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トピックス -ビッグベンチャー

2014年09月17日

【第16回企業家賞】若者雇用を創出し誇り高いプロフェッショナル集団へ/ハーツユナイテッドグループ社長 宮澤栄一

企業家倶楽部2014年10月号 第16回企業家賞 記念講演





   ハーツユナイテッドグループの仕事はデジタル機器のバグ、いわゆる不具合を探す「デバッグ」です。バグによりシステムトラブルが起きることもあれば、バグからハッカーが侵入し、サイバー攻撃されることもあります。

   以前、携帯電話でメールを打っていると電源が落ちるというトラブルの原因究明を依頼されたのです。調べると、ある言葉を3つ重ねて変換すると電源が落ちることがわかりました。それは「風邪が/治り/かけた」という言葉。「風邪を引いた」や「風邪が治った」では問題は起きず、ただこの3つの組み合わせだけでした。このように潜んでいるバグを見つけるのです。

   ハーツユナイテッドグループには全国で8000人のスタッフがおり、みんなでバグを見つけて、ソフトウェアの品質を高めています。スタッフはいわゆる“ニート”や“引きこもり”と呼ばれる子たち。彼らは小さい頃からずっとゲームなどデジタルに触れているので、バグを見つけるのが本当にうまい。「なぜ見つけられるの?」と聞くと、「ニオうんです」「感じるんです」とね。

   僕はもともと1時間500円の時給で、ゲームのチェックの仕事から始めました。その頃、初めてニートや引きこもりの仲間に出会ったのですが、みんな素直で純粋で、すごくいい子。怠け者なのではなく、働きたくても場がないだけなのです。自分が持っていたオタクの概念を壊されました。そんな仲間10人ほどで仕事をするうち、「彼らが毎月15万円はお金を稼げるように」と考え、最終的に会社を作ったのです。子供の頃、父の倒産を経験したため社長にだけはなりたくないと思っていましたが、結局なってしまいました(笑)。

   2001年、6畳一間のアパートにファックスを1台置いてデジタルハーツを設立しました。その後、マイクロソフトの家庭用ゲーム機xbox上陸時、僕ら50人とマイクロソフト50人で、ある勝負をする機会がありました。同じソフトウェア、同じ期間で、どちらが多くバグを見つけるかの競争です。結局、僕らが10倍以上見つけて圧勝しました。その関係でシアトルへ行き、ビル・ゲイツに「クレイジー!」と賞賛され、マイクロソフトの社員たちに秘訣を教えてほしいと言われたとき、仲間の一人が言いました。「この人たちに教える価値はないですね」。現場は「ブラボー!エクセレント!」と大喝采でした。

   こうした経験から「これは僕らにしかできない仕事だ」と思いました。小さなことに気づく、気になる日本人の特性がデバッグの仕事の武器なのです。ニートや引きこもりに情けをかけているわけではありません。雇用対策でもない。そもそも社会貢献なんて言葉は大嫌いです。ただ彼らの技術がすごいから仕事をしてもらっているのです。

   彼らが仕事をしているのをご家族もとても喜んでくれています。「まさかうちの子が立派に働けるなんて……。社長のおかげです」といった手紙をよくいただきます。あるご両親はこう言いました。仕事に出かける息子が「今日も仕事か。疲れるんだよな」と言うので、「それが仕事ってもんだよ」と送り出してから、夫婦で泣きました、と。

   儲けることも大事ですが、純粋な仲間たちのためにも、いつまでも純粋でいなければなりません。バグを見つける会社はグレーなことを一切せず、正しくなければいけません。だから一歩ずつ着実に、まっすぐに、がんばっていきます。



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