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トピックス -ビッグベンチャー

2014年07月22日

「気になっちゃう性格」を武器に世界と戦う/ハーツユナイテッドグループ社長 宮澤栄一

企業家倶楽部2014年8月号 次世代の企業家




ネットに危機感を持て

問 デバッグ関連では日本最大手に成長していますね。最近の動向を聞かせてください。 

宮澤 今、日本のwebにおいて最も問題とされているのがサイバーセキュリティです。各国から人の集まる会議の場で「日本のリスク」について問うと一番最初に出てくるのは決まってセキュリティについてです。

 世界には数十万人ほど「ハッカー」と呼ばれるネットセキュリティを破って侵入する術を持った人達がいますが、世界の中で日本はハッカーたちから機密情報を守る能力が著しく低い国として知られています。パソコンさえあれば、ものの5分で重要な情報に侵入を許してしまう程度のセキュリティが溢れかえっているのです。日本を除いた先進国では、ネットワークもひとつの戦場だと例えられています。技術的な問題ではなく日本人自身のネットに対する危機感が大きく欠落しているのです。

問 何故、日本だけサイバー攻撃に対する対策が遅れているのでしょうか。

宮澤 これは、日本人のデジタルに対する過信が引き起こしていることだと私は考えます。戦後、技術と経済の急成長を遂げた我が国には、デジタル化とは「完璧なもの」と考えている人が多いのです。0と1のみで作られている物にミスは存在しないという日本人特有の先入観が今日までのネットセキュリティ面の弱さを作り出している要因といえるでしょう。これでは、ハッカーたちにとっては、鍵が付いていない家のようなものです。彼らはバグ(システムの欠陥・不備)を見つけ、そこから攻撃を仕掛けてくるのです。海外では、インターネット=危ないものという認識が当たり前です。「所詮は人間が作ったものだからミスがある」という前提でデジタルを見ることができているのです。



デバッグで日本人に勝る者なし

問 バグはいたるところにあるのでしょうか。

宮澤 当社グループの柱となる事業「デバッグ」とは、事前にこのバグを発見し、仕様通りに動作させることを指します。セキュリティやシステムは日々進化しますが、人の作ったものである以上、必ずバグは付いてくるものです。

「このケータイはバグがひとつもありません。見つけられるものなら見つけてみてください」。そう自信ありげにメーカーさんが差し出した携帯電話からは5日間の検査で400個以上のバグが見つかりました。我々は創業して以来、山ほどのソフトや機器をデバッグしてきましたが、バグのない商品に出会ったことがありません。

問 なぜ御社では完成された商品からここまでバグを見つけることが出来るのですか。御社の強みを教えてください。

宮澤 それは、我々が少しのミスに敏感な民族、日本人だからだと思います。日本人は云わば「気になっちゃう民族」なのです。食事をした時、皿に少しでも汚れが付いていると不快に思う人は多いと思います。また、壁にかかっている絵画が僅かに傾いていたら直したくなるでしょう。しかし海外では、そのようなことが全く気にならない人が多いのです。このように細かい所まで気になる日本人特有の気質が、一見完璧に見える製品から無数のバグを発見できる秘訣です。

 今後、どこの国が作った商品であっても最終的に日本がデバッグしていれば売れる、メイド・イン・ジャパンではなく、チェックド・バイ・ジャパンの時代が来ると私は思います。つまりは、異常なほど徹底的にチェックされた商品です。我々は、銀行のATMを動作確認する際も、通常ならば、指一本を使って操作するシステムに対し10本の指で同時に操作画面を押してみたり、電源を半分入れた状態で操作したりします。それだけでは収まらず突然2人目が現れて画面を操作しだした場合も想定し11本目の指で操作してみます。馬鹿らしいことをやっているようにみえるかもしれませんが11本で触った途端、全システムが停止する場合もあるのです。人間には10本しか指がないという先入観から11本目を想定しないうちは、デバッグではありません。ただのテストです。僅かでも「もしかしたら」と気になる部分があるなら徹底的に検証できる。これぞ世界に誇れる日本のデバッグです。



ゲームは世界と繋がる掛け橋

問 ソーシャルや体感ゲーム等ゲームも凄まじい勢いで進化をつづけていますが、事業展望に付いてお聞かせ下さい。

宮澤 現代、インターネットの発達によって人々の生活は変わってきました。例えばゲーム。昔なら友達と家に集まり、テレビを囲んで遊ぶことが多かったのに対し、今では、ゲームの映像をプレイヤーの声付きでインターネット配信し世界中の人に観てもらう「実況プレイ」が多くなってきました。今年の2月にソニーが発売したPS4(プレイステーション4)は、インターネットに繋がっている状態でコントローラーに搭載されている「シェアボタン」と呼ばれるスイッチを押すことで、自身のゲームプレイと声を動画としてフェイスブックにアップロードしたり、ユーストリームやニコニコ生放送などを通して、世界中にライブ配信することが可能です。スマートフォンなどのモバイルでも、ゲームの進捗状況をSNSに投稿出来る機能が増えてきています。また、スマートフォンの高性能かつ携帯性を活かし、ソーシャルゲームを中心に、ほんの少しの余暇さえあれば楽しめるという点は大きな強みであると私は考えます。あくまでゲームという領域を出ていないにも関わらず、ここ10数年で、トイレや電車に乗っている間の僅かなプライベートタイムにゲームが介入できたことは凄いと言わざるを得ません。

問 確かに、今では多くの人が通勤時にスマートフォンを弄っていますね。今後の事業展開をお聞かせ下さい。

宮澤 今後、ゲームという遊びは、ネットの発達に伴い、居間で友達と楽しむものから世界中の人と繋がって楽しめるものに変革していくでしょう。時に、オタクの趣味だと卑下されていたゲームですが、今や、対戦型格闘ゲームでは、大きな会場を貸しきった大会が開かれるなど、一般に知られるようになってきており、新たなサービスが生まれるきっかけにもなっています。  

 ゲームは現時点でネット世界における最前線を進んでいるわけですが、いずれ教育もネット化することで誰でも受けられる時代が来るでしょう。車も四方にカメラが搭載され、運転が半オート化している「オートドライビングカー」が開発されています。ネットが発達することで世界中どこの国の人とでも遊び、学び合えるようなコミュニケーションをリアルタイムで出来る世の中はすぐそこまで来ています。我々ハーツは、この波にいち早く乗り、「4Gamer」を運営するメディアとしての強みや、他社と持ち前の強みを出しあった合同のサービスなどを進めていきたいと考えています。




宮澤栄一(みやざわ・えいいち)

1972年栃木県生まれ。91年有限会社宮澤商事に入社。96年同社を退社。01年にデジタルハーツを設立、08年にマザーズ上場。11年に東証一部へ上場市場を変更。13年、持株会社体制に移行。株式会社ハーツユナイテッドグループを設立し、代表取締役社長CEOに就任。14年「第16回企業家賞」受賞。



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