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トピックス -企業家倶楽部

2015年09月03日

EVER ONWARD~限りなき前進~/島精機製作所 島正博 社長

企業家倶楽部2015年10月号 第17回企業家賞 記念講演





 今年は戦後70年。終戦の年、私は小学校3年生、8歳でした。生きていくために、焼け野原になった土地を開墾して野菜を育て、鶏を飼って卵を産ませ、川ではうなぎを、海ではウニやサザエを捕って食べました。その後は野菜やキスを天ぷらにして売るなど、商売も農業も漁業も何でもやったものです。

 腸チフスにかかったのもそんな頃です。布団に寝ていると見るものは天井のクモの巣だけ。クモは獲物がかかると飛びかかりますが、すぐ巣の中心に戻る。そうすれば360度の視野で獲物を至近距離で狙えるからです。これが「クモの巣の原理」。常に“原点”に戻れば新しい方が見えてくると気付きました。

 小学校でのあだ名は“喧嘩マサ”。喧嘩に使って算盤が折れても、新しいものは買ってもらえない。だから残った玉で計算する方法を考える。こうした逆転の発想もその後の発明やビジネスに繋がったのです。自転車の発電ランプや廊下を走っても叱られない“ 音のしない下駄”など、さまざまな発明をし、10年で100件以上の実用新案を取りました。

 そして1962年、24歳のとき島精機製作所を設立。課題であった全自動手袋編機は実現したものの、手袋だけではマーケットは小さい。そこで手袋の100倍の値段がするセーターに注目しました。5本指の手袋の一部を縫い合わせるとセーターやプルオーバーの形になります。そこで襟編機、前身ごろ後ろ身ごろの横編機、縦編、横編などの機械を開発し、世界に発表しました。欧米にはニットのマイスターがいますが、最高品質の機械を導入すれば匠の技にも勝てるのです。

 さらにオイルショックの際にも逆転の発想で困難をバネにし、コンピュータ制御の編機も開発しました。これがまた新しい時代にマッチしたのです。

 企業に儲けが生じるには創造性、発明、イノベーションが不可欠。新しいものを次々に出していかなければなりません。バブルの時代には世が投資ばかりに夢中になり、モノづくりが忘れられていたのがいけなかったと思います。

 さて、コンピュータ横編機「ホールガーメント」が生まれたのは95年。これは裁断も縫製もいらず、三次元のニットを編み上げるもので、世界中の業界から“東洋のマジック”と評価されました。生産性は3倍になりながら、値段は2/3に抑えられ、流通のロスもない。今ではエレガントなドレスなど世界のハイエンドのファッションも、ホールガーメントで作られています。

 作る人も売る人もロスなく、着る人は軽く着心地よく身にまとえる。しかし、ホールガーメントは1台1200万円以上と高額なため、今はまだ先進国での導入にとどまっています。ですが先週はモンゴルへ行き、大統領や産業関係の大臣にお会いしました。カシミアの産地であるモンゴルに機械が入れば、日本やアメリカ、ヨーロッパへも商品を出すことができます。単に毛糸を輸出するよりはるかに利益が出せるのです。今後もホールガーメントを世界へ広げるべく一層努力していきます。

 このホールガーメントは進化を続けており、今年11月にミラノで開催される、4年に1度の繊維関連業界のいわばオリンピック、「ITMA(イトマ)」で最新鋭機を発表します。それを前にこの企業家大賞をいただき、非常にありがたく、嬉しい限り。心から感謝しております。

 私はモノづくりは上手いのですが、話は聞きづらかったことと思います。ご清聴ありがとうございました。



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