トピックス -企業家倶楽部

2015年09月10日

ロボットが接客する「変なホテル」とは?

企業家倶楽部2015年10月号 ビジネストレンド





 2015年7月17日、長崎・ハウステンボス内にこれまでにない全く新しいコンセプトのホテルがオープンし、国内外メディアから注目を集めている。その名も「変なホテル」。ネーミングから興味を惹かれてしまうが、早速、話題のホテルを訪ねてみた。

 まずは、チェックインをするためフロントに行くと、人間の女性の姿をしたロボットが出迎えてくれる。

「ご来館ありがとうございます」

 ネットで事前予約した宿泊者データと認証するため名前を告げる。続いて音声案内に従いフロント横のカメラで顔認証をすればカードキーは不要。荷物を部屋まで運んでくれるポーターもロボットだ。タッチパネルに部屋番号を入力すると重たい荷物も持つ必要が無く、部屋まで誘導してくれる。客室の鍵はドアの横にあるカメラで顔認証し、解錠できる。ロボットとIT技術を活用することで、接客業務に関わる人件費を従来の4分の1まで削減出来たという。




 客室に入ると電話と冷蔵庫は見当たらない。さらにエアコンもないのには驚いた。施設内には至る所に空調管理用の輻射パネルが設置されており、外は猛暑で暑かったが中は涼しく快適そのもの。パネル内を9℃の冷水が流れており、湿気も取ってくれる。温度差でガラスのコップに水滴が付くのと同じ原理だ。冬には逆に温水がパネル内を流れ施設内を暖める仕組みだ。

 
   また、ホテル設計の段階から夏と冬の太陽光の差す角度も計算され、施設内の温度を一定に保つ工夫もされており、省エネルギー仕様となっている。

 
   ホテル運営の経費は人件費と光熱費が多くを占める。ロボットやテクノロジーを活用することで、生産性を追求し、ローコストホテルを実現しているのだ。

 ハウステンボス周辺のホテル宿泊費が2ー4万円台の中、変なホテルでは9000円からと割安感がある。価格はシーズンやタイプ別にオークション方式で、ある価格帯の中で最高値を付けた人が落札できる。

「これで完成ではありません。運営をしながらデータを分析し、世界最高の生産性を追求します。変なホテルとは、『変化』し続けるホテルという意味です」とハウステンボス社長の澤田秀雄氏は語る。

 澤田氏がロボットを活用したローコストホテルを手掛ける背景には、訪日外国人観光客が増加し、ホテルが足りなくなるという危機感があるからだ。そこには同時にビジネスチャンスも広がっている。円安や訪日ビザの緩和などが追い風となり、2013年には訪日外国人観光客が1000万人を突破、翌2014年は1341万人と増加傾向だ。2015年は通年で1800万人を見込んでいる。

 すでに東京、大阪などではホテルの客室稼働率が80%を超え、ホテル代も高騰し、予約が取りにくくなっている。2020年の東京オリンピック開催に向けて、訪日外国人観光客が今後も増えることは間違いない。

 
   18年間赤字経営だったハウステンボスを僅か1年で見事に黒字化し、再建を果たした企業家澤田秀雄氏の経営手腕に注目が集まる。一度、最先端のスマートホテルに宿泊してみてはいかがだろうか。



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