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トピックス -企業家倶楽部

2014年07月09日

幸せは「成長」と「つながり」から得られる/アカツキ共同創業者代表取締役CEO 塩田元規、共同創業者取締役COO 香田哲朗

企業家倶楽部2014年8月号 モチベーションカンパニーへの道 vol.10


(文中敬称略)

「神様が私たちに、『ゲームで世界を変えろ』と言っている気がしました」

 今注目のゲーム業界に、新たな時代の風雲児が現れた。2010年の起業から現在4期目を迎えたばかりの急成長ベンチャー、アカツキ。スマートフォン向けゲームアプリの企画から開発まで一気通貫で行い、うなぎのぼりの成長率は既にIPOをも視野に入れる。そんなアカツキが目指すのは、文字通り「ゲームの力で世界に幸せを」生み出すこと。

「ゲームの力を信じている」と目を輝かせる塩田には、ゲームは人の幸せを満たす最も効果的なツールであるという持論と、ゲームを使って人間の「感情」を報酬に発展させる社会を実現するという大きな野望がある。



ゲームには人に幸せを感じさせる力がある

 塩田が唱えるゲームの力の根源は、ちょうど塩田と同世代の30歳前後が子供の頃に時代を席巻した、「ドラゴンクエスト」や「ファイナルファンタジー」などの本格派RPGゲームにある。当時は発売日前日からソフトを買い求める人が長蛇の列をなし、徹夜をしてゲームにのめり込むのが社会現象となったほどの熱狂ぶりだった。まるで冒険小説を読み進めているかのような世界観に、あたかも自分が主人公になったかのように昼夜を忘れ没頭した思い出が塩田自身にもあると言う。

 人は、時間を忘れるほど熱中しているとき、フロー状態という最も幸せを感じている状態に陥っている。人生で1度でも味わえればその人は幸せであるとさえ言われる熱中状態を、あの時RPGゲームは多くの人にもたらしていたことを、塩田は思い出した。「ゲームの力は、人を幸せにできる」、その確信が、塩田がゲームの力を信じる強い原動力となった。たかがゲーム、されどゲームである。

 実際にアカツキが2013年末に公開したiOS/Android向けアプリゲーム『サウザンドメモリーズ』は、リリース半年で200万ユーザーを突破。500年前、魔王との戦いに一本の刀の裏切りによって破れた騎士が時代を超えて生まれ変わり、千本の人格を持つ刀たちと再び魔王討伐へと動き出すというアプリゲームの中でも突出した本格的なストーリーは、ユーザー評価も5点満点中4.1と高評価を得ている。



企業家は世の中に幸せを問い伝える発信者

 塩田がここまで一貫して人の幸せにこだわるのには大きな理由がある。大学4年のときに立ち上げた「幸せ企業プロジェクト」で、社員を大切にしている経営者に幸せを生み出す経営哲学を聞いて回った塩田は、企業家たちが自社の存在意義や価値観、命のありようについて問いかける姿に強烈なインパクトを覚えた。元々、戦後の焼け野原から日本を復興させる象徴となったソニーやホンダに強い憧れを抱いていた塩田は、自分の仕事は次の世代を育て、全ての人が幸せに仕事が出来る会社を体現することだと心に誓うようになる。

 その後、2006年、あるITベンチャーのサマーインターンで現在の共同創業者となる香田哲朗と知り合い、意気投合。お互い起業を考えていたが、一度は社会勉強のため就職し、塩田は当時勤めていたディー・エヌ・エーで社長になろうと考えるほど仕事に没頭した。しかし、香田から改めて起業を誘われ、自分の夢は次世代に幸せとは何かを発信することだと原点回帰。二人で起業の道を歩むことを決意した。

 そのためアカツキには、企業ミッションのほかに目標とする社会ビジョンがある。給与や待遇のみではなく、リソースに際限のない人間の内面的な幸せを元手に動く「感情を報酬とする社会」の実現に向けて、自分たちが作るアカツキを最も感情報酬を体現した組織にしようと心血を注いでいる。



幸せとは「成長」と「つながり」

 アカツキでは、人間の幸せを成長とつながりと定義し、社員が幸せを感じるための環境をこれまでの数々の失敗を教訓にして整備している。

 例えば、ボールをパスしながら24時間以内に起こった良いことや新たな気づきを共有するGOOD&NEWは、毎朝行うことで社内コミュニケーションの活性化と周囲に対する感謝がもたらす人間性の成長を促している。

 また、毎月開かれる社内パーティーには、家族や恋人も参加できるようにしている。社員の周囲との繋がりもモチベーション形成に重要であることを過去に痛感しているからだ。

 以前、社内ではモチベーション高く働いてくれていた社員が、いつしか鬱病を患うほど思いつめ、辞めてしまったことがあった。後から聞けば、その社員の家族がベンチャー企業に勤めることへの不安を抱いており、家庭内で衝突が起きていたのだ。塩田はこのとき、社員にもっと寄り添うことが出来れば救うことができたのではないかと胸を痛めた。

 その反省を生かし、今ではカウンセラーを月5日呼んでは、社員全員にカウンセリングが受けられるようにしている。「誰もが活き活きと働け、幸せを感じる会社作りのためには時間も費用も惜しまない」と語る塩田からは、社員に対する熱い愛情が伝わってくる。

 採用に関しても、経験よりもアカツキに対する誇りを持てる人間かを最優先している。これも一度、スキルだけを評価して雇ったことが原因で、優秀な部下たちをも失った苦い過去があるからだ。将来に対する明確なビジョンよりも、自ら真剣に悩んでいるかを大切にし、面接で問うのはその人の死生観。自分の人生に当事者意識を持っているかで見極めているのは、アカツキそのものが競争の激しい業界に身を置いていることに加えて、正社員数40名ほどのなか、実に30名近くが開発部門を受け持つ少数精鋭であるがゆえでもある。



会社は自分たちそのもの

 塩田は社員に「自分の子供を入れたくなる会社を作ろう」と語っている。自分たちがアカツキを作るという姿勢を忘れさせないためだ。三ヶ月に一度の社員旅行では前回の目標に対する振返りを皆で共有しており、次の会社の目標設定も社内全体で話し合っている。プロジェクトリーダーは達成したい目標毎に最適な人物を選出し直す。このプロセスを通じて、社員たちは自主的に自分たちの目標を決め、目標達成のために仕事に取り組めるのだ。さらに、自分自身の成長を社内全体で認知できる、社員が最も幸せを感じやすい仕組みにもなっている。

 こうした組織の在り方は、アカツキの経営哲学を根本から示した「アカツキハート」にその行動理念を支える社会や人間の捉え方から明文化されており、社員が心から納得して語れるよう周知徹底されている。アカツキは、社員一人ひとりの積極的な参画によって成り立っているのだ。

「幸せを感じにくくなった世界を照らす夜明けになりたい」そんな思いを込めて付けられた社名、アカツキ。塩田と香田の若い二人が見通す未来は、グーグルやアップルのように世界規模で自社の理念を根ざした会社を作ることだ。

「2018年までに売上1000億円、社員は1000人を目指したい」と力強く語る塩田。21世紀のソニーやホンダを夢見て、ゲームの力で世の中に幸せを届け、世界を明るく照らし出さんとするアカツキの壮大な挑戦は始まったばかりだ。



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