トピックス -ビッグベンチャー

2015年09月28日

宅配回収の強みを活かし小型家電リサイクルを国民運動に/リネットジャパングループ代表取締役社長 黒田武志 

企業家倶楽部2015年10月号 核心インタビュー


会社概要、プロフィール、肩書きなどは掲載当時のものです。

2014年1月、経済産業省・環境省からリサイクル事業者に認定されたリネットジャパングループ。2013年から施行された小型家電リサイクル法に基づき、日本全国からパソコンや携帯電話などを、宅配便を利用して回収している。他の追随を許さない独自の事業だ。高度経済成長、技術革新を経て、モノの溢れる日本の都市は貴重な資源の宝庫。株式上場を見据え、リネットジャパンは日本の資源リサイクルの雄となるのか。現在の日本のリサイクル状況とリネットジャパンの今後の展望を聞いた。(聞き手は企業家倶楽部編集長、徳永健一)

黒田武志(くろだ・たけし)

1965年、大阪府生まれ。大阪市立大学商学部卒業。1989年、トヨタ自動車株式会社入社。1998年、トヨタ自動車株式会社を退社し、ブックオフコーポレーション株式会社の企業家支援制度の第1号として株式会社ブックオフウェーブを設立。代表取締役社長に就任した。2000年、株式会社イーブックオフ(現ネットオフ株式会社)を設立。日本最大級のオンライン中古書店「イーブックオフ」を開設した。2013年3月、リネットジャパン株式会社を設立し、代表取締役社長に就任。

 



宅配便を使った小型家電リサイクルに実績

問 2015年5月に京都市とリネットジャパンが行った、宅配便を利用した小型家電回収モデルの無料化実験の反応はいかがでしたか。黒田 京都市はもともと環境問題に積極的に取り組んでいる自治体の一つで、我々の事業にもご理解、ご協力をいただいています。

 京都市は2015年3月に京都市廃棄物の減量及び適正処理等に関する条例を改正、「新・京都市ごみ半減プラン」を策定されました。そのプランに基づき、リネットジャパンによる、インターネットでの申込みで希望した日時に宅配便で小型家電を回収・リサイクルする取り組みの無料化実験を行いました。

 反応は上々で、5~6月の実験期間に家庭用パソコンが1万台集まりました。メーカーがこれまで10年以上回収してきた台数の10倍以上のペースとなり、小型家電リサイクルの中でも我々の事業が成功モデルになる可能性が高いことを証明できました。

問 効果を上げた理由は何だとお考えですか。

黒田 我々は民間企業ではありますが、京都市と提携し、同市のサービスとして提供しています。パソコンは今や金融機関の暗証番号からプライベートなメールまで、あらゆるレベルでの個人情報が詰まっています。処分するにも迂闊な業者に依頼すると個人情報が漏れるのではないかという不安があります。我々は国の認定業者であること、京都市のサービスであることの安心感が利用者にとって大きかったのではないでしょうか。

 加えて、期間限定で無料サービスを行ったことです。本来ならば段ボール一箱につき税込950円なのですが、パソコンが入っていれば他にどんな小型家電が入っていようと無料にしました。安心と無料。このふたつの相乗効果が大きく、告知が劇的に効きました。

問 無料で回収とのことですが、パソコンの回収に収益性はあるのですか。

黒田 我々もコストダウンなど努力を重ね、新しい機種は中古品としてリユースを進めました。古い機種も資源としてリサイクルし、付加価値を高めています。スタッフや提携企業の努力のお陰です。古い機種はレアメタルが最新機種より多く使われているので、リサイクルに向いています。パソコンと一緒に入っているものの多くは携帯電話です。携帯電話もパソコン以上に個人情報が入っていますし、買い替えのサイクルも早いので、各家庭にたくさん眠っているようです。

問 パソコンも携帯電話も処分方法が分かりませんし、保管している写真やデータを考えると処分するのに躊躇してしまいます。

黒田 携帯電話は日本中に2億個が眠っていると言われています。京都で取ったアンケートでは、4割が家に眠っているパソコンがあると回答されました。不要なパソコンを回収しに来てくれるサービスが無かったので、家に眠っている。使われていないパソコンは日本中に4000万台退蔵していると言われています。毎年家庭用パソコンは600~700万台売れていますが、メーカーが回収しているのはわずか5%。今回京都で実験したようなサービスを全国展開すれば、年間数百万台単位で回収できると見込んでいます。


