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トピックス -企業家倶楽部

2012年06月27日

『アジアで儲かる会社』に変わる30の方法/ストラテジック・デシジョン・イニシアティブ代表取締役 森辺 一樹

企業家倶楽部2012年8月号 新興国の現状 vol.16


肩書き、プロフィール、会社概要は掲載当時のものです。


バブル崩壊から20年が経過しましたが、我が国の経済はいまだ先の見えない航海を強いられています。今後の見通しも決して明るいとはいえません。少子高齢化に端を発した人口の減少で内需は確実に、さらに縮小するでしょう。ITの更なる発展、グローバル化の影響もあり、ビジネスにおける国境もなくなりはじめています。地球全体をマーケットとして捉えることがこれからの企業の成長には不可欠です。

 このような状況下において、海外へ打って出るという経営判断は、日本企業としては当然だと思います。特にアジアへの注目度は未だかつてない程に加熱しています。

 2011年の実質経済成長率を見ると、インドが7.2%、中国が9.2%と10%近い成長をとげています。また、シンガポールの実質経済成長率は4.9%(2010年は14・8%)、マレーシアやインドネシアなども5~6%台の成長をみせているのです。同じ年の日本がマイナス成長に対して。




 加えて、私自身も仕事においてこうしたアジアの国々を訪れると、成長しているエネルギーを、肌感ではありますがひしひしと感じます。 なかでも、中国の成長は目覚ましいものがあると思います。1990年代、学生だった私が見た中国は、現在とはまるで違っていました。街はどことなく薄暗く、人々の服装は黒か灰色で、皆、何かを楽しむというよりかは、必死に豊かさを求めて生きている様に感じました。こちらが油断でもしようものなら、たちまち食殺されてしまうのではと感じた程でした。

 しかし、私は、日本が既に失ったその貪欲で、ハングリーな人達に惹かれたのも確かです。その人達がつくるであろうその国の将来に大いに期待し、心の中の何かが大きく高鳴った感覚を今でも強く覚えています。

 そして2002年、会社を中国で創業しました。当時から10年がたちましだが、やはり中国は目覚ましく変わりました。今でこそ8%程の経済成長にとどまっていますが、この10年もの間、中国は平均10%ほどの成長率を達成していました。

 自分たちが住んでいる街の風景がどんどん変わっていく。一年もたてば、まったく違う街と言っても過言では無い程の変わり様なのです。経済成長率10%とは、街の風景が一年でがらっと変わる程の成長なのかと驚いたものです。

 これは決して中国に限ったことではありません。インドでも、東南アジア諸国でも、同じ事が起こっています。

 1980年代、東南アジアで幼少時を過ごした私の記憶からでは、今の東南アジアの成長は想像できませんでした。当時はまだまだ日本の「生産拠点」としての位置づけで、工場が進出していたという感覚であり、現地の人々も昔ながらの生活を地道に営んでいる、という実感だったからです。

 しかし、今や、この地域の人々にも「旺盛な消費意欲」、「豊かさ」への波が押し寄せているのです。日欧米の経済支配の時代は終わりを告げ、次の半世紀、世界は、日欧米+アジアの時代へと大きく変貌を遂げることでしょう。

 こうした一連の流れは、それまで「先進国で販売するためのモノをつくる生産拠点」から、「実際にモノを消費する市場へと変わっていった」ことのあらわれです。2000年を境にその状況はみるみるつくられていきました。それにいち早く気がついたのが欧米の企業です。彼らはさっそくアジアを「消費市場」と位置づけ、生産だけでなく、現地で販売も積極的に行なっていくようになったのです。

 一方の日本はというと、相変わらずアジアを「生産拠点」としか見ていませんでした。

 私自身、2000年代前半に、日本企業に対して「中国などのアジアで販売してはどうか」という提案をしばしば行なっていました。ところが得られる回答は「理屈は非常に理解できるけど、まだまだアジアで販売するのはリスクが高いよね……」というもの。 

 これがこの当時の、日本企業の大半の考えだったのではないでしょうか。その結果、アジア市場で日本企業は、欧米企業に10年出遅れてしまいました。

 その間、猛烈に追い上げてきたのが、韓国や台湾の企業です。日本企業にとっては、これらの企業は「格下」のはずでした。ところが今は、「競合」関係どころか、惨敗してしまうケースも珍しくないのです。日本企業は、このアジア市場において、かつて先進国で誇っていたような圧倒的な存在感を発揮できないでいるのです。

 今、アジア市場全体で日本企業の知名度は低下しています。そしてこのことが、日本企業の現地でのシェアを直撃しています。大企業、中堅・中小企業の規模を問わず、多くがアジアの市場で苦戦しています。「うまくいっている」と自信を持っていえる日本企業は一握りなのです。

 グローバル化がますます進み、競争が激しくなる今、そして未来。日本はこの状況を打開することができるのでしょうか。

 私の答えは、「YES」です。

 日本企業がアジアの市場で勝てるチャンスはまだまだあるのです。ただしそれには、日本企業の、アジア市場に対する思考回路を根本的に変えていく必要があると痛感しています。そもそもの「思考」が誤っているから、「やり方」も間違ってしまうのです。それが現在のアジアでの苦戦をもたらしているのです。

 だからこそ、まずは思考回路を変えなければなりません。そうすれば、ビジネスや商売のやり方も適切になっていくのではないでしょうか。多くの日本企業にとって、アジアでの可能性はもっともっと広がっていくはずです。

 本書ではみなさんに、これまでの「思考回路」を変えていただくことを目的としています。これまでの日本流ビジネスで常識と思われていたこと、成功体験などを捨て、アジアの新たな常識、体験、思考を得て、ビジネスを成功させるべき30の方法について情報提供できればと考えています。

 正しく、かつ適切な「アジアで儲かるための思考回路」を得ることで、かならず大きな成果を挙げられるようになると期待しています。

 概念が変われば、マーケティング戦略も大きく変わります。世界的に見ても優秀な日本人がアジア進出への意識を少しだけ変えることができれば、必ずやアジア市場で大きな成果を上げることでしょう。今後の日本企業のアジアでの更なる活躍に大いに期待すると共に、微力ながら今後もその支援に全力を尽くしたいと思います。


森辺一樹  (もりべ かずき)

2002年にSDI香港法人を設立。07年、本社を東京へ移転。充実した海外ネットワークを武器に中国・インド・東南アジア等を中心とした新興国市場のリサーチとマーケティングの各種サービスを提供している。



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