トピックス -企業家倶楽部

2015年08月07日

本物のオーガニック化粧品を広めたい/MARiAS Organic Japan代表取締役 九島洋一

企業家倶楽部2015年8月号 スタートアップベンチャー


プロフィール、肩書き、会社概要は掲載当時のものです。




メアミルクを使ったオーストリア発オンリーワン商品

 オーストリア・ザルツブルグ。モーツァルト生誕地として、またサウンド・オブ・ミュージックの舞台として知られている。この自然豊かな地で20年ほど前、マリア・ピーパーは自分の家族のために作った石鹸が評判となったことがきっかけで、OEMの化粧品製造を始めた。しかし、理想のスキンケア製品を作りたいとの思いが膨らみ、2007年に自分の名を冠したMARiAS(マリアス)というオーガニック(有機無農薬)化粧品ブランドを立ち上げた。

 自給自足の生活を送るピーパーが作る化粧品は、フラワーウォーター(蒸留水)を使い、植物成分全てが有機認証取得原料である。07年には世界で最も厳しいとまで言われているオーストリアの有機認定団体「オーストリア・ビオ・ギャランティ(ABG)」の認定を受けた。オーストリアはヨーロッパ有数の環境先進国として知られている。全成分の95%が有機認定基準を満たすという厳格な審査基準のために、食品以外では初めての取得であった。

 同社で最初に誕生した主力商品、メアミルクシリーズは馬乳を使った基礎化粧品だ。美容業界ではいま注目されている原料の一つである。馬乳は日本人には馴染みが薄いが、栄養価が高く、ヨーロッパや中央アジアでは飲用に止まらず、擦り傷や軽いやけどなどの塗り薬としても昔から珍重されてきた。多く含まれているリノール酸には炎症鎮静効果があり、敏感肌に優しい。高い保湿力と牛乳の14倍含まれると言われるビタミンCは、アンチエイジングや美白にも良いとされている。

 同シリーズの製造は有機無農薬土壌の牧場を作る所から始まった。出来るだけ自然に近い状態で馬にストレスを与えない飼育を行い、原料のミルクも仔馬が飲みきれずに残ったものを冷凍保存して使用するこだわりようだ。 

 マリアス創立の07年、いち早くその品質に感動し、個人で日本への輸入販売を始めた女性がいた。


メアミルクを使ったオーストリア発オンリーワン商品

品質の良さに魅了される

 MARiAS Organic Japan(マリアスオーガニック ジャパン)は2014年2月設立、日本での輸入販売に携わってきた。伊勢丹新宿店やオッシュマンズ二子玉川店、bedfitter軽井沢といった、ハイクラスのセレクトショップやデパートなどの店舗販売に加え、同社サイトでのネット直販も行っている。今年度の売り上げ目標は7000万円、来年度は3倍の2億円を目指している。

 数年前、現在同社代表を務める九島洋一の元にマリアスの日本での独占販売権を売却したいとの案件が持ち込まれた。7年間ほど輸入販売を手がけ顧客もついてはいたが、孤軍奮闘に限界を感じていたのである。ブランドイメージを損なわないという彼女の意を受け、九島は売却先を探し始めた。ところが、売却先を探すためにマリアスを知れば知るほど、品質のよさに魅力を感じるようになった。

 現在、巷にはオーガニック化粧品が溢れているが、日本にはオーガニック化粧品の基準や認定団体が存在しない。配合された成分のほとんどが化学物質であっても、1種類でもオーガニック成分が含まれていれば、オーガニック化粧品と称することができる。そのため、本来ならば自然派と分類されるべき化粧品もオーガニック化粧品として認知されていることが多い。

 しかし、マリアスの製品は全てABGの認定を受けた正真正銘のオーガニック化粧品である。地球の自然環境が大きく変化していることを常々感じていた九島は、マリアスの製品は近い将来、間違いなく必要とされていくと確信した。商品に惚れ込んでしまったのだ。すぐさまザルツブルグへ飛び、小学校の体育館ほどの規模の製造工場を視察、職人が手作業で製造している様子などを確認して品質の高さを実感した。

 権利を譲り受け、九島の挑戦が始まった。小規模ながら安定した売り上げはあったものの、化粧品業界が未経験の九島にとって、立上げからの一年間は、商品知識、展開方法、流通など全てが勉強の毎日だったという。2015年2月には合同展示会に出展、東京・渋谷ヒカリエのイベントや伊勢丹新宿店などへの出品につながった。今夏には東京・表参道ヒルズのイベントに出品予定だ。


品質の良さに魅了される

メアミルクを普及させたい

 100種類あるマリアス製品のうち、日本で販売しているものは40アイテムあり、スキンケア商品も多彩だ。中核は前述のメアミルクシリーズで、40代以上の女性をメインターゲットにしている。同シリーズはどの年代でも使用出来るが、ミドルエイジが最も効果を実感出来るからだ。他にはワイルドローズのスキンケアシリーズ、クレイと呼ばれる泥パック、シャンプーなどのヘアケア商品やバスソルト、ボディーバターなどのボディー用商品まで取り扱っている。

 マリアスのコスメは防腐剤は最小限または不使用なため輸送は全て空輸。おのずと高価格になってしまう。その中でも手に取りやすいのが、アロマミスト「アロマ フィール ザ カラー」だ。10色展開されており、手頃な価格、シンプルなデザインをした手のひらサイズのスプレーで、選ぶ楽しみがあるのが特徴。スプレーの色だけでなく、風水や星座で選ぶも良し、好みの香りで選ぶのも良いだろう。1人で2、3本買い求める20~30代の女性も多いという。もちろん、エタノールに至るまでオーガニック原料を使用しており、香りも優しい。

 自然派化粧品に飽き足らず、自分の肌に合うコスメを探している人にこそ、本物を届けたいと九島は語る。

 ヨーロッパには提供する飲食物、コスメ類やリネン類が全てオーガニック製というBIOホテルがあるが、生産国のオーストリアでの主たる販売先は、その中のエステティックサロン(エステ)。約300店舗あり、マリアス式の施術も確立している。いずれは日本でもコスメと施術をセットにして、エステや美容院などで導入することも可能だろう。現在は多くの切り口で様々な年齢層に商品を届け、消費者のニーズによっては、現在取り扱いのないシリーズの展開も考えている。

 九島はオーガニックの規定も曖昧で正確な統計がないとした上で「国内約2兆円の化粧品市場のうち、自然派・オーガニック化粧品市場は約5%程度の1000億円。そして、この割合は徐々に増えていくのではないか」と分析する。しかし、「急激に顧客が増えすぎても、生産能力に限りがある」として、必要としている人に確実に届け、永く愛されるブランドに育てるつもりだ。

 今の九島の夢は、日本の古来種の馬乳でメアミルクシリーズを作ること。絶滅危惧種の保存にも寄与することが出来るとあって、ピーパーもその夢に賛同しているという。日本産メアミルクシリーズの誕生を期待したい。




【企業概要】

社 名 ●  マリアスオーガニックジャパン株式会社

本 社 ●  東京都港区赤坂9-5-12パークサイドシックス402

設 立 ●  2014年2月

資本金 ●  1225万円



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