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トピックス -企業家倶楽部

2016年10月21日

卵で世界一を実現する会社/イセ食品 会長 伊勢彦信 副会長 伊勢俊太郎

企業家倶楽部2015年6月号 今、日本を最も面白くする企業家たち


肩書き、プロフィール、会社概要等は掲載当時のものです。



世界一の卵生産

問 御社は卵の生産で世界一の規模を誇っていますね。まずは事業内容について教えて下さい。

伊勢彦信会長(以下会長)   養鶏場を展開して卵の生産、流通を手掛けております。日本での1日の出荷数は800万個です。

問 卵を安定供給していくための独自のノウハウなどはありますか。

伊勢俊太郎副会長(以下副会長)   当社は「イセ・ インテグレーションシステム」と呼んでいる生産システムを導入しています。親鳥がつくった受精卵を孵化し、育てて、卵を生産する。それから選卵、パックしてお客様にお届けするまでの一連の仕事すべてを自社設備で行っています。この仕組みを導入することによって作業の合理化を図るだけでなく、鳥インフルエンザなどの細菌感染を防いで安心安全を確保。さらに、お客様にお届けする卵の生産履歴などの情報も全て把握出来るようになっています。

 2000年にはこの業界で初めて、品質管理、品質保証の国際規格であるISO9001を取得しました。また、農林水産省が発表した、安全で衛生的な食品を製造するための管理方法の第三者認証であるHACCP認証第1号となり、折り紙つきの生産管理システムを保持しているといえます。

問 アメリカにも進出されていますが、海外での事業を始めたのはいつ頃ですか。

会長 1980年にアメリカで会社を設立しました。銀行から25億円借り入れ、養鶏場を建てたり、現地の養鶏場を買収することもありました。30数年前の当時、アメリカに挑戦し、現地の企業を買収しようとする人は少なかったので、銀行にとっても私にとっても未知の挑戦でした。

 幸いにも良い仕事相手に恵まれ、とても順調に事業を進めることが出来ました。現在イセアメリカでは、東海岸で生産量1位、ニューヨークでも65%のシェアを占めています。問 イセアメリカの事業規模はどのくらいですか。

会長 従業員は800人います。とても忠誠心の高い方ばかりです。アメリカ人は喧々諤々議論するようなイメージがありますが、それは違います。アメリカの役員はじっと顔色を伺ってどんな結論を言ったらいいのか考えています。ボスに対する絶対的な忠誠心を持っています。



天然の栄養カプセル

問 発売から20年以上愛されている「森のたまご」は栄養価が高く、高額ですが、人気はどうでしょうか。

副会長 栄養強化した卵は年々販売量が増えています。森のたまごはDHAとビタミンEが豊富に含まれております。この他にも美容に良いコエンザイムQ10、体内で生成できない健康維持に必要不可欠なα?リノレン酸などの栄養素が強化された卵を販売しています。

問 ただ、やはり食べすぎは控えたほうがいいのでしょうか。

副会長 卵を1日に何個も摂取するのはいけないと思う方もいらっしゃるかもしれませんが、健常者であれば何個食べても大丈夫です。私も会長も毎日3個以上食べていますが、コレステロールの問題は全くありません。卵1つでひよこの毛、臓器、骨など全てが構成されるわけですから、卵1つに全ての栄養が含まれています。そのため卵は、完全栄養食品と言われております。天然の栄養カプセルという意味を込め、サプリメント卵と呼ばれることもあります。

問 新たに取り組んでいきたいことはありますか。

副会長 卵の生産と同時に加工度の高い製品をもう少し増やします。具体的には鮮度の良い卵を活かした、スイーツ、マヨネーズ、スープなどを展開していきたいです。

 スイーツ事業は難しいですが、カスタードを使用し、かつ真似のできないようなもの。この二点を踏まえた上で多くの人々に満足していただける商品を手掛けて行きたいと思います。スイーツ事業は開発準備中で、近い将来には販売可能となる予定です。


天然の栄養カプセル

投資を恐れず革新を恐れず

問 創業100年を超えていますが、何が成功の秘訣ですか。

会長 投資を恐れず、革新を恐れずということです。問題が起きたらそれに執着するのではなく拡大路線で解決することが大切です。

問 拡大するにあたって具体的にどういったことをされていますか。

会長 仲間作りで拡大を図っています。傘下に入りたいという企業が数多くおり、数社が傘下に入りました。

問 他にも考えていることはありますか。

副会長 今は変化のスピードが激しい時代です。流通業界では急激な寡占化が進んでいます。そういった変化に対応するためにジョイントベンチャーやM&Aに力を入れていきます。

