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トピックス -ビッグベンチャー

2015年10月12日

おしぼりで日本をおもてなし大国に/藤波タオルサービス 代表取締役社長 藤波克之

企業家倶楽部2015年10月号 今、日本を最も面白くする企業家たち


肩書き、プロフィール、会社概要等は掲載当時のものです。

コメンテーター:徳永卓三(企業家ネットワーク会長)、キャスター:宮舘聖子

この記事は、BS12(トゥエルビ)で放送した同名番組を紙面化したものです。2015年4月より後続番組として、『熱血企業家!』(BS12 毎週火曜午前7 時30 分から)を開始致します。過去放送分も含めた動画は、企業家ネットワークのホームページでご覧頂けます。

Profile

藤波克之(ふじなみ・かつゆき)

1974 年9月11日生まれ。法政大学社会学部応用経済学科卒。NTTG r oup 勤務を経て、04年に家業の藤波タオルサービスへ入社。09年に専務就任、13年9月社長に就任。同12月、新本社新工場を竣工。13年1 月、VBジャパンテクノロジー代表取締役就任。



おしぼり業界のイノベーター

 弊社は創業から半世紀に渡り、おしぼりのレンタル事業を展開しています。事業の柱としては、半分がおしぼりのレンタル、残りが衛生消耗品の販売です。既成概念にとらわれない、最先端のおしぼり企業を目指しています。

 私はイノベーターという言葉が大好きで、自分もそのような存在になりたいと思っています。おしぼりは日本のおもてなし精神を体現する素晴らしい文化です。課題もまだまだ山積している業界ではありますが、我々が積極的に開拓し、さまざまな産業のメーカーを巻き込みながら貢献することを目指しています。



企業の志を共有する社員手帳

 弊社では、3年前から「Compass」という企業理念を記載した手帳を社員全員に配布しています。創業時の理念である「モノのサービスではなく心のサービスを大切にする」という軸を見失わないための羅針盤という想いで、「Compass」と名付けました。

 私は二代目社長ですが、創業者である父の想いをしっかりと社員全員に伝達することが使命だと考えています。企業理念を社内に浸透させることは、よい商品を作る以上に難しい。「新しいおもてなしの感動を創造し、世界中に笑顔をお届けする」という理念を毎朝本社から工場まで全ての社員が朝礼で唱和することで、社員全員との志の共有を目指しています。



多彩な機能性を持つおしぼりを提案

 私は20代の折は通信関連の会社で働いていましたが、入社して外部の視点から見たおしぼり業界は保守的で、成長性が見込めないように感じていました。

 そこで私は既成概念を打破するために、香りやオシャレなイメージといった付加価値をつけ、女性をターゲットに据えた新しいおしぼりを考えました。提案した当初は、食前のおしぼりに香りなどいらないという声もありましたが、女性のお客様からの要望も多くあったことが後押しになりました。

 仕組みとしては、殺菌消毒をしたおしぼりに、芳香剤タイプの天然アロマの香りをメーカーと協力してつけています。当初、売上は芳しくありませんでしたが、地道に営業活動を重ねたことで、現在は外食産業のみならず、化粧品メーカーや美容業界の企業からの問い合わせも増えるようになりました。使用用途は幅広く、例えば高級外車のショールームに置いていただいたことで、商談でご主人と来店した奥様が気に入って注文してくださったこともありました。このように個人でも愛用してくださる方がいます。



抗ウイルスのおしぼりで市場拡大を図る

 抗ウイルスは、世間ではまだあまりなじみのない言葉かもしれません。ウイルスは菌のように自力で増殖するのではなく、生きている細胞の力でコピーされ拡大します。大きさも菌の1/1000と小さく、予防手段はワクチンしかありません。この厄介なウイルスを予防するために弊社は、菌はもちろん、ウイルスまで抑制することが実証されている化合物を配合したVB(ウイルス・ブロック)というおしぼりで特許を取得しました。この化合物をおしぼりの製造工程に組み込むことで、抗ウイルス商品として販売しています。

 きっかけとなったのは、2009年の関西圏におけるインフルエンザ大流行に際して、航空会社から機内でのウイルス対策のお話をいただいたことです。ウイルスは手を媒介して口腔感染します。手を拭くついでにウイルス対策ができれば、おしぼり業界のイメージ向上にも繋がりますし、市場の新規開拓も見込めます。

 弊社は現在、年間約8000万本のレンタルおしぼりを製造し、同業者との提携分も合算すると、その本数は年間約3?4億本にも上ります。更に事業を拡大するためには、アロマや抗ウイルスの技術をおしぼり以外の事業にも応用することが必要です。特に前述のウイルスを抑制する化合物は、医薬品の認定は下りなかったものの優秀な効果を発揮することが実証されていますから、事業拡大の可能性は十分秘めています。

