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トピックス -企業家倶楽部

2009年07月19日

対中貿易の壁をすべて取り除き日本の中小企業の新市場を拓きたい/アリババ代表取締役社長 香山誠

企業家倶楽部2009年8月号 核心インタビュー


肩書き、プロフィール、会社概要等は掲載当時のものです。

世界最大のB2B(企業間取引)サイトを運営する中国のアリババ・グループ(阿里巴巴集団)。その日本法人アリババ・ジャパンが2009年1月から中国向け輸出支援サービスを開始し、5カ月が経った。同サービスの開始に際し、同社の香山誠CEOは「輸出に伴う『取引先開拓』『言葉』『貿易実務』の3つの壁を取り除く」と宣言している。中小企業の期待がかかる輸出支援サービス事業の現状と将来展望を聞いた。 (聞き手は本誌編集長 徳永卓三)

香山 誠 (こうやま・まこと)1957年生まれ。1986年にソフトバンク株式会社入社。営業本部などを勤務後、分社化したソフトバンク・イーシーホールディングス株式会社にて取締役に就任。2000年からはソフトバンク・ヒューマンキャピタル株式会社(旧イーキャリア株式会社)代表取締役社長に就任。その後、同社子会社のアビリティデザイン株式会社代表取締役社長などを経て、2006年11月よりマイスペース株式会社の代表取締役に就任。2007年11月よりアリババ株式会社の代表取締役社長に就任。
 

 



煩雑な貿易手続きを解決

問 アリババ・グループの現状をお聞かせ下さい。

香山 アリババ・グループはB2Bサイト「アリババ・ドットコム」や、B2C及びC2Cサイト「タオバオ」を運営しています。「アリババ・ドットコム」は、中国国内で75%のシェアを獲得するのみならず、世界規模で取り扱いを拡大し、登録ID数約3800万、240カ国で利用されています。また、「タオバオ」の取扱高は約1兆5 000億円で、出店者数は170万、国内シェアは80%を占めています。

 アリババ・ジャパンは2007年11月設立以降、130万点以上の商品を日本語に翻訳して日本バイヤー(買い手)に提供してきました。例えば、最近新型インフルエンザが話題になりましたが、ある日本企業は我々を通じて中国企業からマスクを5万枚購入しました。我々の次の使命は、これまでとは逆に日本ブランドを中国市場に売り込むことです。2009年1月12日に「中国向け輸出支援サービス」を開始しました。

問 「中国向け輸出支援サービス」が開始されて約5カ月が経ちました。手応えはどうでしょうか。

香山 1月12日に中国バイヤー向けにサイトをオープンすると、3日間で約1万5000社のバイヤー登録がありました。予想を上回る好反応でしたが、サプライヤー(売り手)の数や品数がまだ対応できないので、ここで一度バイヤーの募集を止めました。営業開始してから3カ月間はテスト期間と位置づけていましたが、二つのことが見えてきました。一つ目は、日本のベビー用品、マタニティー(妊婦)関連、アパレル、あとはアクセサリーのような小物・雑貨が人気だということです。特に中国は一人っ子政策で子どもに対してかけるお金が大きいですから、紙おむつや粉ミルクなどのベビー用品は人気で、特に日本製は安心・安全と評判がいいです。

 二つ目は、取引成立を妨げる要因が大部分「言葉」「貿易実務」にあるということです。「取引先開拓」の壁は「アリババ・ドットコム」と「タオバオ」の顧客数があれば容易に取り除けます。しかし、「言葉」「貿易実務」の壁はまだ課題があったのです。

 まず「言葉」の壁については、最初の中国語の問い合わせは自動翻訳されますが、それ以上の具体的商談に発展すると分からなくなってしまう。また「貿易実務」の壁については、今までは決済や物流などを一つひとつのソリューションとして提供していましたが、商談が最終的に成立するまですべてを一気通貫でサポートしているわけではありませんでした。輸入制限などもありますし、相手が貿易免許を持っているかいないかで変わってきます。

 これを解決するために我々はECの企画・開発事業等を手掛けるネットプライスドットコム(以下ネットプライス)と09年4月に提携しました。ネットプライスはこれまで国際決済や国際物流を経験していますし、中国人も雇用してすべて中国語で対応することができます。彼らを引きこんで改善を図りました。ネットプライスと共同で開発した「中国向けオンライン貿易サービス」では日中間の貿易取引の際に発生する煩わしい手続きをインターネット上の操作のみで完結できます。このシステムをまだ物流や決済などに慣れていないサプライヤーの方々にも導入して行くので、これまでより一層分かりやすくなると思います。



