トピックス -企業家倶楽部

2006年09月14日

価格比較サイトを運営 購買支援のポータルサイトを目指す/ECナビCEO 宇佐美進典

企業家倶楽部2006年10月号 注目企業

口コミ評価も網羅した価格比較サイトを運営

肩書き、プロフィール、会社概要等は掲載当時のものです。

「あのデジカメを最安値で手に入れたい」

「一番売れているパソコンを知りたい」

「信頼できるネットショップで買いたい」

「口コミ評価の高い商品がほしい」

「どんな商品を選べばいいのか迷っている」

   そんな要望を満たしてくれるのが、価格比較サイトのECナビである。ある商品を買おうと思ったとき、ECナビで検索すれば、ネット通販店ごとの価格を安い順から表示し、最安値で買うことができる。他にも商品や販売店の口コミ評価を読むことで、ユーザーの視点から商品や店舗のクオリティーを比較することも可能だ。各ネット通販の商品購入ページにもリンクされているので、簡単にショッピングが楽しめる。

   価格比較サイトは現在、国内トップのカカクコムをはじめ数多く存在する。ECナビは〇四年七月のサービス開始と業界最後発だったが、わずか二年で国内屈指の価格比較サイトに急成長した。その要因は、豊富な情報量とサービス力にある。

   商品数においては、最大手カカクコムの約二十二万点に対し、ECナビは約二百七十万点を掲載している。その差は、システムの違いからくる。カカクコムの場合、参加販売店が商品情報を人手で更新しており、掲載商品数に限界が出てくる。一方、ECナビはグーグルのような巡回ロボット型検索エンジンを活用し、商品情報を自動的に集めてくるのだ。今年七月には国内最大級のインターネット通販サイト「Yahoo!ショッピング」にある商品の取り込みを開始した。これにより年末には約五百万点の商品情報が検索できるようになり、商品の掲載数では国内最大の価格比較サイトとなる予定である。

   取り扱うジャンルは、パソコン、家電、インテリア、化粧品などの全十九カテゴリで、プロバイダーやネット証券会社なども比較できる。何を買おうか迷ったときには、人気ランキングを参照することも可能だ。商品を購買すると、ECナビから現金還元可能なポイントを受け取れるサービスも提供している。

   会員数は約百八十万人、月間の利用者数は二百十万人、約二億八千万ページビューを誇る。業界トップのカカクコムは月間の利用者数が約八百十二万人、約三億三千万ページビューで先行するが、ECナビは豊富な情報量とサービス力を武器に追撃している。



ECナビラボで独自のサービスを開発 世界展開も視野に入れる

「現状は価格比較サイトという位置づけで見られることが多いが、今後は価格比較だけではなく、ユーザーの口コミ評価などを活用した双方向性の高いコンテンツが重要になっていきます。今後は新しいサービスを提供する技術力が勝負を握る」と宇佐美CEOはいう。

   そこでECナビは〇五年十一月に研究開発機関「ECナビラボ」を設立し、検索と情報共有をキーワードに次世代のインターネットサービスを実験的に公開している。例えば、ニュースに特化したソーシャルブックマークサービス「ECナビ人気ニュース」、お気に入りの作者の新刊情報を知らせる「ECナビアラート」、自分の好きな本を他のユーザーと情報を共有する「ECナビリスト」などである。

「これらのサービスは単体での儲けはありませんが、様々なサービスを提供することで、ECナビを毎日利用してくれるようになります。そうなれば、ページビューも上昇し、広告価値も高まり、結果として収益に貢献します。商品購買に必要なあらゆる情報を網羅することで、ユーザーの購買活動をサポートしたい」と宇佐美氏は語る。

   ECナビの事業の柱は、広告、リサーチ、ショッピングサーチの三つである。主力の広告事業では、ECナビ上のバナー広告やタイアップ広告、会員向けのターゲティング・メール広告を販売する。リサーチ事業では、子会社のリサーチパネルが会員のアンケートなどを活用したインターネットリサーチを手がけ、企業のマーケティング活動をサポートしている。ショッピングサーチ事業では、各販売店のアフィリエイトを収益源とする。売り上げ比率は、広告が五割、リサーチが四割、ショッピングサーチが一割で、収益の多様化を実現している。

「各販売店からのアフィリエイト(成果報酬型収入)が売り上げのほぼ半分を占めるカカクコムとは、ビジネスモデルも違う」と宇佐美進典CEOはいう。

   二〇〇五年六月期の売上高は二十一億五千七百七十六万円、営業利益は四億四千九百九十七万円を達成した。その後決算月を九月に変更し、〇六年九月期の売上高は約二十六億円、営業利益約五億円を見込む。

   今後はモバイル事業に進出。携帯電話のサイトを通じて価格や口コミでの商品比較情報を提供し、広告収入などによる収益モデルを確立する考えだ。

   さらに価格比較サイトの運営を中国でも始める。「中国展開を軸に、将来は世界を代表するショッピング情報のポータルサイトにしていきたい」と意気込む。



懸賞サイトのナンバーワンから価格比較サイトへの転換を決意

   宇佐美氏は、一九七二年に愛知県で生まれる。早稲田大学在学中に学生結婚し、父親にもなった宇佐美氏は「自分は普通の生き方はできないだろう。一度きりの人生、やりたいことをとことんやるために生きたい。将来、絶対に起業しよう」と決意する。大学卒業後は、コンサルティング大手のトーマツコンサルティングや知人が立ち上げたソフトウェアパッケージ会社などを経て、九九年、アクシブドットコム(現ECナビ)を創業する。懸賞サイト「MyID」をオープンし、後発ながら約四年で懸賞サイトのナンバーワンに育て上げる。

   だが、懸賞は市場規模の小さいニッチ・ビジネスだった。「サイクルが早いネット業界では、余力があるうちに次のビジネスに取り組まなければならない」との危機感を抱いた宇佐美氏は、更なる成長の可能性を求めて、価格比較サイトへの転換を決意する。

「やっとナンバーワンになれたのに、なぜビジネスモデルを変えるんだ!」と、社内からは猛烈な反対にあったが、宇佐美氏は「成長の見込める価格比較サイトはカカクコムが独走しているが、ライバルは少ない。後発でもトップになれる可能性が十分にある」と判断。

   二〇〇四年七月に懸賞サイトから価格比較サイトの「ECナビ」へと全面リニューアルする。懸賞サイトの運営で培ったポイント制のノウハウなどを活用し、従来の価格比較サイトにはない独自のサービスを提供。これらが支持され、急速な成長を遂げたのである。



サイバーエージェントの優良子会社

   二〇〇一年九月には、藤田晋社長率いるサイバーエージェントの連結子会社となる。

「当時、藤田社長はもう有名な経営者でしたが、ギラギラした他の経営者とは違い、とても自然体の企業家でした。一緒に日本のネット業界を変えていこう、という藤田社長の提案に惹かれましたね。カルチャーがすごく似ていた」と宇佐美氏は振り返る。

   ネット広告代理店のナンバーワンであるサイバーエージェントと組むことで、広告事業の強化や知名度向上につながった。サイバーエージェントが展開するブログを中心としたメディア事業との親和性も高く、シナジー効果が期待できる。宇佐美氏は現在、サイバーエージェントの執行役員でもあるが、「七〇%近くはECナビに時間を割いている。藤田社長からは自由にやらせてもらっています」という。今後もサイバーエージェントの優良子会社として、何より独自のITサービスを生み出すベンチャー企業として、更なる成長が期待される。



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