トピックス -ビッグベンチャー

2013年08月27日

首都直下地震の被害額110兆円

企業家倶楽部2013年10月号 数字で読み解く日本経済 vol.7


 9月1日は「防災の日」。今から90年前、1923年(大正12年)のこの日、相模湾を震源とする関東大震災が発生した。その推計被害額は約45億円で、当時の日本の国内総生産(GDP)の約150億円のおよそ3分の1に相当する。現在の日本のGDP(約470兆円)から逆算すると、150兆円程度になる。日本の国家予算が100兆円近くなので、その影響の大きさがうかがえる。

 東京を中心とする関東地方南部は200ー300年おきに関東大震災と同程度の大地震(マグニチュード8クラス)に見舞われている。当面は関東大震災クラスの大地震が起きる可能性は小さそうだが、マグニチュード7クラスの直下型地震は200ー300年の間に数回、発生している。2011年3月の東日本大震災で、我々は原子力発電所の事故に代表される想定外の事態に直面した。そのときの苦い教訓を踏まえ、「首都直下地震」への備えを万全にしておく必要があるだろう。

 内閣府は、東京湾北部を震源にしたマグニチュードの地震が発生すると、被害額は約112兆円に達すると推計している。関東大震災ほどではないにしても、日本の国家予算を上回る規模であることに変わりはない。被害額の内訳で最も大きいのが建物をはじめとする復旧費用だ。約66・6兆円(うち建物が55・2兆円)かかるとみられる。

 ハードの復旧もさることながら、復旧が完了するまでの間の生産額の低下も大きく、被害額は国内外合わせて約39兆円となる。東日本大震災でも、電子部品や素材工場の操業が止まり、自動車や電気機器の生産が国内外で滞った。交通網が遮断されることで人と人との交流がとまり、経済活動が低下してしまうことも見逃せない。内閣府では、こうしたビジネス機会の損失が約6.2兆円になるとみている。




 現時点では、大規模な地震の発生時期と場所を予測することはできない。地震が起きたときの被害をどれだけ減らせるかという「減災」の考え方が重要になる。道路や鉄道、水道などの社会的インフラの更新工事を優先的に進めなければならない。今の日本の財政状況を考えれば、新しいインフラを作る余裕はそれほどないはずだ。既存設備の耐震性能を高めて、できるだけ長く使い続けるという発想が求められるだろう。

 地震が起きても必要最低限の機能を確保して事業を続けるという「事業継続計画(BCP)」の重要性も高まっている。東日本大震災では、部品や部材の生産が止まったため、その間に顧客を他社に奪われたケースが多かったという。企業を存続させるには、いついかなるときでも顧客への供給責任を果たすという姿勢が欠かせない。

 ある程度の規模の企業であれば、本社機能を東京から離れた場所、例えば大阪や札幌、福岡などに分散させる必要がある。中小企業であれば、業種が似た企業同士が地域を超えて連携するという考え方も成り立つだろう。顧客データや製品の設計・仕様に関する情報を社内だけで保管するのではなく、自社とは別の場所にあるサーバーにバックアップとして置いておくことも求められる。いわゆるクラウドサービスだ。

 日本は世界有数の地震国だ。その災害多発国で事業を起こし、続けていくのであれば、備えも万全にしなければならない。(Y・N)



コメントをシェア

骨太対談
 
コンテンツメニュー
企業家賞
企業家倶楽部企業家大学
Page Top