トピックス -企業家倶楽部

2015年11月12日

快活で芯のある情熱家/岩崎裕美子の人的ネットワーク

企業家倶楽部2015年12月号 ランクアップ特集第5部


   肩書き、プロフィール、会社概要等は掲載当時のものです。

 

岩崎裕美子を知る人にその魅力を聞くと、誰もが「いつも元気で気さく」、「納得するまで諦めない」、「決断力とスピード感を持ち合わせている」と口を揃えて語る。未知の世界である化粧品業界に飛び込んで10 年。持ち前の明るさと強い意志で快進撃を続ける岩崎の人間力に迫る。(文中敬称略)



率直で妥協しない企業家


率直で妥協しない企業家


フォービス代表取締役 家永慎太郎


「御社はうちの情報システム部門です」

 ランクアップ取締役の日髙をしてそう言わしめるのが、通販システム開発を専門に行うフォービス、そしてその代表を務める家永慎太郎だ。

 フォービスが担うのは、注文・配送データや決済記録の作成・管理などを行うランクアップのシステム部門。まさに、同社の命綱を握っていると言っても過言ではない。家永も「我々も最重要部を任されているという自覚を持ち、しっかり仕事をせねばならない」と責任感を滲ませる。

 そんな家永とランクアップの出会いは、5~6年前に遡る。知人を介して、機能していなかったシステムの再構築を打診されたのがきっかけだった。ランクアップが急成長する過程でトラブルが発生したが、システムに精通した人間は社内に僅か。早急に対応策を協議せねばならなかった。フォービスが再構築したシステムが上手く稼働していることは、現在のランクアップの顧客対応力からも一目瞭然だ。

 目下、ランクアップには定期購入の顧客が約20万人おり、その継続率も高い。支持を得る理由の一つとなっているのが、顧客が心地良く感じる対応を徹底的に追求する企業姿勢だ。ただ、それを実現するためには柔軟なシステムが必要。そうしたニーズを理解し、技術面で支えるのがフォービスというわけである。

 こんな事例がある。通販ではカタログを出すのが一般的だが、ランクアップの会報誌に掲載されている製品ページを見ると、決定的な違いに気付く。なんと、各商品に振られているはずの製品番号が無いのだ。通常は、企業側が製品の検索や購入記録の管理を容易にするため、番号を付けるもの。しかし消費者からすれば、コールセンターでわざわざ番号を伝える手間がかかってしまう。そこでランクアップでは、「企業都合で購買客に煩わしい手続きをさせない」ことを是とし、番号を抜いてしまったのだ。

「番号を付けた方がシステムを組みやすいですし、通販業界の常識でもありましたので、衝撃的でした」

 驚くと共に、本来の顧客本位とは何かを改めて考えさせられたという家永。「我々も、システム構築の上で面倒かどうかよりも、お客様が便利か否かを優先的に考えるようになりましたね。今では顧客視点に立った提案をさせていただくほど、当事者意識を持って仕事に当たっています」と自社としての成長も実感する。

 システムに精通した社員が少ないことは課題とも捉えられそうなものだが、「ランクアップはアウトソーシングが上手い。自然と周囲が頑張ってしまうのです」と家永。パートナー企業のモチベーションを高める要因は何なのか。その秘訣を彼はこう語る。

「弊社の紹介記事を書く際、『フォービスがいたからランクアップがある』くらいに書いて良いと言われました。そこまで評価していただいたら、我々も一生懸命仕事をしたくなります。お役に立てた時の岩崎さんの喜びようと言ったらないですよ」

 そんな岩崎の人柄について家永は、「言葉や態度がはっきりしていて、中途半端なことはしない人」と分析する。「全て任せて下さる分、妥協はありませんし評価は厳しい。いつも笑顔で接してくれますが、要望に応えられなかったらマズいと身の引き締まる思いです」

 今後も顧客数の増加が予想されるランクアップに対し、家永は共にシステムを作る立場として「とても期待していますよ。ユーザー数が増えるほどきめ細かいサービスは難しくなるので、どう手伝えるか考えています。一緒に新しいチャレンジをしていきたいですね」とエールを送った。



女性のためしなやかに道を開く


女性のためしなやかに道を開く


フォー・レディー 代表取締役  鯉渕登志子


「鯉渕さんに仕事を頼めるような会社にしてみせます」

 広告制作会社フォー・レディー代表の鯉渕が「事業会社はやめた方がいい」と忠告した折、岩崎はきっぱりとそう宣言した。ランクアップ創業間もない2005年9月のことだ。フォー・レディーは通販化粧品をメインに30年以上広告を手がけており、鯉渕は業界の厳しさを熟知していた。ましてや岩崎の前職は化粧品ではなく、鯉渕と同じ広告業界である。止めたのも無理はなかった。

