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トピックス -企業家倶楽部

2013年01月08日

若者に「起業」という選択肢を知って欲しい/MOVIDA JAPAN代表取締役兼CEO 孫泰蔵

企業家倶楽部2013年1/2月号 孫泰蔵のシリコンバレーエクスプレス vol.12


私たちMOVIDAJAPANが支援している若き起業家にスポットを当てた本である「僕たちがスタートアップした理由」が発売されました。その中から有望な3社を紹介していきたいと思います。



■trippieceの石田言行

 まず紹介したいのは、trippiece(トリッピース)という、みんなで旅を作るウェブサービスを立ち上げた中央大学4年生の石田言行(いしだいあん)君です。石田君は博報堂に内定が決まっていましたが、起業したくて内定を辞退しました。リクルーターに、「経験を積んでから起業すればいい」「社内ベンチャーでやればいい」と説かれましたが、「今、自分で立ち上げなければ後悔する」と思って断ったそうです。

 旅行が大好きだった彼は、青年海外協力隊でバングラデシュに赴き、良い経験になったので今度は自力で行こうと友達に声をかけたところ、20人近くが集まったのです。結果、観光客としては行けないところにも足を運ぶことができ、楽しく過ごした経験がありました。そこにニーズを見出して、旅行代理店のように企画したものをパックツアーとして売るのではなく、自分たちで企画することができるサービスを作りました。一般の人が、自分が行きたいところをサイト上で登録すると、それに興味を持った人が集まります。会社側は、ホテルや航空会社と交渉して値段を安く抑えます。手数料はホテルからもらい、ユーザーからは取りません。現在ユーザー数は2万人を超えていて、インターネット広告の会社から5000万円の出資を受けています。

 私も企画を出してくれと言われ、「孫泰蔵とシリコンバレーに行こう」という企画を出しました。来年の3月3日?10日、アメリカへ出張に行く機会を利用して、引率をすることにしました。通常では行けないベンチャーに行きCEOに会える機会を提供します。シリコンバレーと、テキサスのオースティンでサウスバイサウスウエストという音楽とITを融合させたイベントがあるので、そこにも行こうと考えています。



■クリエッティーの大湯俊介

 次に紹介したいのは、アーティスト向けに自分のオンラインギャラリーを簡単に作れるウェブサービス、Creatty(クリエッティー)を立ち上げた、大湯俊介君です。海外に留学をして外資系コンサルティング会社に就職が決まっていましたが、起業することに決めました。彼のお母さんが小物を作るのが好きで、同じ趣味を持つ主婦で集まって個展を開いていたことをきっかけに、多くの人に自分の作品を見てもらいたいというアーティストやものづくり職人のためにネットで個展を開けるサービスを立ち上げたのです。気に入ったものがあれば譲ってもいいという仕組みになっています。MOVIDAJAPANでも支援していますが、KDDI内の起業支援組織である「ムゲンラボ」にも表彰された、注目のスタートアップです。

 アメリカにEtsyというベンチャーがあり、ハンドクラフトを集めたネット通販サービスをしていて、人気を集めているのですが、これの日本版になっていくのではないかと思います。大量生産品のネット通販は沢山ありますが、アーティストの一点物を、金額の多寡ではなく「気に入った」という理由で購入し、好きで大切に使ってくれる人にこそ買って欲しいという人たちがいます。その人たちの為の巨大フリーマーケットになっていくでしょう。ただ、あまりにも一箇所に多種多様な商品が集まると埋もれてしまって見つからなくなるので、これから分野ごとに分かれていくことが考えられます。



■Grow!の一ツ木崇之

 最後に紹介するのは、無名のミュージシャンや小説家志望の人といったクリエーター、アーティストなどを支援するサイト、Grow!(グロー)を立ち上げた一ツ木崇之君です。一ツ木君の経歴は、最初ベンチャーリンクに就職し、そこから起業しました。音楽が好きでバンド活動をしていたが食べていけず、周りにもそのような人たちが大勢いて、彼らを応援したいという思いがあったようです。そこで、アーティストが作品をYouTubeに上げて、消費者がその作品を見たり聞いたりし、心に残ったらフェイスブックの「いいね!」にも似た「グローボタン」を押すことで、そのアーティストに看破できるという仕組みを立ち上げました。月500円のサポーターになると、アーティストからギターを教えてもらえる、などの様々な特典があります。ログインし、電子決算でアーティストにお金が流れる仕組みの寄付プラットフォームです。アマチュアバンドでも、500人くらいのライブハウスを満杯にするほど人気のある人がいます。少なくとも月に30万円ほどあれば生活していけるので、そのような人たちがこの仕組みにより500人以上のサポーターに月500円を支援してもらうことが出来れば、創作活動だけに特化できるようになり、もっと良い作品が作れるはずです。



■会社成功の秘訣は成功するまでやること

 立ち上げた会社を成功させるためには、「成功するまで諦めずにやる」という一言に尽きると思います。若いときに創業しようとしても、信用がないから借金はできないですが、今は何人か集まればアプリを作れる時代です。自分たちが食べていくだけならバイトをしながら生活できるので、やってみればいいと思います。

 諦めずに頑張れるのは、自分が本当にやりたいことでなければならず、自分の考える問題をどうしても解決したいのだという強い志を持って臨まないといけません。儲けたいという思いだけでは、儲からなくなった時に諦めてしまいます。2、3年では上手くいくわけがありませんが、辛抱して工夫しながらやれば花開く時が来ます。

 そして今は、大金持ちになりたいから起業する、という時代ではありません。ホンダの創業者である本田宗一郎さんにしても、ソニーの創業者である盛田昭夫さんにしても、お金持ちになりたいという思いではなく、世界一速いオートバイを作りたい、誰でも聞けるトランジスタラジオを使いたい、という純粋な思いから始まりました。成功している人は、純粋な思いをずっと持ち続けている人なのです。周りを見ても、同時期に始めた人は殆ど消えてしまったが、その中で残っている人は純粋な思いを抱え辛抱してやってきた人です。



■若者の起業を応援しよう

 この本は、若い人たちに読んでもらいたいです。自分たちとあまり変わらない世代の人で、就職するのではなく自分でやってみるという道を選んだ人がいるのだということを知ってほしいと思っています。就職とは職に就くことですが、今は就社になってしまっています。「会社に入ること」がやりたいことではなく、その先で何をしたいかが大切です。やりたいことが会社でできるならいいですが、できないなら自分たちで会社を立ち上げれば良いのです。大企業である東芝やパナソニックもリストラをする中で、若者の中にも大企業に入っても仕方が無いと考える人が増えていて、優秀な人たちも起業する道を選んでいます。私もことあるごとに、「若い人を応援しましょう!」と訴えています。




Profile 孫 泰蔵(そん・たいぞう)

1972 年、福岡県西新生まれ。佐賀県鳥栖育ち。96 年、東京大学在学中に、日本最大級のポータルサイト「Yahoo! JAPAN」のコンテンツ開発のリーダーとしてプロジェクトを総括。その後、数々のインターネットベンチャーを立ち上げ、日本のネット業界の活性化に貢献。2009年、MOVIDA JAPAN 株式会社を設立。これまでの成功体験と失敗経験を活かしてベンチャー企業の創業・育成支援を手がける。現在、若手ベンチャーへの支援プログラム、Seed Acceleration Program を推進。



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