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トピックス -ビッグベンチャー

2014年07月07日

サイエンスと共に成長する/ジェイアイエヌ社長 田中仁

企業家倶楽部2014年8月号 次世代の企業家





問 先日の5月13日にこれまでにない新しいコンセプトのメガネ、JINS MEME(ジンズミーム)を発表しましたね。映像を撮るウェブカメラではなく、目の動きが分かる「眼電位」に注目した点がユニークですが、開発のきっかけは何だったのでしょうか。田中 前作のコンピューターの画面から出るブルーライトから目を守る「JINS PC」を発表したときも同じでしたが、世の中に対して、サプライズを提供したい、新しいものを提案したいという想いがあります。

   私たちは従来のメガネとは全く違う、新しいマーケットを作りたかったのですが、自分たちだけで考えていては不可能だと感じました。我々はサイエンス、科学の力を味方につけて、サイエンスと共に成長していきたいと考えています。その過程で「脳を鍛える大人のDSトレーニング」の監修で有名な東北大学加齢医学研究所の川島隆太教授に出会いました。目と脳は何か関係があるのではないかと思い、毎月1回のミーティングを続ける中で「眼電位」が話題に挙がってきました。

   川島先生は著名人で面会の申し込みが殺到していたらしいのですが、共通の知り合いの紹介で幸運にも会って頂けました。実際に会って話をしてみたら、意気投合しました。




新商品「JINS MEME(ジンズミーム)」



問 川島教授に田中社長から「頭の良くなるメガネを作りたい」と相談したそうですが、始めからそのようなコンセプトがあったのでしょうか。最終的にジンズミームが完成するまでにどの位の時間がかかったのでしょうか。

田中 5月の発表会の際に川島先生が話をされていましたが、私は「頭が良くなるメガネを作りたい」と言った覚えがないのです。事実は違います。(笑)

   川島先生に始めて会った時には、「凄いメガネ」と言った記憶があります。「まるっきり今までに無いメガネを作りたい」と言いました。雲を掴むような曖昧な表現だったので川島先生も、「田中さん、何を作りたいの?」と質問されて、「いや、アイディアはまだありません。だから先生に会いに来たのです」と答えたのを覚えています。

   川島先生と研究チームを作り話し合いを続ける中で、「田中さん、眼電位という技術があるよ。もしかしたら、可能性あるよ」と言われました。

問 川島教授とのミーティングは震災前からと言うことですから、開発には相当時間が掛かったのでしょうか。開発の段階で一番苦労した点はどこでしたか。

田中 注目した眼電位ですが、メガネという形態で正確な数値が測れるかどうかという課題がありました。当初は配線ばかりでしたが、試作品を何度も作り直しては、改善をしていきました。実は発表の1、2カ月前まで、ギリギリまでどうなるか分かりませんでした。現在はセンサーとバッテリーを内蔵し、メガネの形態になっていますが、これからも進化を続けていきます。私たちの大量生産をして原価を下げるノウハウを使って、価格は抑え広く全世界で普及する価格にしたいと考えています。ジンズが出すメガネですから高くては誰も買わないでしょう。2015年春の発表まで楽しみにしていて下さい。




三点式眼電位センサー



問 「サイエンス(科学)とともにジンズは発展していく」と田中社長は話されていましたが、何故テクノロジー(技術)ではなく、サイエンスに注目したのでしょうか。

田中 先にテクノロジーが来てはいけません。ジンズはテクノロジー会社になろうとはしていません。科学的なものに裏打ちされた、ちゃんとしたエビデンス(証明)がある商品を提供していきたいと考えています。世の中の人が納得し、安心出来るものの上に成り立たないとビジネスは発展しません。テクノロジーがサイエンスに支えられて証明された技術になっていないといけないでしょう。

   JINS PCもテクノロジーではなく、ブルーライトをカットするというエビデンスが裏打ちされたサイエンスが特長で支持されているのだと思います。

問 そのようにサイエンスが必要だと思うようになったきっかけは何でしょうか。

田中 基本的な考え方として、メガネを安くして品質の良いものを提供していけば、日本でももっと店舗を増やせるでしょう。世界でも展開が可能だと思います。しかし、安く大量に売ることに満足しているわけではありません。それよりも世の中に付加価値をどうやって提供出来るのかといった方が重要です。だから、アップルの様なイノベーティブな会社が好きなんだと思います。

問 田中社長が経営する上での信条は何ですか。

田中 勝負どころでは、フルスイングすることです。エア・フレームの勝負を振り返ってみても、保険を持っては駄目だと感じました。思いっきり振り切らないと、成功するものも成功できない気がします。上手く行かなかったら、次があるさではいけません。

   一点集中で突破しないと、飛躍できないことを経験から学んできました。生産拠点を海外に移したり、数千単位だったメガネの初回発注量を数万単位に上げたり、一回一回の勝負が段々大きくなって来ています。経営者の諸先輩方の戦い方も参考になりますね。日本で一番の勝負師のソフトバンク孫社長は、1000億円の赤字を出しながらADSLを無料で配ってしまったり、私のフルスイングよりも大スイングですよね。その他の企業家も皆、フルスイングしていますよね。

問 普段から社員の方にも「フルスイングをしよう」と話されているのですか。

田中 組織の中でもイノベーションは起こせます。力を出し切っていない人たちに対して、こんな平凡な自分でもこの位にはなれたのだから、あなたにも出来ると勇気付けたいですね。 失敗したら責任を取らされるとか、上司に怒られるとか、そんなことは考えずにやってみろと言いたい。覚悟があれば、可能です。

問 起業志望者、後輩経営者にメッセージをお願いします。

田中 何でもいいので、どんどんチャレンジすれば良いと思います。始めからビジョンとか志とか格好いいことを言わなくてもいい。それは行動していくうちに出てくるもの。逆に言えば行動しないと分からない。もっと思い付きを大切にして行くことが重要です。



田中仁(たなか・ひとし)

1963年生まれ。81年前橋信用金庫(現しののめ信用金庫)入庫。87年 服飾雑貨製造卸のジンプロダクツを創業。88年、有限会社ジェイアイエヌを設立。06年8月 大阪証券取引所ヘラクレスに上場(現在のJASDAQ)。メガネなどのアイウエアを扱う「ジンズ」や服飾雑貨の「クール・ドゥ・クルール」などのショップを全国に展開。13年「第15回企業家賞」受賞。14年5月には、次世代メガネ「JINS MEME」を発表した。



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