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トピックス -企業家倶楽部

2012年08月27日

日本の未来を守るために過去に立ち戻る/ハドソン研究所首席研究員 日高義樹

企業家倶楽部2012年10月号 著者に聞く


『 なぜアメリカは日本に二発の原爆を落としたのか』

日高義樹 著 

株式会社PHP研究所 ( 1600円+税)

 日本が自力で国を守るために、何が必要なのか。この問題を考えるためには、過去に立ち戻らなければならない。日本が独立を果たしてから60 年。日本人は長年、原爆投下の理由を「戦争を早く終わらせるため」と信じてきた。しかし、これはアメリカが作り出した偽りだったと著者は言う。非公式記録の発掘と関係者の新証言をもとに、その真実が明らかになる。国家と戦争、そして核。日本人が今、立ち向かわなければいけない問題を新たな視点から解き明かす。

 



アメリカの原爆投下の理由は戦争の早期終結にあらず

問 まず、本書を出版された動機をお聞かせ下さい。

日高 国際社会での日本の在り方を考える上で、日米関係から目を背けることはできません。アメリカとの関係を遡ると、真珠湾攻撃と広島・長崎の原子爆弾投下に焦点が当たります。アメリカは日米安全保障条約締結から60年以上経った今でも、日本の真珠湾攻撃を非難します。一方、日本人は原爆投下についてアメリカを批判しません。日本とアメリカでは、歴史認識が違うのです。そしてこれが、国家間のパワーバランスに影響を与えます。

 日本の未来を考えるためには、過去を見つめ直す必要があると思い、本書を記しました。

問 本書の題名に「なぜアメリカは日本に二発の原爆を落としたのか」とありますが、理由は何でしょう。

日高 アメリカ政府関係者は開発されたばかりの核兵器の威力を測る実験場所を探していました。そして、広島・長崎への原爆投下を決定したのです。日本人は、原爆は戦争を早く終わらせるために投下されたと認識していますが、実は、アメリカは真珠湾攻撃以前から実験台として、日本への原爆投下を計画していたのです。日本は原爆投下以前に、都市爆撃で壊滅状態にありました。敗戦が決定的であった日本には、原爆を投下される必要がなかったのです。そして、日本人がこの事実を知らないのも現実です。

問 日本の中では原爆についての話題を忌避する風潮があります。

日高 我が国では、特にマスメディアが原爆問題を報じるのは難しいでしょう。実はこのような風潮が広がったのにも、アメリカが関わっています。アメリカは日本に原爆を投下した後、善意の協力者として存在してきました。そして、日本人に原爆投下の理由を語ってはいけないという暗黙の了解を植え付けたのです。我々は戦後67年、その事実を知ることなく、平和を祈り続けて来ました。



祈るだけでなく現実と向き合う

問 今後、二度と日本が核攻撃を受けないためにはどうしたら良いと思いますか。

日高 戦後の日本は、原爆を投下された現実を置き去りにし、平和への祈りを捧げ、核兵器廃絶を訴えてきました。しかし、祈りだけでは自国を守れません。日本人は、核を保有する諸外国と向き合わなければいけないのです。日本が二度と核兵器による攻撃を受けないために、私たちは知恵を出し合う必要があります。

問 核の問題は核兵器だけでなく、原子力発電所の問題もあります。原子力発電について、どうお考えですか。

日高 核エネルギーに対する世界の風潮は肯定的です。核エネルギーは必要なものなので、それをいかに安全に扱うかにすべてが掛かっていると考えます。スリーマイル島やチェルノブイリの原子力発電所事故では、事故があった事実を受け止め、事故をなくすためにあらゆる人が努力を重ねてきました。

 一方日本人は、原爆を投下されたことから核エネルギーに対する恐れが強いので、原子力発電は可能な限り使うべきでないと考えています。福島第一原発についても、事故を契機に原子力発電所を停止するのが世界で称賛されると考える人が多いです。しかし世界の人々は簡単に核エネルギーを捨て去ることについて、日本を批判的に見ています。

 また、日本にはエネルギー資源がほとんどありません。石油は中東情勢によって価格が高騰するだけでなく、手に入らなくなることもあります。原子力発電をなくしてしまうと、エネルギー不足になる確率が急激に上がるのです。



アメリカの核の傘でなく自分の力で国を守る

問 今後の日米関係はどうなっていくとお考えですか。

日高 日米安全保障条約はなくなると思います。幸か不幸か、向かうところ敵なしであったアメリカの絶大なパワーが衰えてきました。そして中国が勢力を増し、更なる資源戦争の時代に突入したのです。日本は日米安保のアメリカの傘の中で守られてきましたが、これからは自らの力で生きていかなければなりません。軍事同盟とは、互いに軍事力のある者同士が組むものですが、日米安保での両国の力関係は紛れもなくアメリカの軍事占領と言えるでしょう。アメリカの核の傘がなくなれば、日本の核武装は不可欠です。

 アメリカにとって最大の恐怖は報復です。その証拠に、アメリカはドイツに原爆を投下しませんでした。それはドイツがアメリカより先に原爆を作ろうとしていたからです。アメリカが日本で核兵器反対の風潮を作ったのも、日本の報復を恐れたためです。実際、日本には核兵器を製造する能力、衛星攻撃能力、ミサイルなど周辺地域に対抗する潜在能力が十分にあります。同時に、それらを使用する能力も持ち合わせているのです。

問 それでは日本はこれからどう生きていけば良いのでしょうか。

日高 アメリカ、中国、ロシアとも対等の軍事力を持って、一番国益に繋がるように軍事同盟を結ぶことです。その相手は、決してアメリカである必要はありません。

問 世界中で多くの国が核兵器を保有していますが、日本の敵性国家はどこだと思いますか。

日高 核兵器を使う能力を持っているということは使用する可能性があります。つまり、核兵器を保有するアメリカ、ロシア、中国、北朝鮮、インドなどは要注意です。日本は、敵と味方の区別を付けたがりますが、外国は全て外国です。アメリカも、いつまでも味方であり続けるかは分かりません。日米安保がなくなったらアメリカも敵になる可能性があるのです。

 これから日本は独力で自国の安全を守るために、敵性国家だけでなく、同盟国に対しても核の力を誇示しなければいけません。国を守るということは、同盟国に支配されることではありません。同程度の軍事力を持って、初めて対等な同盟国と言えるのです。

 今、日本は原爆という原点に立ち戻り、国家と戦争、そして核について考えるべき岐路に立っています。国家を守るためには、この問題から逃げてはいけません。



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