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トピックス -企業家倶楽部

2012年07月08日

ツーリズムを通じて世界平和に貢献する/エイチ・アイ・エス代表取締役会長 澤田秀雄

企業家倶楽部2012年8月号 企業家四天王未来戦略を語る 編集長インタビュー


肩書き、プロフィール、会社概要等は掲載当時のものです。

旅行業界に風穴を開け、世界へと羽ばたいたエイチ・アイ・エス。創業から30余年、同社はいまや、名実ともに世界の観光業を率いる存在となった。創業以来、「ツーリズムを通じて、世界平和や人々の相互理解に貢献したい」という観光業への思いを胸に秘め、あらゆる挑戦を試み続けてきた澤田秀雄会長は、観光立国ニッポンへの可能性に期待感を示す。果て無きチャレンジを繰り返す澤田会長の夢は、まだ終わらない。(聞き手は本誌編集長 徳永卓三)

 



観光立国日本は十分に達成可能

問 まず、エイチ・アイ・エスグループの企業理念をお聞かせ下さい。

澤田 私たちは「ツーリズムを通じて、世界の人々の見識を高め、国籍、人種、文化、宗教などを越え、世界平和・相互理解の促進に貢献する」という理念を掲げております。創業当初の時点で私自身が作ったものを、若干進化させながら現在の状態に至ったものです。

問 澤田会長はどのような企業を目指されてきましたか。

澤田 私たちの旅行業は、戦争や紛争が起こると大打撃を受ける平和産業です。自然、平和に貢献できるような企業になりたいと願っております。旅行とは一種の民間外交です。私たちの企業活動によって世界の人々が触れ合い、世界に対する見聞が広まり、紛争を防ぐことに繋がれば本望だと考えています。人間がもめる原因はコミュニケーション不足にあることが多いでしょう。旅行は楽しいですし、様々な方との親交を深められます。多くの人々が世界に対する正しい認識を持てば、紛争は起きません。

 旅行や観光を通じて世の中の方々に喜んでいただき、その上で雇用を創出していく企業を目指して来ました。現在、当グループでは1万人超の社員を抱えていますが、次の30年後には70万人から100万人の雇用ができればいいですね。それがエイチ・アイ・エスグループの目標です。エイチ・アイ・エスは飛行機、バス、船舶、ホテル、レジャーランドなど、旅行産業に関連したことのみ展開します。世の中のためにならない事業には一切手を出すつもりはありません。

問 グローバル化が進んだ場合、本社はどこに置かれますか。

澤田 将来的には3本社体制を敷こうと考えており、すでに準備が始まっています。グローバル化の時代にあたって、日本国内だけでものを考えていると、事件や事故が起こった際に、対応できない可能性があります。現在考えている3本社とは日本、ヨーロッパ、アジアですが、もしかすると南米にもう1社必要かもしれません。いずれにせよ、複数本社制にしていきます。ただ、なるべくなら日本に住みたいですね(笑)

問 澤田会長は観光立国ニッポンを唱えられています。その達成にはどのような提言をされますか。

澤田 フランスには年間約8000万人の観光客が訪れているのに対し、日本には現在年間約800万人しか来ていません。しかし、観光産業を取り仕切るリーダーに、世界のことをよく理解し、日本の観光ビジネスも分かっていて、かつ実行力がある人間を据え、明確な数値目標を与えれば、すぐに達成できると思います。豊かな自然、美味しい食事、連綿たる歴史、名所旧跡など、日本には観光業に必要な素材が十分あります。1500万人や2000万人程度ならば、戦略次第で達成は難しくないでしょう。



徹底的に無駄を省き適材適所を行う

問 世界的な視野、経営に精通、実績を出すトップと言えば、澤田会長が適任ではないですか。スカイマーク就航やハウステンボス黒字化でも示されている通り、澤田会長は企業再建の名人と言っても過言ではありません。黒字経営のコツは何ですか。

澤田 まずは経費削減です。経営が危うくなる企業は、往々にして無駄なお金を使っています。特に会社が大きくなると、どこの部署から赤字が出ているのか、どこに無駄があるかが見えづらくなります。会社にぶら下がっているだけの社員もおりますから、そうした経費は徹底的に削減します。大抵それだけで黒字にはなります。ただし、必要な経費まで下げては本末転倒なので、見極めが必要です。

問 どのようにして無駄な経費を見分けるのですか。

澤田 本来3人でできる仕事を10人でやっている、赤字を垂れ流しているのに反省や改善を怠っている、などといった部分を摘発します。自動化可能なところに人手を使う必要は無いですし、赤字には敏感に反応しなければなりません。どんな企業にも無駄はたくさんあるものです。

 無駄を省くだけでも赤字は無くなりますが、利益を上げるためには売り上げを伸ばさなくてはなりません。結局、売り上げを出すのは人間ですから、社員のやる気向上と適材適所に懸かっています。やる気と能力のある人が適切なポストについていれば、何も案ずることはありません。



それぞれの特長に応じた教育を

問 人材に関して、観光大学をお作りになるという話を伺いました。

澤田 企業は全て、人が命です。素質のある人間を見出し、自ら勉強できる場所を提供したい。観光業だけでなく、あらゆる分野において、経験値の高い優秀な方に学ぶことによって、人は育つと思います。

