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トピックス -企業家倶楽部

2010年11月15日

新たなモバイルネットワークの構築を目指す/ACCESS代表取締役社長兼最高経営責任者 鎌田富久

企業家倶楽部2010年12月号 トップに聞く


あらゆる機器を通じてネットに繋がる時代が来る。荒川亨、鎌田富久氏という二人の若き企業家が、モバイルを中心としたネットの先端技術開発に取り組んで25 年。2009 年10 月に荒川氏が若くして逝去するなど、数々の困難を乗り越えながら、鎌田社長率いるACCESSは携帯から電子書籍、家電へと領域拡大を目指している。「自ら作り出した技術で世界一になる」。荒川氏の志は鎌田社長の中に強く生き続けている。

聞き手は本誌編集長 徳永卓三



モバイルインターネットの時代を牽引する

問 2009年10月に荒川さんが亡くなられて、鎌田さんが経営を切り盛りされるようになってからちょうど1年が経ちますね。

鎌田 荒川さんは、数人で事業を立ち上げた時から志の高い方でした。アメリカで流行っているソフトの日本語版を出せば簡単に儲かった時代、そういうことには一切見向きもせず、自分達の技術でモバイルインターネット分野をリードし世界一のグローバル企業になるという強い信念を持っていたのです。私は、世界を目指す彼の志に共感して、ここまで一緒にやってきました。

 現在、ACCESSにとって変わり目の時期です。過去10年程は日本の携帯も右肩上がりで、世界をリードしていたので、私達もまずは日本を固める時期でした。しかし、今はネットに繋がる端末も世界中に普及し、グローバルに事業を強化する方法について考える必要があります。


問 周囲の状況変化に対して今後、具体的にはどのようにACCESSを変えていかれるおつもりですか。


鎌田 現在、HTML5.0という、ホームページを記述する言語の新規格が非常に注目されてきています。従来、動画や音声といったデータは容量が大きく、取扱いも難しいとされてきました。そこで、今度はそのHTML5.0という規格に全て統合することで、マルチメディアの時代に適応しようというわけです。私達は、今までのブラウザのノウハウを活かして、このHTML5.0をいち早く携帯やテレビなど様々なものに対応させるということに力を入れていきます。


問 現在、モバイルインターネットの時代になったと思いますが、時代がまさに自分達の方に近づいてきているとお考えですか。


鎌田 パソコン以外でネットワークに繋がる機器が増えてきているので、領域がかなり広がったように感じています。ACCESSはそうした新領域に、新しい技術・製品を先行して広げていくつもりです。


 また、その時にはさらに事業を広げて、私達のソフトとサービスをペアで提供していこうとも考えています。例えば電子書籍なら、ソフトだけでなくコンテンツもセットにして提供できるという具合です。



出版産業変革のドライブ役となる

問 出版社に電子書籍を作るソフトを提供して、さらに配信業務なども全て手がけるおつもりですか。

鎌田 そうです。例えば、ある雑誌を電子書籍にしたい時には、そのデータを貸して頂ければ、私達のソフトに流し込んで加工し、アップルのモバイル端末でもグーグルのアンドロイド端末でも、その雑誌の電子版を出せます。私達が作っている雑誌(東京カレンダー)を含め、いくつかはすでに商品化されていて、オファーを受けた出版社は、約20社あります。


 初期費用は数十万円でやっています。初期費用を下げて、その代わり売れた時に何%か頂くという形になると思いますが、具体的な数字は要相談です。あとは、紙と同じ値段で売るのかどうかといった調整も必要でしょう。


問 商品化された電子書籍は、iPadなどでも見られますか。


鎌田 はい、10月に発表された「東京カレンダー」電子版では、動画が入ったり、読み上げてくれたり、お店なら地図が出てきたり、電話をかけられたりといった、双方向にやり取りできる先進的な機能がたくさん入っています。


 雑誌も徐々に「HTML5.0」に変わっていくでしょうから、最終的にはホームページに飛んでイーコマースができるところまで誘導したくて、雑誌を読むことが次のアクションに繋がるような新しいメディアを作りたいと思っています。今年から進めている雑誌閲覧用ソフトのNet Front Magazine Viewerは、その先駆けです。長い目で見れば、電子書籍の出現は出版産業自体の大きな変革ですから、その中心的な役回りを演じたいと思っています。


