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トピックス -企業家倶楽部

2011年10月28日

ロハスホテルを目指して/スーパーホテル会長 山本梁介

企業家倶楽部2011年12月号 今、日本を最も面白くする企業家たち


肩書き、プロフィール、会社概要等は掲載当時のものです。

山本梁介(やまもと・りょうすけ)
1942 年大阪府生まれ。64年、慶応義塾大学経済学部卒業後、蝶理に入社。67 年に家業である繊維商社に入社。1996 年福岡にスーパーホテル1号店を開業し、1997年より現職。



マンション経営のノウハウを生かしホテル経営をスタート

 私はもともと30年前から関西でワンルームマンションを経営していました。しかし、現場に入って徹底的に運営管理することを経営の基本としていたため、支店経営となってしまうマンション経営には少し物足りなさを感じていました。そこで、当時はバブル景気だったこともあり、ホテルにも進出しようと思い立ち、2、3棟で営業し始めたのがきっかけです。営業するからには1つの分野を築くくらいの覚悟が必要だと思い、ホテル業界を調べてみると、宴会や飲食のことはどうしても伝統あるホテルに勝てっこない。しかし、宿泊に関してはまだまだ甘いところがあると思いました。
 

 シングルマンションを取り扱っていた頃、最低1年、2年と部屋を提供することから安全面や清潔感、ぐっすり休めないということに関しては直接クレームを受けてきました。その今までのシングルマンションで積み重ねてきたノウハウを持ち込めば、宿泊の面で勝負できるかもしれないと思い、ワンルームマンションではなくビジネスホテルで全国展開を目指そうと考え、スタートを切りました。

 当初は低価格ながらコストパフォーマンスが高いホテルとすることに軸を置いていましたが、サービス産業で大切なのはお客様のニーズに応え、感動していただくことだと気付き、これをいかに作り上げていくかを重視しています。

 現在は、店舗を北は北海道の北見、南は沖縄の先の石垣島まで広げ、101店舗体制で事業を展開しております。



客層をビジネスマンに絞り「安全、 清潔、 ぐっすり休める」を追求

 ビジネスマンが出張旅費の範囲内で一杯飲めて、夜ぐっすりお休みいただけるという形をコンセプトとし、一泊朝食サービス付きで4980円での提供とさせていただいております。頻繁に出張をするビジネスマンに客層を絞り、そうした方々に最も必要なものを「安全、清潔、ぐっすり休める」の3点だと考え、この3点では絶対に他のホテルの追従を許さないよう努力しているのです。このように客層を絞り、コンセプトを絞って、低価格高品質で、料金当たりの顧客満足度日本一を目指しています。

 ビジネスマンのホテル滞在時間は10時間ほどです。その7、8割はベッド及びその周辺で過ごされます。私たちはここを徹底的に高級化しました。設計の段階から、部屋は40デシベル以上の音が入ってこないように防音化し、室温も一定の施工基準を決めてパーフェクトに作り上げました。ベッドも大きなものを採用し、硬いベッドと低反発マットを敷いたベッドを両方用意して、お客様に選んでいただいております。

 また、眠りを深めようということで、大阪府立大学の健康科学研究室とぐっすり研究室というものを作りました。疲労を取るには長い睡眠よりも深い睡眠が必要です。ある一定の深さから、もう一段階深く眠った時、体にミネラルやホルモンが出てきて、疲労が取れます。深い睡眠を取るには血の循環を良くすることが必要です。大阪府立大学と共同開発した「ぐっすりパジャマ」は人体から放出される水分を吸収し、ベッド内の湿度を心地よく保ちますし、「健康イオンスリッパ」は天然ホルミック鉱石を加工して作られており、そこから微弱な電磁波が出ることで血の循環を良くします。このようにぐっすり寝ていただくことに力を入れて進めております。

 それでもお客様がぐっすり眠れなかった場合、代金をお返ししています。以前は毎月100万円以上お返ししていましたが、今ではその額も100万円を切りました。枕が原因で眠れないというクレームが多々ありましたので、枕も様々な開発を試みましたが、なかなかご納得いただけませんでした。最終的には、硬いものから柔らかいものまで数多くの種類の枕を取り揃え、自分に適した枕を選んでいただくことで枕のクレームはゼロになりました。クレームが無くなることはありませんが、そこからヒントを得て日々改善改良に尽くしています。



