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トピックス -企業家倶楽部

2012年06月27日

世界から企業家が集う聖地シリコンバレーをリポート

企業家倶楽部2012年8月号 ベンチャー・リポート


ベンチャー企業の聖地、カリフォルニア州シリコンバレーを視察し、毎年インド系ベンチャー企業家が中心となり4000人が一堂に会すベンチャーカンファレンス「TiECON」に参加した。会場には多くの企業家、投資家、専門家、報道陣らが集い、講演、パネルディスカッション、ネットワーキングといった各種イベントを通して、積極的に人脈形成を行っていた。現地に飛んで感じた、シリコンバレーの空気を伝えたい。   (文中敬称略)



誰もが成功の犠牲者となりうる

「40年を経た我が社は、驚くほどに傷付いていた」

 2012年5月18日、TiECON初日の基調講演で、SAPのテクノロジー兼イノベーション最高責任者、ヴィシャル=シッカはそう語った。

 SAPは1972年創業。マイクロソフト、オラクルに次いで世界第3位のソフトウェア企業である。主に企業向けのビジネスソフトを開発し、現在顧客となっている企業は約5万社に及ぶ。

「あなた方の誰もが、成功の犠牲者となりうる」

 成功企業の代名詞のようなSAPのヴィシャル自身が、いわゆる「大企業病」に警鐘を鳴らす意義は大きい。

 ヴィシャルの演説は、15世紀に活版印刷術を発明したグーテンベルグの話から始まった。彼のもたらした印刷術は、情報伝達速度を飛躍的に向上させ、聖書が一般大衆に広まったことで宗教革命に大きな影響をもたらした。

 ヴィシャルはこの大発明を、現代のIT革命と照らし合わせる。

「近年、多くの書店がキンドルなどの電子書籍に取って代わられている」

 テクノロジーの進化から、誰もがiPhoneを使ってプロカメラマンが撮ったかのような写真を作成でき、驚異的なソーシャルネットワークの普及により、その写真は瞬時に共有される。ヴィシャルは「こうした変化により、物質的なサービスは消えていくだろう」と説く。

 激変する時代の中で、なぜSAPの製品は生き残っているのか。
単に良い製品を生み出しているからだけではない。

「顧客やパートナー企業と、誠実かつオープンにコミュニケーションを取り、彼らのニーズに合わせることが存続の秘訣だ」とヴィシャルは結論付けた。



あらゆる側面から企業家を支援するTiE

 カリフォルニア州サンタクララ市ーTiECON当日、会場となったハイアットリージェンシーホテルは、来場者で溢れかえった。カンファレンスの開催された2日間で、企業家、投資家、専門家、報道陣ら3500人が訪れたという。TiECONは文字通り、TiEの主催するカンファレンス。周年で行なわれており、企業家が集う行事としては、世界で最も規模が大きいものの一つだ。

 TiEとはThe Indus Entrepreneurshipの略称である。1992年、世界中の企業家と専門家のネットワークとして、インド系の企業家たちを中心にシリコンバレーで設立された。現在、メンバーは2万人以上を誇る。起業促進を使命とし、企業家たちに助言を与え、人脈形成を手伝い、ノウハウを提供し、投資まで行っている。毎年、次世代の企業家の育成に焦点を当てた60以上のプログラムを通して、1万人以上がTiEの門戸を叩く。

 TiEのメンバーは多様な企業や大学の出身者から成り、彼らが力を合わせることによって、変化に富み、開放的で活力に溢れた組織が形成されている。彼らが蓄積した経験、知識、ノウハウなどは、他の企業家たちによって共有される。

 また、TiEは大規模な共同資金も持っている。組織として、メンバーやサポート団体といったスポンサーからの協賛資金、イベントによる収入などを蓄積しており、その額は2000億ドルにまで積みあがっている。こうして蓄えた資金を、企業家への支援プログラムや投資に役立て、巣立って行った企業家が成長することで、再び資金が組織に還元されるという循環が成立しているのだ。


あらゆる側面から企業家を支援するTiE

ネットワーキングこそ最大の目的

TiECONの会場は広い。受付を経て、扉をくぐると、基調講演が行われた大ホールに至るまでの広間に各企業のブースが展開している。グーグル、ヒューレット=パッカード、IBMといった大企業から、あまり認知度の高くないベンチャー企業まで様々だ。2日を通してのべ100の企業や組織が、事業概要からサービスに対する質問まで説明を行う。

 また、大ホールやブースを離れ、少しばかり廊下を歩くと、アントレプレナーシップ部門、ソーシャル部門、モバイル部門など様々な分野ごとの部屋が用意され、パネルディスカッションが開催されている。それぞれの部門ごとに、専門家やその筋の企業の幹部などが集い、コーディネーターの質問に対し意見を述べていく。

 視聴者はただ聞いているのみではない。疑問点などがあれば、巡回する係員に紙をもらい、そこに質問を書いて提出することができる。集まった質問用紙の中から、コーディネーターが話の流れに沿った質問を選び、議事を進行するという具合だ。

 正午過ぎ、パネルディスカッションの会場から大ホールに戻ると、ホールは半分に仕切られ、食堂ができていた。ビュッフェスタイルの大行列に並ぶ。

「どこから来たんだい」

 すかさず、前の男性が話しかけてくる。日本から来た記者であることを告げると、「よく来たね。私は大学で情報技術を教えている。もし必要なら、パネラーの一人を紹介するよ」 と微笑む。

 ようやく席に着き、食べていると、今度は隣の女性から話しかけられた。身分を告げると、「私もジャーナリストよ。イランから来たの。もし取材する機会があったら、ここに連絡するといいわ」

 名刺に書いてあるアドレスをさしながら、にこやかに言う。

 プログラムの予定欄にも記載されている「ランチ&ネットワーキング」。もちろん、重要なのは後者だ。参加者は、偶然隣り合った人物とすぐに打ち解けて話をし、そこから次々に新たな人脈へと繋がっていく。シリコンバレー特有のネットワーキングが、そこにはあった。         (相澤英祐)

 
* 来月号では、グーグルやペイパルを輩出したシリコンバレーのインキュベーションセンター「PlugAnd Play」、設立7ヶ月にして40 億円で買収された「SnapStick」、1台のコンピュータ上で複数のOSを立ち上げる「仮想化」のシステムを開発している「vm Ware」などを紹介します!乞うご期待!!



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