問 人を育てる上で大切なことは何でしょう。

澤田 人にはそれぞれ異なる資質があります。これを見つけて、その人が自発的に勉強し、経験値を積む場所を提供することが肝要です。各人の特長に応じてチャンスを与えていく。素養はあるが経験が無いという人材に対し、経験を与え、高い志が持てるような教育空間を生み出すことが望ましいでしょう。

 素養のある人材が、自分で潜在能力に気付き、志を持って勉強することで、最も早い成長を遂げられるのです。やる気が無い人材は、どんなに能力があろうと、努力を怠りますから、自らを高めていくことはできません。経営者になりたい、政治家になりたいという気持ちが重要です。

問 エイチ・アイ・エスの人材育成はどうでしょう。

澤田 幸いなことに、社長の平林朗が40代半ば、スタッフが20~30代で、現在エイチ・アイ・エスは活気付いています。特に30代の人材は世界を舞台に活躍し始めています。私たちは震災時を除き、約15年にわたって年間約500人、新卒を取り続けてきており、彼らが育ちつつあるのです。若年層を海外に出し、海外で鍛えられた人材を日本に戻すことで、活力が生まれています。今後も彼らがエイチ・アイ・エスをぐんぐん引っ張っていくでしょう。

 私自身は、社員にはただ「明るく元気にやれ」とだけ言っております。



失敗を恐れずにチャレンジする

問 ハウステンボスなどでは様々なアイデアからアトラクションを作られていますが、そうした発案は澤田会長ご自身がお考えになっているのですか。

澤田 もちろん私自身も一生懸命考えていますが、様々な方々からアイデアを提供していただき、それにチャレンジすることも多々あります。

 ただ、1年目のチャレンジでは失敗がつきものです。実のところ、最初は半分以上が失敗と言っていいでしょう。しかし、失敗を恐れずにチャレンジしていきます。やってみて失敗なら、その原因を分析します。根本的に人気が無い場合と、運営に問題がある場合があり、後者ならば修正することでもっと良くなります。そして、そればかりは、実際にチャレンジしてみなければ分かりません。

 私たちはただひたすらチャレンジと失敗の連続です。もちろん、可能な限り失敗は回避すべきですが、チャレンジと失敗は隣り合わせですし、必要以上に恐れてはいけません。たとえ1年目は失敗でも、2年目は修正され、少しずつ賢くなります。そうした過程を経て、最終的に新しい人気アトラクションが生まれるのです。

問 澤田会長は人の意見をお聞き入れになるタイプだという気がします。

澤田 たくさんの方の意見の集合が良いものを生むと思っていますから、新しいアイデアを拾おうという気持ちはあります。ただ、私もワンマンな部分がありますので、現場から情報や提案が上がって来ないことも多々あり、それをいかに改善するかが課題です。とりあえず皆で検討して、莫大な費用がかかるなど、致命傷にならない限りはチャレンジします。



高い志と大きな夢を持て

問 後進のベンチャー企業家にメッセージをお願いします。

澤田 まずは世の中の人々に認められ、喜んでいただくこと。そして黒字にすることが第一段階です。最初から売り上げ1000億円になどできませんから、とりあえずは10億円の売り上げをあげて、黒字にし、徐々に100億円、1000億円を目指すぐらいがいいと思います。

 最初は食べていくことが先決となるかもしれませんが、やはり世の中のためにならないと最終的には長く続きません。人々に喜ばれるような企業でなければ、結果的に存在価値が無くなってしまうからです。

 事業家は売り上げと利益を追わなくてはなりませんし、片や時代に合わせて世の中のために社会貢献をし、ひいては雇用を創出していくことが求められますので、両輪が必要です。

 もちろん、稼ぐことは企業家にとって非常に大切ではあります。利益を上げなければ、設備投資もできませんし、世の中にも貢献できません。利益を追い求めること自体は全く悪いことではないでしょう。ただし、売り上げ、利益の規模がある程度大きくなってきたら、企業の社会的な意義についてよく考えて下さい。

 創業当初は難しいと思いますが、高い志と大きな夢を持って、まずは小さなことからチャレンジしてみることです。最初から大きな夢は掴めませんが、失敗を恐れずにとりあえずチャレンジしてみる。世界に視野を広げることで、成長できます。努力の積み重ねが、成功に繋がるのです。是非、挑戦し続けて下さい。


澤田秀雄

1951年2月生まれ、大阪府出身。高校卒業後、73~76 年、旧西ドイツマインツ大学経済学部に留学。80 年インターナショナルツアーズ(現エイチ・アイ・エス)を設立。格安航空券販売を中心にパッケージ旅行の販売を手掛け、急成長する。95年株式を店頭公開。96年スカイマークエアラインズを設立、98 年には35 年ぶりに国内航空業界に新規参入を果たす。99 年協立証券を買収し、エイチ・アイ・エス証券(現エイチ・エス証券)を設立。2002年エイチ・アイ・エス東証2 部上場。2004 年6月エイチ・アイ・エス会長に就任。2004 年10月エイチ・アイ・エスが東証1 部に上場。モンゴル銀行、ウォーターマークホテルなど多様な事業を展開する。2010年4月からはハウステンボス代表取締役社長として同社の再建に邁進。規制に守られた業界の壁を次々と打破していく、日本を代表するベンチャー企業家である。第1回企業家大賞を受賞、現在は企業家賞審査委員を務める。



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