 おしぼり業界の現状としては、タオルを仕入れ、それを洗浄・包装して納品するだけなので、川下の産業に留まっていますが、我々はその現状を打破し、少しずつ川上へ登っていこうと考えています。開発段階から関与して、様々なニーズに応えられる体制を作っていく予定です。



強みは昔からの顧客と一括管理体制

 我々の強みは大きく分けて2つあります。1つ目は昔からの顧客がいることです。現在、弊社のおしぼりを使ってくださっている顧客は東京都内だけでも6000件に達しています。2つ目は自社でおしぼりの開発からデザイン、営業、広報、販売まで一括管理体制を持っていることです。デザインスタジオやIT開発部門、広告まで自社で保有しています。

 今は自社の強みとなっている一括管理体制ですが、初めから計画していたわけではなく、自然とそのようになっていきました。それによってメリットが生まれてきたので、今では弊社のスタイルにもなっています。

 例えば広告に関しては、偶然おしぼり配送のアルバイトをしていたカメラマン見習いの男性に写真を撮ってもらったところ、かっこいい写真が撮れたので、インターネット上に掲載していくうち、外部の弊社に対するイメージも徐々に変わっていきました。そのうち少しずつ新聞や雑誌にも掲載いただけるようになり、実績を積み重ねていきました。

 それと並行してインターネットでの販売も始めました。当初は外部委託をしていましたが、コスト削減のために試行錯誤を繰り返していくうちに、おしぼりの既成概念を打破して、イメージを刷新したいと思うようになりました。事業をさまざまな分野に派生させて横の繋がりを増やすためにも、ITやデザインなど核となる部分を優先して内製化していきます。顧客や同業者のネットワークと一括管理体制のシステムを活用することで、より良いサービスを提供できることが最大の強みです。



父の病気が会社を継ぐきっかけに

 私は幼い頃は内向的な少年でした。リーダーシップをとった経験もありません。仕事に対して後ろ向きな気持ちすら持っていました。そんな中、私が28歳の時、頑強だと思っていた父親が入院するという出来事がありました。振り返れば簡単な入院だったのですが、その時にはじめて母親と将来のことについて話し合い、療養している父親の姿を見て、自分でも何かを成し遂げなければならないという使命感が芽生えました。それが入社のきっかけです。

 私にとって工場は小さい頃から遊び場でしたし、顔なじみの社員の方も多かったので、一旦社会を経験している自分にとって弊社は、入社時の直感で良い会社だとわかりました。しかし外部から見ると、時代に追いついていないというイメージが先行してしまい、なかなか良さが伝わらず悔しい思いをしました。小さいながらも、両親が人を大事にして一生懸命作り上げてきた会社です。それをもっと時代のニーズに合うように、若いメンバーで力を合わせて大きくしていこうという想いが私の原動力になっています。



障がい者の自立支援に注力

 おしぼり工場は包装などの簡易的な作業が多いので、我々は30年以上前から障がい者の方に働いていただいています。

 そんな中、2012年に東京都と国立市から給付金をいただくかたちでNPO法人「東京自立支援センター」を立ち上げました。民間では初めてのNPO法人がつくった就労継続支援事業所です。現在弊社では約60名の障がい者の方にご活躍いただいています。障がい者の中には、健常者以上の能力を発揮する方もたくさんいますから、そのような方が、健常者と同じ雇用と労働対価をいただけるよう支援するのが目的です。

 健常者と障がい者が共に働き、日々の生活にうるおいが生まれるようにと、NPO法人には「ともにー」という名前をつけました。おしぼり事業と並行して、このような試みも継続していこうと思っています。



日本のおしぼりを世界に展開

 我々は世界のおしぼり企業を目指しています。経営で大切にしている軸は志を高くすることです。2013年には、創業の地である東京都国立市に5階建ての工場を建設しました。現在の稼働率は約50%なので、今後生産量が増えてもすぐに対応できます。

 今後は、おしぼり業界をどこまで最先端な産業に成長させることができるかが課題です。地域の同業者とも協力しながら、業界全体の底上げを目指します。

 そして、おしぼりの世界進出も視野に入れています。現在ベトナムでは既にタオルの販売を行っていますが、今後は欧米を中心に展開していきます。特に欧州にはおしぼりの文化がないので、市場開拓の余地があります。フランス料理は日本料理との相性もいいですし、世界に対して積極的に展開したいという野望があります。

 数年前、とある投資家の方に「あなたの仕事は大きな成功の可能性を秘めているのだから、もっと大股で歩きなさい」と言われました。私自身マグロのように止まっていられない人間なので、経営者としてもっと桁違いな仕事をしていきたいと思います。元々海外が好きなので、世界中を股に掛けた自分をイメージしながら、社員と共に本当に良い会社を作ることを目標に邁進していく所存です。



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