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トピックス -ビッグベンチャー

2015年03月17日

産業廃棄物処理で総合環境企業を目指す/タケエイ代表取締役社長 山口仁司

企業家倶楽部2014年4月号 今、日本を最も面白くする企業家たち




混ぜればごみ、分ければ資源

   明治時代のはじめ頃までは、日本に産業廃棄物はありませんでした。ところが石炭・石油が使われるようになり、産業が高度化し、産業廃棄物が増えていきました。生まれた廃棄物は埋め立てられていましたが、それによって公害が起こるようになり、やがて環境保護、公害防止のために適正処理が行われるようになりました。そして現在ではさらに、資源の有効利用が求められる時代が訪れています。

   事業のコンセプトは、時代のニーズに合わせて変化していきます。私たちは現在、経営理念として環境保護と資源循環型社会への貢献を掲げていますが、その中でいつでも、どこでも、なんでも自分たちで行っていく、総合環境企業を目指しています。

「混ぜればごみ、分ければ資源」というのが当社のモットーです。私たちは大量の産業廃棄物の収集、運搬から再資源化、最終処分までを一貫処理して行っている、日本でも数少ない企業です。現在日本で家庭から出る廃棄物は5000万トンほどだと言われていますが、これに対し産業廃棄物は4億トンに上ります。このうちタケエイが処理しているのは年間100万トン、東京ドーム約2個分です。 集められた廃棄物を、量や形が同じになるように加工・分別することによって、90%以上をリサイクルしています。再利用すれば資源をもっと有効に利用できる。それによって社会へ貢献していけると思っています。



常にチャレンジし続ける企業として

   私たちが行っているのは、無から有を生むような仕事です。そのため、何ができるかとりあえずチャレンジするのが企業文化になっております。どういうことに挑戦すればうまくいくかなど誰も教えてはくれません。自分でニーズを探し、具体的なビジネスに結びつける事が必要になってきます。大切なのは諦めないこと。諦めればそこで単なるごみになってしまうものも、諦めなければ資源化することができるのです。

   その新たなビジネスの一環として、現在青森県ではバイオ発電事業に参画しています。青森県の森林資源を保護する上で、成長過程で密集化する立木を間引く間伐の過程で発生する木材や、りんご農家の剪定後の不要な枝を用いたバイオマス発電を青森県平川市で行っています。また、千葉県成田市ではソーラー発電事業も行っています。今後も産業廃棄物処理のみならず、エネルギー分野、環境保護の分野の関連事業にも力を入れていきたいと思っています。



会社一丸となり震災がれきの処理に挑む

   東日本大震災のニュースで、山となった廃棄物を見て愕然としました。本来がれきは一般廃棄物なので、産業廃棄物を主に扱うわれわれの専門ではありません。しかしその山を見た時、これは私たちの仕事だと使命感を覚えたのです。「国家存亡の折、会社一丸となって何か役に立ちたい」と考え、まず千葉県で瓦礫の処理を始めました。九十九里を中心に出た11万トンのがれきのうち10万トンを処理し、その後岩手県の大槌市、宮城県亘理市、福島県楢葉町に処理場を作りました。その他にも東京都大田区にあるリサイクル・ピアで毎日貨車に乗って運ばれてくる震災廃棄物の処理を行っています。

   わが社の持つ4つの中間処理工場では、ほとんどの作業を屋内で行っています。しかし被災地に作った処理場では、当然屋外での作業になります。この作業環境の違い、さらには東北の寒さと横から吹き付けるような雪に、現地に向かった社員も大変苦労しました。また、水分を多く含んだ被災地のがれきは通常の廃棄物とは異なり、処理が難しい。現在までにのべ約80万トンのがれきを処理していますが、諦めないチャレンジ精神の大切さを学ぶという意味で、ここでの経験は社員にとってもいい勉強になったと思っています。



次の半世紀を支える人材育成

   チャレンジしていく企業理念を共有するために、社員教育には力を注いでいます。創業後約半世紀を経たタケエイが次の半世紀で大きな成長企業になれるかは、次世代にどう継承するかが鍵になると思っています。今まで創業経営者や創業時のメンバーがリーダーシップをもって事業を引っ張ってきましたが、それぞれが現役を退く年齢になり、今後は組織力、企業力で成長を支える時代になると感じています。

   次世代でも成長を続けられるようなしっかりした企業にするためには、企業品質をもっと高めることが重要です。そのためにガバナンスの確立・強化、コンプライアンス、内部統制への対応を行って、将来大きくなれるような基礎を残したいと考えています。

   それらを考えた時、行き着くところは人材教育です。これからの発展を支えていく、自発的な創意工夫のできる人材が必要だと考えています。業界環境に先見性を持って立ち向かい、自分の考えをしっかりと表現できる人材を育成するために、現在私自身が先頭に立って研修を行っています。