宅配便を使った小型家電リサイクルに実績

日本の都市は資源の宝庫

問 日本全国から年間数百万台も集まると、パンクしませんか。

黒田 リネットジャパンはリサイクル業者と提携しています。たくさん集まっても提携企業を増やしていくだけなので、パンクすることはありません。日本の都市鉱山からリサイクルで取り出した貴重な資源を、日本国内で再度活用していきたいと考えています。日本の都市鉱山に埋蔵されている金は南アフリカよりも多く、銀はポーランドよりも多いと言われています。

問 自治体との提携は現在どのくらいですか。

黒田 日本の自治体は約1800あり、現在そのうち (内定を含め)の自治体と提携しています。中部・近畿・関東の人口の多い都市、政令指定都市を中心に提携を進めていますので、人口でみると2200万人、実に日本の5分の1はカバーできています。提携していない自治体からは回収しないわけではなく、インターネットから日本全国お申込みいただけます。

 なぜ自治体との提携・協力を進めているかと言うと、お客様に安心してご利用いただきたいから、自治体のサービスであるという告知を行政からしていただくことができるからです。

 小型家電リサイクル法は、不要なモノの回収は行政任せというこれまでの常識の中で、民間企業との提携を前提としているエポックメイキングな法律と言われています。当初はなかなか自治体のご理解が得られず苦労もありましたが、行政は横並び主義な一面がありますので、大きな都市で提携しているならばうちも提携しようと言ってくださる自治体が増えました。小型家電の回収率をもっと上げるというのが国の大方針で、今年度から高い目標数値も出ています。今年は自治体からのお問い合わせも多く、全国各地で説明会を開催しています。現在提携しているのは約50自治体ですが、来年3月までには150の自治体と提携できると予測しています。

問 インターネットを使い日本全国で不用になった小型家電の回収をお願いできるのですね。他にその利点を教えてください。

黒田 日本は物が飽和していて、家の中は不用品で溢れています。特に小型家電やパソコンなどは廃棄するのが面倒ですよね。慶応義塾大学の細田教授はリサイクルにおいて「疎のものを密にする」と語っていらっしゃいます。日本全国の各家庭に少しずつ散らばっている資源を集約するシステムが、今後のリサイクルの明暗を分けるのです。資源の少ない日本ですが、都市鉱山には豊かな資源が眠っています。この資源を海外へ高値で売り飛ばすのではなく、国内で有効活用していくことが肝要です。


 日本の都市は資源の宝庫

3年後は小型家電回収のメインチャネルに

問 リネットジャパンの今後の目標を教えていただけますか。

黒田 あらゆるものがネットに繋がるIoTという言葉をよく聞くようになりましたが、2040年には1人1000個のデバイスがネットに繋がると言われています。小型家電はネットに繋がることで個人情報などが含まれ迂闊に捨てづらい時代になります。そうなると、パソコンだけでなく、すべての小型家電は、データセキュリティが安心な宅配回収でリサイクルされていくと考えています。

 3年後には年間400~500万台のパソコン回収を確保したい。そうすると国民一人あたりのリサイクル重量が0.5kgとなります。小型家電リサイクル法の2015年度の回収目標が国民一人当たり1kgですので、その半分を、宅配便を利用したリサイクルの仕組みを持つ我々が担いたい。

 現在、回収方法としては3つあります。自治体の回収ボックス、粗大ごみからの人力でのピックアップ、宅配便を利用した回収。粗大ごみからのピックアップは手間暇がかかります。自治体の回収ボックスと宅配便を利用した回収が競合することはなく、相乗効果が京都での実験で実証されました。それに回収しきれないほどの資源が都市鉱山には眠っていて、年々さらに堆積しています。宅配便を利用した小型家電の回収は手軽ですし費用も少ない。小型家電リサイクルのメインのチャネルになることを目標にしています。

問 3年後、メインのチャネルになった時の売り上げは想定していらっしゃいますか。

黒田 営業利益で数十億円にはなるでしょう。京都での実績でその自信はあります。今後の課題は、エコキャップ運動のように小型家電のリサイクルを国民的運動にしていくことです。リネットジャパンでは携帯電話を1台送っていただくと1ワクチン寄付しています。古書などの買い取り事業のネットオフではスマイルエコプログラムという活動をしており、赤十字社や宮城県塩竈市より感謝状を頂いています。

 また今後、障がい者雇用にも力を入れていきたいと動いています。我々リネットジャパンの特長として、収益を上げながら社会性も大事にしています。小型家電のリサイクルはそんな我々らしさが生きる土俵。ここに大きなきれいな花を咲かせていきます。



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