トピックス -企業家倶楽部

2016年03月11日

HiveShibuya始動!スタートアップの登竜門となるか

企業家倶楽部2015年12月号 ベンチャー・リポート


今年7月1日、東京・渋谷に誕生した新進気鋭のインキュベーションオフィス「HiveShibuya(ハイブ渋谷)」。創業期のベンチャー向けに場所を貸すだけでなく、スタートアップ関連の様々なイベントを開催している。目指すはスタートアップの登竜門。ここから次世代を担う企業家が現れるかもしれない。(文中敬称略)




 東京・渋谷の雑踏をかき分け、道玄坂を少しばかり上った先に、新進気鋭のインキュベーションオフィスがある。Hive Shibuya(ハイブ渋谷)。ベンチャーキャピタルのスカイランドベンチャーズとイーストベンチャーズが中心となり、創業期の企業家向けコミュニティ強化を掲げて今年7月1日にオープンした。

 中に入ると英語や中国語が飛び交い、パソコンに向かってプログラムを書く者、新しいサービスについて井戸端会議をする者、他社からの来訪客と打ち合わせをする者、様々だ。ざっと見回したところ、年齢層はほとんどが20代から30代前半だろう。「ハチの巣」の他、「忙しい人の集う場」「活気に溢れる場」という意を持つ英語「ハイブ」の名に相応しいオフィスとなっている。

 ここに入居する条件として、スカイランドベンチャーズ代表の木下慶彦が掲げるのが「ワーク・スーパー・ハード」。すなわち「とてつもなく働く」ということである。

「もちろん強制はしませんが、朝8時から夜12時まで働いている投資先が、モノづくりもチームビルディングも進んでいるのは事実。そういうチームが最後は勝ちます」

 こう話す木下は以前より、企業家は一カ所に集まった方が良いという持論を述べていた。特にここ1年は、「渋谷に居を構えない会社には投資しない」と宣言していたほど。実際、17社ある投資先のうち約10社は渋谷を本拠としている。

 このように、同じ圏内にベンチャーが集中することの意義を強調していた木下だが、今回のようなコワーキングスペースについては持つべきか計りかねていた。では、実際にオープンしてみた感想はと問うと、「めちゃくちゃ良い!」。単なる場所貸しのインキュベーションオフィスとは一線を画す、ベンチャー振興のための様々な施策が、大都会のど真ん中で始動しようとしている。



キーワードはエンジニアとグローバル

 ハイブ渋谷では、頻繁に「ミートアップ」と呼ばれるイベントを開催している。ベンチャーに興味のある人間が集い、新事業の事例やスタートアップ界隈の状況などを語り合うというもので、多い時には300人もの人が集結。月間にすれば来訪者が1000人を超えることもあるという。ハイブ渋谷の門を叩く者の4~5割は学生だ。ツイッター、フェイスブックといったSNS経由や友人伝いに情報を得て参加するケースが多い。

 学生の約2割を占めるのが留学生という統計も興味深い。「元は、僕が個人的に英語の先生を探していたのがきっかけだったり」と木下は笑うが、今では輪が広がり、留学生向けのイベントを開くほどになった。

 アメリカ、中国、インドなどからインターンとしてハイブ渋谷に身を寄せる留学生も。彼らは前述のようなイベントを手伝ったり、木下が月に1回は行くという海外のカンファレンスに同行したりと、お金では買えない経験を積んでいる。

 また、ハイブ渋谷ではエンジニア向けのイベントも開催。高等専門学校の学生に対しても積極的にアプローチを行っている。

「3~5年先を見据えた時、スタートアップにとって何が必要か。キーワードはエンジニアとグローバル」と木下は語る。IT系のモノづくりには欠かせないエンジニアと、実際にできたサービスを世界に出すためのグローバル人材。この両方を一カ所に集結させることで、次代を担うスタートアップの素地作りをしている。



若い力をベンチャーと繋ぐ

   確かにハイブ渋谷へ訪れる学生は多いが、認知度としてはまだ高くない。そこで彼らは、ベンチャーに興味を抱く学生向けのミートアップ「ハイブ渋谷キャンパス」を東京、大阪、京都など各都市で開催している。

 ハイブ渋谷を開設した直後、「スタートアップ」「VC」という言葉を連ねて集客を行ったところ、たった1週間足らずの告知ながら約70人もの学生が参集。運営側としてこうしたイベントのニーズを実感した。

 イーストベンチャーズの廣澤太紀もその一人。「潜在的にベンチャーに興味を抱きながら、どこに行けばいいのか分からない学生は多い。そうした人材をスタートアップのコミュニティと結びつける役割が、ハイブ渋谷キャンパスにはある」と力説する。

「僕たちが地方へ出向いて留学生や高専生を含む学生と話すことで、スタートアップに携わる際、最初に行くべき場所としてハイブ渋谷を認知してもらえれば嬉しい。実際にハイブ渋谷や僕らの投資先で働くメンバーの主軸となっているのは学生です。ハードルは意外と高くないことを伝え、若い力を結集したい」

 こう語る廣澤自身まだ学生という事実が、彼の言葉に説得力を与える。

 一方で木下は「あくまで『ハイブ渋谷キャンパス』であり、京都で開催すれば『ハイブ渋谷キャンパス@京都』になる」と強調する。この施策は、学生を渋谷のオフィスに呼ぶための言わば前哨となる活動というわけだ。そのため当日の内容も、東京から来たメンバーとの談笑や、東京におけるベンチャー界隈の状況を理解してもらうプレゼンがメインとなっている。

「ハイブ渋谷に来た若者の中から、スタートアップで働く人が増えれば意味がある」と木下。最終的には、成長企業のトップと学生を直接マッチングするような活動も視野に入れる。



継続的にスターを生み出したい

   拠って立つ地を得た木下が目指すのは、ハイブ渋谷をスタートアップにとって最初のコミュニティとすることだ。元々コワーキングスペースを設立したのは、未来をつくるスタートアップを生み出すため。起業する際にはまずハイブ渋谷の門を叩く。そうしたスタートアップ業界の代名詞のような存在となるのが望ましい。

「最終的にはハイブ渋谷からスターを生み出し続けたい。ベンチャー業界のハブとなることで、その可能性も高まる」と語る木下。

「この場所はファースト・コミュニティだが、VCとしてファースト・パートナーになりたい。一番希望に満ち溢れていて、苦しくとも楽しい創業期を共に過ごしたいですね」と抱負を述べた。

 製品もサービスも、最初に創り出すのは人間だ。月に何百人という人が集えば、どんな化学反応が起こるか分からない。こうしたインキュベーションオフィスにふらりと現れた若者が、ベンチャースピリッツ溢れる仲間たちと出会い、世界を変えるサービスを生み出すかもしれない。



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