価格帯と品揃えが鍵

問 日本企業の登録件数は、今どのような状況でしょうか。

香山 約1500社から申し込みを頂きました。そのうち商品をネット上に掲載しているのが700社ほどで、商品アイテムは約5万点になっています。

問 この数字は香山社長の予想と比べてどうだったのでしょうか。

香山 商品アイテムは予想通りに推移しています。我々が重視しているのはサプライヤーの数よりも品揃えです。一つ目の理由としては、ネットプライスのように8000品目を出しているサプライヤーもあれば、10~20のところもあるからです。二つ目としては、中国バイヤーをいかに満足させるかが重要です。中国のバイヤーはサプライヤーではなく商品を選ぶわけですから、商品がまず充実していないと中国バイヤーの満足が得られません。

問 これから一番に手を打たないといけない課題は何でしょうか。

香山 いかに我々が中国のバイヤーのニーズにあったものを中心に品揃えできるかです。実は、今はまだ我々の品揃えと中国バイヤーのニーズの重なっている部分が少ないのです。今のところは、タオバオのバイヤーが顧客の中心ですから、消費財のみ取り扱っていますが、これからアリババB2Bのバイヤーも購入するようにすれば、今度は消費財から大きな産業財まで取り扱えるようになります。

問 どうして中国バイヤーのニーズと日本側の品揃えが一致しないのでしょうか。

香山 バイヤーが望んでいる商品はほとんど分かるのですが、価格帯が違うケースが多いのです。中国バイヤーはインターネットを使い慣れていますから、日本の「価格.com」などありとあらゆる価格比較サイトを隅から隅まで見ています。また、彼らは国際決済と物流コストも含め、タオバオ上でいくらなら売れるかを計算していますから、そこに対して日本のサプライヤーが価格対応など様々なことが不十分な場合があります。

問 価格がひとつの大きな障壁なのですね。

香山 はい。しかし逆にそれは日本サプライヤーの勝因にもなりえます。メーカーなどで単価を低く提供できれば十分売れる可能性があります。こういうサプライヤーの中の優先順位付けも我々の中でやっていかなければなりません。このジャンルは小売業よりも卸売業、もしくは在庫処分をされているようなディスカウンターの方々が可能性はあるかもしれません。一つ前の世代のものを売るなどもいいでしょう。

問 先日、日本の出店企業拡大のために光通信と提携しましたね。

香山 共同出資会社「アリ・マーケティング」を設立しました。光通信グループは100万社の顧客データベースを保有していますから、バイヤーニーズに近いところから順に、開拓してもらいます。ですから取引を活性化させる要因になるサプライヤーをアリ・マーケティングで集めていきます。これは09年5月中旬から動き始めました。

問 国際宅配便事業や航空運送代理店業を手掛けるスコア・ジャパンと提携された狙いは何ですか。

香山 これは物流パッケージです。商談が決まったら送り状と一緒に我々のところにモノを送って頂きます。国際物流・通関手続きは全て我々が管理します。運賃料金は、ある一定以下の大きさのモノだったら500円です。これは国内で最も安い運賃料金にしています。ある程度モノが大きくなると、我々が会社まで取りに行きます。ですから何もしなくて良いということです。スコア・ジャパンとの提携により、一般的に中国に輸出する料金の半分以下になります。



世界バイヤーに日本ブランドを

問 アリババ・ジャパンが幾つかの実績を築き上げ、世間に公表できるのはいつ頃になりそうですか。

香山 やはり今年の秋以降になると思います。中国からの輸入の方は、一年半かけてきてサイトパフォーマンスも去年の5月から約10倍になりますから、ある程度まで育ってきたと思います。中国への輸出の方はまだ3?4カ月ですし、ジャック・マー(アリババ・グループCEO)も本当は2?3年かけて育てるべきと言っています。少し我々が急ぎすぎているのかもしれません。しかし、今年の秋以降には、どんなジャンルのどんなものが売れているかもっと明確になり、非常に面白い成功ケースが10~20社と出てきている状態にしたいと思います。

 日本の中小企業にとって非常にインターネットの壁は大きいです。加えて、我々はクロスボーダー(国家間取引)です。この2つの壁があるので相当時間はかかりますが、これから徐々に結果が出てくると思います。ネットも今後高齢者社会を迎えるにつれて比率が大きく上がるでしょう。

問 中国だけでなく、広く世界への展開も将来考えていますか。

香山 今までは日本のサプライヤーを中国に出していましたが、09年7月から世界にも出していきたいと思います。アリババのバイヤー数は中国に3000万弱、世界全体で約3800万あります。アリババの中で最も収益の高い、世界バイヤー向けの英語サイトを日本のサプライヤーが利用しやすいように整備するのです。今まで英語しかありませんでしたが、全て日本語で手続きできる画面を我々が提供します。そこでは中古車や電子部品など、産業財も多く取り扱います。

 アリババほど世界中にバイヤーを抱えている会社はありません。08年9月の世界的な不況の中では、中国企業も例外ではなく打撃を受けたのですが、アリババの会員企業と非会員企業では、倒産する確率が約5?10倍違っていました。「中小企業の活性化を我々がやらない限り他に誰がやる」という高い志を持って期待に応えて行きたいと思います。この秋には大きな成功例を出してみせます。成功する人達が身近に出始めればより多くの企業が利用するようになるでしょう。












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