だからチャレンジさせてほしい」と説得し、最終的には納得してもらいました。



インターネットを使った宅配回収事業

 私は当初より、インターネットで起業したいという強い想いを持っていました。店舗で修行を積むべきだと考えていた坂本氏には断固反対されましたが、インターネットで宅配事業を行なうために独立したようなところもあったので、師匠である坂本氏からの破門覚悟で踏み切りました。

 インターネットビジネスの構想を練り始めた97~98年頃、インターネットはまだ黎明期で、利用者も少ない時代でした。実際に事業に着手した時も、社員のほとんどはまだインターネットを触ったこともない状態だったので、構想の理解を得るのには苦労しました。

 
 98年に独立し、はじめはフランチャイズの加盟店として2年半ほど店舗運営をしました。その後トヨタが当時展開していた「GAZOO」というインターネット事業と提携し、古巣のトヨタからも応援をして頂きながら業務をスタートさせました。

 当時のインターネット事業は先行投資で、少々赤字が出ても未来の成長を優先するというスタイルが主流だったので、我々も例に漏れず投資を大規模に行いました。はじめはなかなか黒字に転換できず、軌道に乗るまでは苦労もありましたが、ひとつひとつの工程や作業を改善することで、毎年生産性を上げていき、徐々に利益が出るビジネスに成長させていきました。


インターネットを使った宅配回収事業

各自治体と提携し日本中にサービスを展開

 宅配回収は大きな枠組みで言えば粗大ごみの回収です。今後は行政サービスの一環として、どれだけ各自治体と連携して展開していくことができるかが課題と言えます。いくつかの市町村とは既に提携を結んでいますが、2~3年のうちに全国の市町村に普及させていきたいと思っています。

 現在200万人いる会員数も、5年後までには1000万人にまで拡大させることが目標です。リネットジャパンの宅配回収をご利用してくれたお客様が、次にネットオフの古本、ブランドの宅配買取をご利用いただくことで、両事業の間に相乗効果が生まれます。

 我々の最大の強みは宅配便の回収による利便性の高さです。例えば、パソコンや大量の古本を店舗まで運び出すのは、高齢者や女性にとってかなりの重労働ですが、宅配便を申し込めば翌日に直接家まで引き取りに来てくれます。小型家電リサイクル法は昨年できたばかりの法律ですから、一般的に認知度はまだ高くありません。将来的にはリネットジャパンでも株式上場を目指し、日本で小型家電のリサイクルを普及させるためにも、宅配回収事業をなんとしてでも推し進めていかなければならないと感じています。

 我々は「ビジネスを通じて偉大な作品をつくる」という企業理念を掲げています。ここでいう作品とは、宅配便を使ったリサイクルの仕組みのことを指しています。私が歳をとって企業家人生を振り返るときに、「いい作品をつくった」と人々に言ってもらえるような仕組みが完成すれば、それに勝る喜びはありません。 



コメントをシェア

骨太対談
 
コンテンツメニュー
企業家賞
企業家倶楽部企業家大学
Page Top