問 海外展開はどうお考えですか。

会長 アメリカについては順調です。中国では苦労しておりますが、副会長が担っているASEAN事業も始まり、加速度的に拡大していきます。

問 中国はやはり難しいですか。

会長 難しいですが未来のある市場です。タフな人が多く、一緒に事業展開していく仲間もいますから、大きくなっていくでしょう。卵の生産から販売までしていて、現在は青島、広州、北京で始まったばかりです。生産規模は数億羽を目指しています。中国からASEAN諸国とアジアへの事業拡大を急速に進めていきます。



世界に誇るイセコレクション

問 イセコレクションとも称される美術品の数々がありますが、関心を持たれたのはいつ頃からですか。会長 生まれつきです。子どもの時から関心を持っていました。

 印象に残っているのは、約80年前、小学1年生の時に創刊された講談社の絵本を友人と一緒に買ったことです。この本の絵は、当時一流の日本画、洋画の挿絵画家が描き、その原画を集めて展覧会が開かれるほどのものです。値段は35銭で当時の絵本としては高額でしたが、友達7人で5銭ずつ出し合って買いに行きました。とても綺麗な絵本だったのですが、学校中で回覧されて、手元に戻ってきた時にはボロボロになっていましたね。

問 美術品の収集を始めたのはいつ頃からですか。

会長 仕事を始めたときに、3万円貯まったら金沢の画廊に絵を買いに行っていました。だからお金が貯まる暇がありませんでした。なかなか自制が効きません。

問 美術品のどこに惹かれるのでしょうか。

会長 世界の名品には、きりっとした清潔さがあります。

問 約1000点の美術を無償で貸し付けているということなのですが、有償にはされないのですか。

会長 多くの方に美術品を鑑賞していただいた方が有益だと思い、国立近代美術館や五島美術館など国内の美術館だけでなく、海外でも2015年からロンドンのナショナルギャラリーに無償でお貸しします。

問 イセコレクションは世界的に有名ですから著名な方との繋がりもあると思います。

会長 セゾングループ創業者の堤清二さんや日本文学者のドナルド・キーンさんとの出会いがありました。お二人とも大切な友人です。約30年前に財団をつくった際、堤清二さんに真っ先に入っていただき、以後財団の保証人を務めてくださいました。頭が下がります。

問 ドナルド・キーンさんは日本の文化に精通しておりますね。

会長 江戸以前の文学の研究ではあの人が一番です。日本の研究者であっても彼に相談しないと分からないことがたくさんあります。親日家で素晴らしい研究家です。



イセ食品のアジア展開

問 毎年卵あそびコンテストに協賛していますが、どういったイベントですか。

副会長 2014年で16回目になるのですが、卵の殻を使った工作作品を募集するアート部門、卵を使った簡単な料理を募集するレシピ部門の2つの部門を設け、アート部門は小中高生、レシピ部門は18歳以上の方に応募してもらい、それぞれの作品を表彰するというコンテストです。

 元々はバレンタインデーにおけるチョコレートのように需要換起をしようとはじめました。現在では文部科学省やNHK会長、東京都知事から与えられる賞もあります。立派な作品が多く、オフィスに飾ってあるものもあります。

問 アート部門では何かテーマに沿って創るのですか。

副会長 テーマはありません。条件はただ卵の殻を使うことのみです。仲間同士や親子で一緒に絆を育みながら作っていってほしいと思います。また、本来捨てるはずだった卵の殻を再利用することで、創造性を養い、子どもの情操教育を行なう目的もあります。

問 これからの事業戦略についてはどうお考えですか。

会長 ASEANなどの近隣諸国に、特に美術を先頭として文化事業を展開していきたいです。日本では簡単に見ることの出来る印象派の絵や中国陶磁器も、近隣諸国では展示されていません。日本の現代の工芸、美術はアジアの中でも優れています。これを先頭に立てて日本の文化と一緒にビジネスを持ち込みたいのです。

副会長 アジアを中心に事業を展開していきます。2015年夏には東京でアジアたまごサミット2015を開催し、アジア各国からパートナーになるであろう150社をお招きする予定です。当社の生産技術、マーケティングなどをアジアの皆様にお伝えすることを目的としています。

問 究極の夢をお聞かせください。

会長 中国陶磁器を研究する機関、付属する美術館を東京に作りたいと思います。唯一中国人が日本人を尊敬することがあるとすれば、そのコレクションと日本の中国研究でしょう。

副会長 アメリカだけでなく、中国、そしてASEAN諸国への事業拡大を進めて世界中の人から「卵といえばイセ、イセといえば卵」と言われるような世界ブランドを確立したいです。



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