トピックス -企業家倶楽部

2015年10月23日

「家族×写真×IT」で家族ポータルメディアをつくる/ユニファ 代表取締役社長 土岐泰之 

企業家倶楽部2015年10月号 スタートアップベンチャー


(文中敬称略)

【企業概要】

社 名 ● ユニファ株式会社

本 社 ● 〒460-0003 愛知県名古屋市中区錦1-18-11CK21広小路伏見ビル8F

設 立 ● 2013年5月

資本金 ● 1億1600万円(資本準備金含む)



日常写真で家族のコミュニケーションを作り出す

「こっち向いて」「いい笑顔ですね」

 幼稚園の教室でロボットが園児に話しかけている。ロボットに組み込まれたカメラには顔認識機能が搭載されており、人の顔を見つけたら自動で写真を撮影。保護者は撮られた写真をすぐにPCやスマートフォン上で確認できる。写真撮影のIT化が進み、こういった光景が当たり前になる日は近いかもしれない。

 この仕掛け人の名は土岐泰之。現在およそ600の保育園・幼稚園・習い事教室向けに、アプリおよび専用サイト「るくみー」を使用した写真サービスを提供するユニファの創業社長である。

「るくみー」は、園の職員がスマートフォンやタブレットなどのスマートデバイス向け専用アプリを使い写真を撮ると、クラス分けや画像認識による写真選別がアプリ内で自動的に行われるというサービスだ。これまでは園児の世話やその他の業務にかかりきりで手一杯の保育士が多く、写真撮影・販売は敬遠されがちだった。アプリによってデジカメからパソコンへの取り込みや写真仕分けの手間を省くことで、負担を軽減しようという狙いだ。

 保護者は撮影された写真を閲覧できるだけではなく、気に入った写真をデータやフォトブックという形で購入することも可能。写真1枚100円前後で販売され、細かい値段は各園が設定できる。売上の一部は園にマージンとして支払われ、残りをユニファが得る仕組みだ。



保育施設事務の全自動化を目指す

 同社は、園児の写真撮影・販売補助を足がかりに、保育施設における業務全般の自動化を目指す。ゆくゆくは、ポータルメディアという形で園と保護者が繋がるプラットフォームを作り、家族メディアを創造することが目標だ。写真を利用した保護者宛のお便り帳や、見逃しがちな行事のお知らせ、さらには出欠連絡、指定の制服、帽子などの物販、献立・アレルギーの確認、親子で一緒に取り組めるゲームなど、園に関連するあらゆる情報が揃う場所を作り、園と保護者を繋ぐ。

 前述の顔認識・音声認識の付いた写真撮影ロボット「MEEBO(みーぼ)」の開発も進行中で、園内での自動撮影はテスト段階に入っている。ロボットがランダムに撮影した園内の日常写真は、不要な写真を削除した上でアプリ及び専用サイト上に掲載され、自動で振り分けられる。保護者はあらかじめ自分の子どもの顔を登録しておくことで、わが子の1日の様子を毎日5ー10枚の写真を通して追うことが出来る仕組みだ。

 現在、「るくみー」の導入・閲覧に対して園が払う初期費用はゼロ。今後ポータルとしてサービスを拡充していくと、園児1人あたり100ー200円の費用となる予定だ。ロボット導入時には本体の費用を別途負担する必要も出てくるが、保護者向けの写真販売の売上をユニファが得ることで、導入時に園が払うコストを抑えられる。


保育施設事務の全自動化を目指す

保護者と園を高次元でつなぐ

 家族ポータルが立ち位置を確立できるかは、園と保護者それぞれにどれだけ魅力的なサービスを展開できるかにかかっている。

 園への利点は圧倒的な事務負担軽減だ。写真販売の自動化はもちろんのこと、ロボットを使った自動撮影が可能になれば、園の職員がすることはロボットを教室に置くのみ。少ない人手・時間で保護者の求めるサービスを提供することが容易になる。また、写真事務自動化を皮切りに他の業務の負担軽減も見込んでいて、写真に一言添えたお便り帳など、アイデアは多岐にわたる。

 今年4月に「子ども子育て支援新制度」が開始され、園の間で競争が生まれていることもユニファにとっては追い風だ。新制度では、保育施設と保護者が直接契約を結ぶことになったため、他の園との差別化を図らなければならない。そこで、保護者に需要のある園児の写真をはじめとしたポータルサービスを少ない負担で提供できることは、園として大きなアピールポイントになる。

 保護者にとっても、幼稚園における各業務の自動化は大きな変化をもたらす。写真の閲覧から園との連絡までを、自分の持っているスマホ上のアプリ1つで済ませられるとなれば、見るべき情報は一カ所に集約され、取りこぼすこともなくなる。

 近年共働きの親が増えたせいか、園に預けている間の子どもの様子を知りたい親が多いという。「自動化によってその日のうちに子どもの写真をすぐ見られるようになれば、その写真をきっかけにして『これは何をやってたの?』といった親子の会話が生まれる」。保育業務の自動化を通じて、家族間のコミュニケーションまで豊かにしたいと土岐は意気込む。

「IT企業がまずすべきことは、残されたアナログを探し当てること」

 そう語る土岐自身、そこから事業の主軸を探っていった。土岐はかつて商社に勤め、IT企業への出資・事業開発を行っていた。そこでITと写真の相性の良さを感じると共に、友人や恋人同士などで使える特化型SNSが増えている中で家族に絞ったサービスが目立っていないことに注目。「家族× 写真×ITで何かできないか」と思うようになった。

 そこで2児の父でもある土岐は、保育施設に目を付けた。子どもの写真に対する保護者の購買意欲は高いものの、人手不足の園には業務負担が大きい。保護者の需要に応えられない現状を見て、園内の写真撮影及び販売の自動化を思いついた。



世界で通じるサービスを提供したい

「最先端のテクノロジー、時代の流れ、現場の要望。この3つが揃っているから今のビジネスがある」と語る土岐。ここ数年のスマートデバイス普及率向上やロボットブーム、データストレージコスト低減などが相まって、ビジネスの可能性も年々広がってきたという。

 しかし、サービス普及の壁はまだ厚い。「不便を劇的に改善するサービスを提案しなければ、園は現状維持という保守的な性質から抜け出せない」と土岐は実情を厳しく捉えている。一方で、「簡単にはいかないと思うからこそデジタル化への挑戦が面白い」とも語り、写真の自動化に留まらず、幅広くかゆいところにまでしっかりと手が届くポータルサービスの確立を目標に掲げる。

 2年後までに1万の園にサービスを導入すると公言する土岐。現在リリースしている「るくみー」だけで、2017年12月期には23億円の売上を見込む。そこにポータルメディアやロボットによる収益が加わる計画だ。

 世界中にある保育施設にも同様のニーズが必ずあると信じ、早くから海外展開も見据えている。世界で通用するサービスを目指し、ポータルメディアを駆使した保護者と園の橋渡し、さらには家族プラットフォームの構築を夢見るユニファの活躍に期待したい。



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