お客様相談室を設置 クレームをカイゼンに繋げる

 クレーム対応の一環として、ホテル業界初、お客様相談室を設置しました。お客様の苦情を素早く処理することも大切です。次の「カイゼン」に結び付けるため、苦情を全て本部に集め、次のクレームを引き起こさないように努力しています。

 クレームは一次と二次に分けられます。一次クレームとは、すなわちクーラーが効かないといったタイプの苦情で、直せばすぐに解決できます。しかし、適当に処理するなどお客様への対応が悪いと、二次クレームになります。二次クレームになってしまうとお客様は二度と来てくれません。苦情を一元化すると、二次クレームの発生を防ぐことが容易となるのです。

 また、個性のあるホテルですから、ビジネスモデルについてのクレームもあります。これに関しては、説明してお客様に他のホテルを使っていただくか、あるいはビジネスモデルを変えるか、という話し合いに持っていきます。

 ここまでこだわるのは、使命感があるからです。各地のスーパーホテルにお泊りいただくお客様の中には、その土地に足りない商品やソフトやノウハウを供給する方や、文化やスポーツなどの観光、交流を通じた応援団が多くいます。そうした方々にぐっすり眠って元気になっていただきます。そしてその土地で社会活動、経済活動をしていただくことで、その土地の経済社会活動の活性化をお手伝いすることこそ、私たちの使命だと感じており、意欲に燃えているのです。

 2009年には日本経営品質賞をいただきました。私たちには、「最高峰のおもてなしやお客様を元気に明るくする対応は他者の追随を決して許さない」「料金当たりの顧客満足度は日本一である」という自負がありました。それを証明しようと思い、スタッフ一同で日本経営品質賞の受賞に挑戦しようということになったのです。1回目は落選してしまいましたが、2回目にして、4年越しで日本経営品質賞を勝ち取ることが出来ました。



宿泊客を巻き込んだエコ活動

 「ロハス(Lifesty leO f H e a l t h A n d Sustainability の頭文字)」という、「環境、二酸化炭素削減、健康」をテーマとした宿泊に特化し、ぐっすり休める、環境に配慮した21世紀型のホテルを作り出すのが一つの目標です。20世紀は電力などの資源も豊富でしたが、21世紀は省資源・省エネルギーを考えながら新たな価値観を作っていかなければなりません。「二酸化炭素削減」の面では、今までに省エネ設計やグリーンハイキ設置などに取り組み、ホテル業界で最も二酸化炭素削減に取り組んできました。自分の箸をお持ちいただいたり、歯ブラシを未使用のまま返納していただくとお菓子をプレゼントしたり、お掃除が必要ない方にはペットボトルの水をお渡ししたりするサービスを「エコひいき」と呼んで実施しております。もうひとつ、「エコ泊」といい、インターネットで申し込まれた方には25%カーボンオフセットで対応するサービスを行っております。おかげさまで、環境保全に対するホテル業界のトップランナーとして環境省から「エコファースト」企業として認定され、地球温暖化防止運動で環境大臣賞をいただきました。

 「健康」の面では、医学先進国であるドイツが、洋医学の中心に温泉の自然治癒力をおいていることを参考にし、天然温泉をご用意しています。温泉の自然治癒力は素晴らしいですし、日本には温泉が豊富です。これをぜひ施設で取り入れ、温泉の自然治癒力でお客様に元気になっていただこうということで、現在約50施設に温泉を設置しています。



売上至上主義より理念浸透主義


   大切にしているのは、「売り上げ至上主義より理念浸透主義」という考え方です。理念が浸透し、価値観が一致してモチベーションが上がってくれば、自然に売り上げや利益がついて来ます。私たちはフェイス(携帯型経営理念書)という経営誌を作り、毎朝読んでいます。しかし読むだけでは定着しませんので、スタッフの皆さんにこれをどのように取り組んでいるか発表していただき、それに対してコメントを付けることでフェイスの浸透を図っています。発表をすることでまず人の話を聞く、自分でこの意味を考える、実行するという一石三鳥の方法です。本社では私、各店舗では支配人が中心となってこれを繰り返すことで、理念の共有を行っています。