   私が社長に就任して3年になりますが、就任後にはまず課長級以上の社員約80名全員と面接を行い、それぞれの特徴を掴みました。一昨年は部長級の社員約40人以上に対し、1年間私が研修を続けました。成果は彼らの今後の活躍にかかっています。これからは課長級44名を同じように教育するつもりです。この研修を通して、法律、財務、経営、戦力など、私が50年近いサラリーマン人生で得たものを全て吐き出したいと思っています。

   将来に向けてどういった戦略をとり、どのような会社を目指していくか、いくら口で言っても社員は納得できないものです。自分の考えるような企業理念を持つ、品質の高い会社を作るには、目標を価値観として共有する必要があります。この価値観を伝えていくことが社員教育には大切なのです。



東京オリンピックに向けて

   人が生活をしていく上で、どんな事業を行っても廃棄物は出ます。それを適正に処理し、リサイクルする上で、処理だけでない遠隔を含めた業務はまだ成長の余地があるでしょう。

   産業廃棄物の市場規模としては27万社以上、6000億円~8000億円ほどだと推測されています。さらにリサイクルし、加工する素材化企業を含めると1兆円市場にもなります。総合環境企業として、これらのもっと大きなマーケットで戦っていける会社になりたいと思っています。

   当社が総合環境企業を目指す上での強みは、この業界のパイオニアとして培ってきた処理能力やノウハウはもちろん、一番は取引における強い繋がりです。当社はスーパーゼネコンはじめ、ほとんどのゼネコンから受注をして頂いていますが、それが財産であり強みだと思っています。一貫処理を行える会社は多くないので、そこも信頼の糧になってきました。その一貫体制も今は更に幅広く、コンサルティング、分析、検査まで請け負っています。顧客の多様なニーズに答えていくことが、新たな信頼につながるはずです。

   2020年には東京オリンピックが控えています。この一大イベントに向けて、大型のスポーツ施設、選手村の新築、さらには老巧化したインフラ設備の改修が行われるでしょう。それに伴って、建設業界はもちろん、処理業界にも大きな追い風が吹くことは間違いありません。タケエイも持っている全てを総動員し最大能力で挑みたいと思っています。



アジア一を見据え、目指すは和製メジャー

    2013年3月期の決算で、当社は過去最高の売上と利益を記録しました。業績は順調です。産業廃棄物、特に建設系の廃棄物の一貫処理体制が今日の発展の祖になっていますが、総合環境企業としてどんな廃棄物でも処理していくには、今持っている危険物の品目の許可やそれを処理する施設が十分ではありません。特別管理廃棄物という、通常の廃棄物よりも厳しい規制が行われる廃棄物には、毒性の強いもの、爆発物、感染性のある医療系廃棄物など8品目ほどがありますが、これらを処理するために今持っていない特殊な技術を内製化しようとすると、莫大な資本、時間、人材が必要になります。これでは合理的とは言えません。それらを最も効果的に行う方法こそが、M&Aや資本業務提携、グルーピングです。

   当社はこれらを最重要課題とし、現在までに7社に対しM&Aを行っています。また、業務を拡大し機能の拡充をしても、地域的に拡充をしないと事業領域はそれほど広がりません。そこで地方の会社をグルーピングし、機能だけでなく営業基盤も拡大させています。現在、東日本を中心に地域拠点も増えてきたので、今後はその拠点をバイパスのように繋いでシナジー効果を大きくしていきたいと考えています。

   世界的に活躍する産業廃棄物業界トップの巨大企業は、米国ウエストマネージメント社です。1968年シカゴで起こった小さな企業でしたが、創業からわずか45年で今や年商130億ドルを超える世界トップの企業集団になりました。われわれはこのウエストマネージメント社を目指しています。これまで、約1000社ものM&Aを重ねてきたウエストマネージメント社のように、タケエイも多くのM&Aを行うことで日本のウエストマネージメント社になりたいと思っています。

「和製メジャーになる」というのがわれわれのスローガンです。和製メジャー、つまり日本でトップになること。日本一にならずして、世界で活躍することはできません。今後5年ないしは10年でそういうレベルに達したいと考えています。日本のトップになった後は、世界でも声のかかる、アジアナンバーワンを見据えていきます。




P r o f i l e
山口仁司 (山口ひとし・ひろし)

1948年( 昭和23年) 3月8日生 (愛知県名古屋市出身)
1971年 早稲田大学第一政治経済学部経済学科 卒業
1971年 ㈱協和銀行(現 ㈱りそな銀行) 入行
2000年 ㈱あさひ銀行(現 ㈱りそな銀行) 執行役員 就任
2001年 あさひ銀ファイナンスサービス㈱
    (現 りそな決済サービス㈱)代表取締役社長 就任
2002年 共同抵当証券㈱ 代表取締役社長 就任
2003年 ダイア建設㈱ 代表取締役社長 就任
2006年 ㈱レオパレス21 常務取締役 就任
2007年 ㈱レオパレス・ファイナンス 代表取締役社長 就任
2009年 当社入社 社長室長 就任
2009年 専務取締役 就任(現任)
2010年 代表取締役社長 就任



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