問 大手出版社や大手企業との提携は考えていらっしゃいますか。


鎌田 NTTドコモの電子書籍トライアルサービスにNet Front Magazine Viewerと電子雑誌コンテンツを提供する発表をしました。また、私達は、コンテンツを持っている方々が参入しやすく、様々なアイディアが生まれるようなテクノロジーを提供したいと思っています。特に、紙による出版は初期コストがかかるので、ハードルが高い。電子の方が初期費用がかからないので、電子で試してみて逆に後から紙で出すなど、電子と紙をうまく使うコンビネーションが必要になってくるでしょう。連載物であれば、電子の方が反応を見てやり方を変えたりできます。また、ユーザーの反応もすぐ返ってくるので、面白いと言われたものをより伸ばしていくなど、やりやすい面が多々あると思います。



次はネットテレビの時代

鎌田 二つあります。まずは私達がソフトを供給する先であるテレビメーカーです。そして、先ほどの電子書籍のようにサービスを付けたいので、サービスを持っている企業とも提携して、両方を繋げていこうと思っています。サービスとしては、買い物など現在パソコンでしていることを、頻繁に行うような日常的なことはテレビでも簡単にできるようにしていきたいです。

 今後、日本社会はますます高齢化が進むでしょう。近所の商店街はどんどん減って、大型店やネット販売が取って代わるようになってきているので、パソコン以外で、商品を家庭で簡単に注文できる端末に需要があると思っています。まずは、よく使うメジャーなサービス、具体的にはスーパー、コンビニ、百貨店などが考えられます。


問 電力需給を調整するシステムとして最近注目を集めているスマートグリッドにも参入されていらっしゃいますが、この事業はどのような状況でしょうか。


鎌田 2006年にIP Infusion というルータソフトの会社を買収しました。ルータソフトとはネットワークの接続側のインフラ・ネットワーク機器向けソフトです。その技術を応用して、Net Front Smart Objects という名前で、電気やガスのメーターに小さなソフトを入れて通信させるスマートメーター向けソフトを開発しました。このソフトが入ると様々な統計が取れますので、予測もできて、電力供給が最適化されます。このようなスマート・グリッド事業は、非常に有望な分野ですね。



荒川の遺志を受け継ぎ世界で成功する

問 2005年にシリコンバレーのPalm Sourceを買収されましたが、その後うまく進んでいますか。

鎌田 Palm Sourceは「Palm OS」というPDA(携帯情報端末)のOSを持っていた会社で、ACCESSはどちらかというとアプリケーションをずっとやってきましたので、両方合わせるとスマートフォンとして強力なソフトになるだろうという狙いで買収しました。その技術は今、ドコモ向けの携帯電話に使われておりまして、Linuxベースのモバイルプラットフォームのノウハウとして、ACCESSグループで活用しています。


 もともと、自分達の自由にできるOSを作っておこうという考えから始まったのですが、スマートフォンの基幹技術の蓄積、特許も含め、大きな財産になっています(10月8日マイクロソフト社へのライセンスを発表)。


問 海外で、今後特に力を入れていきたい国はありますか。


鎌田 中国です。ACCESSは、3Gの端末の中では中国におけるブラウザのシェアで首位を誇っています。3Gの端末はこれからも増えていくと思うので、さらにシェアを伸ばしつつ、様々な機能を加えていくつもりです。日本では雑誌などの電子化が始まっていますが、中国も遅れずに付いて来ています。ネット人口が多く、購買力も上がってきているので、中国にはもう一度力を入れていきたいです。


問 中国の企業とも積極的に提携されていますね。


鎌田 はい、携帯やネットワーク機器など何でも扱っているファーウェイ・テクノロジーズや、電気機器を扱うZTEといった大企業と手を組んで、共同開発も行っていきます。


 荒川さんも世界で成功するのが夢でしたし、私の夢でもあるので、是非荒川さんの遺志を継いで頑張ります。


Profile

鎌田富久(かまた・とみひさ)

1961年、愛知県生まれ。東京大学大学院卒業。理学博士。1984年2 月、前CEO荒川亨氏と共に有限会社アクセス(現株式会社ACCESS)を設立。PC以外の情報端末向けソフトウェア開発を行い、1998年、世界初となる携帯電話のインターネットブラウザ「コンパクトネットフロント」を生み出す。同商品はNTTドコモのi モードの端末として採用され、翌年のサービス開始に大きく貢献した。2001年2月、東証マザーズに株式上場。2009年2月に代表取締役兼Co-CEOに、10月、荒川氏の死去に伴いCEOに就任。2010年1 月期連結決算は売上高324億円、経常利益28億6500万円。



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