人材目標は「自立型感動人間」

 外部からのアイデアや指導を受け、より一層理念を浸透させていきたいと思い、モチベーションコントロールの研究が日本一進んでいるリンクアンドモチベーションと5年前からお付き合いをさせていただくようになりました。

 基本は「顧客満足度は社員満足度」ということです。社員満足度の基本は何かというと、仕事を通じて経営理念を共有しながら、感性と人間性を磨いて「自立型感動人間」として成長していくことです。これを基本に経営理念があり、その外側に知識や技術があるのです。外側の知識や技術は変わっていきますが、「自立型感動人間」は徹底的に深めていかなければいけません。それが人生の成功者になる秘訣ということで、「自立型感動人間」となるためにはいかに自分を磨き上げていけばいいのかを、リンクアンドモチベーションにご教授いただきました。

 なぜ「感動」に着目したかというと、サービス産業の基本は感動していただくことが一番の前提だからです。私はもちろんマニュアル経営も集団検診も学びましたが、これでは不満を取り除くことしか出来ません。人を感動させるためには、自分で考えて自分で行動しなければならないのです。例えば、自分の長所を生かすことでお客様に感動していただくとします。その感動を見て自分の「自立型感動人間」に磨きがかかります。すると、社員の満足度が上がり、それが顧客満足度に繋がり、お客様が満足されている姿を見て、再び社員の自立型感動人間に磨きがかかる。この好循環をいかに深く大きくしていくかという方法論で、リンクアンドモチベーションのお力を借りました。



自信と夢を持ち経営者的発想で考えてほしい

 自立型感動人間になるには、自信を持たなければなりません。そのため、チャレンジシートとランクアップノートというものを使用しています。チャレンジシートには、年に1度組織目標と個人の目標を書いていただきます。それをランクアップノートで組織と個人の夢がどのように近づいていっているかをずっと書いてもらうのです。

 これらは1つの道具として活用しており、自信をつけるためには上司と部下の話し込みを大切にしています。上司が部下と密に話し込むことによって、部下の長所を出来るだけ明らかにするのです。自分の長所を理解し、自信に繋げてもらいます。

 次に、自分の夢を出来るだけ明らかにしてもらいます。夢がないと言う人がおりますが、「夢は自分で描いていくもの」「自分探しとは自分作り」ということから伝え、夢を持つ意味を明らかにしていきます。個人の夢と組織の目標は必ずしも一緒ではありませんが、自分のスキルを磨くことで夢に近づいていけるので、両者両得の関係になります。そのように考えると、仕事が体に入ってくるようになります。

 ホテルの運営制度として、ベンチャー支配人制度を採用しています。例えば、100室のシングルマンションでは管理人は2人いれば十分ですが、ホテル100室では8人のスタッフが必要です。しかし、宿泊特化に近づければマンションと同じ2人で管理出来るのではないかと考えました。また、ベンチャー支配人制度を導入することで、私が大事にしている自立型感動人間に近い経営者的発想を持ってもらうことが出来ますので、約7割の店舗で導入しております。この制度には経営者的発想、自立型感動人間としての要素が含まれており、私たちとも価値観が合っていくことを目的としています。



「感謝感動」の輪を広げる

 私たちは成長よりもエクセレントを重視しております。すなわち、地域でナンバーワンに選ばれるようなホテルを追及していきたいと考えているのです。単に棟数を増やすことよりも、一棟一棟が地域に喜ばれ、そして一番泊まりたいホテルと呼ばれることを目標に掲げております。

 海外展開のお話もございます。日本のきめ細かなサービスは他の国ではなかなか体現出来ませんので、海外に進出するのは素晴らしいことだと思います。取引先の会社も海外に行かれておりますので、早く出てくるようにと言われますが、海外は法律が違いますし、FCでやりたいと考えているので組む相手も選別しなければなりません。目下、多角的な視点で検討したり、現地のスタッフを決め、調査したりして、徐々に話を進めていこうとしています。

 今、社員も、自分の人生や仕事にとって「感謝感動」こそ大切だということに気付いて、さらにそれが確信に近づきつつある状況です。私たちは、21世紀型のロハスホテルを作り上げることを目標にしながら、社員にとっても、お客様にとっても、そして社会にとっても「感謝感動」が大切なものであるという価値観を伝え、その輪を大きく広げていきたいと考えております。



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