トピックス -企業家倶楽部

2015年11月05日

ネットでどこでもクレーンゲーム!?

企業家倶楽部2015年12月号 ビジネストレンド





「しまった!もっと左だったか!」

 東京・足立区在住の男性( 25 )がそう叫ぶ目の前で、彼の操作する小さなクレーンはスルスルと進み、数多のぬいぐるみをかき分けて虚しく空を掴んだ。軽快なメロディーが流れる中、「次こそは!」と奮起する男性。ゲームセンターのクレーンゲームコーナーではよく見かける光景だろう。

 しかし実はここ、男性の自宅アパート。彼が真剣に覗き込んでいるのは、パソコンの画面だ。インターネットを通じて実際のクレーンゲームを遠隔操作し、どこからでも景品を獲得できるサービス「NETCH(ネッチ)」を利用して、“大物”に挑んでいた。

 これを運営するのはネッチ。埼玉県にある同社の倉庫にはクレーンゲームがズラリと並び、お客がパソコンやスマホから見事商品を獲得すると、常時滞留しているスタッフが丁寧に梱包、登録住所まで無料で発送してくれる。

 会員数は現在約20万人。ヤフーやニコニコ動画との提携も相まって右肩上がりだ。業績も倍々で伸びを見せており、今期は約8億円の売上を見込む。

 会員数もさることながら、ネッチの有するクレーンゲーム数150台は、競合でダントツ。「景品市場は商品が全て。ゲームの台数が多いということは、その分様々な商品を扱えるため有利」と同社の西村大副社長も自信を見せる。

 人気商品はアニメキャラクターなどのフィギュアで、月に約350種類は入荷している。ユーザーの年齢層は25~40歳といったところ。平均15~20回はプレイせねばなかなか商品を取れないこともあり、常連になると一度で何万円もつぎ込むケースもあるという。

 これだけ聞くと巷で流行っている課金スマホゲームのような印象を受けるが、ネッチの場合、決定的に異なるのは何と言っても実物の商品が手に入るということだ。一人あたりの月間平均売上も、スマホゲームが2000~3000円なのに対し、ネッチは約1万円。もちろん原価がある分、前者に比べて利益率では劣るが、お客としては安心してプレイできるだろう。




 実は、インターネットでユーザーとクレーンゲームを繋げるというアイデア自体は以前からあった。しかし近年になってようやく、インターネット回線が流せる情報量・速さ共にネッチのようなサービスを可能とするまで発達したというわけだ。

 ネッチ飛躍の背景には、ゲームセンター市場の変化もある。全国のゲームセンター数は5年前と比べて約4割も激減。現在は約5800億円の市場規模だが、毎年右肩下がりというのが現状だ。ただ、「ゲームセンター」と一口に言っても、中には様々な種類のゲームがある。

 確かに、ビデオゲーム、シューティングゲーム、ドライビングゲームなどは、家庭用ゲーム機やスマホに取って代わられてしまった。しかし、クレーンゲームを含む景品獲得型のゲームに関しては、約1800億円という市場規模を保っている。需要はあるが、やる場所がない。ネッチは、そうしたニーズを汲み取っているのだ。

 インターネットが使えればどこでもできるため、ネッチのユーザーは全国的に分布している。「沖縄の方も数%いるが、配送料が1500円かかるので、ここだけ見れば赤字になることも」と西村副社長。ネットサービスながらリアルと融合していることでもたらされるのは、メリットだけではない。

 それでも、「ベンチャーは歩みを止めることは許されない」と彼は闘志を燃やす。今年7月からは、カプセルに入った商品を販売するガチャポンをネット上でできる「ネット deカプセル」のサービスを始めた。

 ネットを使った遠隔操作を軸にビジネスを展開していくネッチ。クレーンゲーム、ガチャポンの次は何に挑戦していくのか、目が離せない。(相澤英祐)



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