 そもそも、12年程前に2人を引き合わせたのも共通の広告主の営業部長だった。鯉渕が毎年講演する東京ビッグサイトで開催の通販関係セミナーでのことだ。鯉渕は、このひときわ華やかな30代女性が「取締役」であることに驚きつつも、「得意先のためにがんばろう」と話した。

 そして程なくの起業である。驚きから、岩崎が持参したサンプルを十分吟味もしなかったという鯉渕。その後ランクアップを気にかけてはいたが、ことさら連絡をとることもなかった。

 2011年の震災後、鯉渕は通販事業会社社員に向けて無料セミナーを主催した。ホットクレンジングゲルが話題になり始めていた岩崎にも案内状を送ると、ランクアップの担当者が同セミナーを受講、間を置かず岩崎自身が鯉渕を訪ねてきた。こうして創業から6年の時を経て、岩崎の宣言通り両社の取引が始まった。以降、フォー・レディーが顧客向け会報誌『マナラ倶楽部』を制作している。

 そんなランクアップの強みは、「自分たちが納得するものしか作らない」ことだ。ビッグデータ全盛時代にあって、同社はマーケティングを行なわない。業界ではなく消費者の発想を徹底していることが成功の要因だと鯉渕は強調する。ランクアップの社員が自社製品の愛用者でもあるのだ。鯉渕は女性自身が女性のための製品を作っている企業は少ないことを実感してきた。だからこそ、岩崎の経営姿勢に共感している。

『マナラ倶楽部』には「岩崎さんがんばって」という手紙が多く寄せられる。製品のみならず、結婚と子育てをしながら起業し、会社を成長させた岩崎の生き方が、顧客女性の支持を得ているからだ。同社社員も家庭と仕事を両立させており、40名ほどのうち、実に半数にのぼる社員が子育て中だ。業務を徹底的に効率化、残業なしで業績を伸ばし続けている。

 経営者としての岩崎の強みは「スピード」。パリから深夜便で早朝に羽田空港へ着いた岩崎が、朝一番で鯉渕に電話をしてきたという。取材のため同行したフォー・レディー社員から、復路の機上で同社のマネジメントシステムについて聞いた岩崎からの問い合わせだった。決断が早く、切り換えの速さが必要とされる通販事業に生かされている。

 少し前まで、女性の成功はがむしゃらに男性役員の席を奪うような、ともすればマイナスのイメージがあった。しかし時代の後押しもあって、岩崎は男性と争うのではなく、しなやかで自然に新たな席を自ら作った。自信も余裕も出来て綺麗になり、女性の目標になったと鯉渕は絶賛する。

 鯉渕と岩崎は「女性が幸せになる社会を作る」という志を同じくする経営者だ。「いつまでもお客様目線を大切にして、納得できることだけをする姿勢を貫き、売上げ100億円、1000億円を目指して下さい」。岩崎に向けて鯉渕は温かく語った。



裏表のない信頼感と明るさが魅力


裏表のない信頼感と明るさが魅力


アイスタイル取締役  山田メユミ


   2015年3月、女性起業家を支援・育成する目的で開催された監査法人主催のイベント会場で初めて山田と岩崎の二人は挨拶を交わした。起業したばかりの若手経営者が二人の前で事業プレゼンを行い、ゲストスピーカーとして招かれた山田と岩崎が先輩経営者としてアドバイスをした。知り合ってまだ1年も経たないが、同じ美容・化粧品業界に身を置き、出産と子育てを経験する同年代の女性企業家として境遇が似ていることもあり、二人はすぐに意気投合した。後日、会食の機会を持った際にも、お互いの会社の女性活用の取り組みについて、忌憚のない意見交換を行った。

「岩崎社長は裏表のない性格なので人から信頼される。とても気さくで明るい方」と山田は岩崎についての第一印象について語る。

 会社案内に同封されていた岩崎本人の起業ストーリーを漫画にした冊子を読み、「ここまで赤裸々に語れるのは岩崎社長らしい。想いの強さを感じた。起業に至る経緯や製品作りに一本、しっかりとした筋が通っている」と山田は言う。

 資生堂などの大手がいて、また新規参入も多く、浮き沈みの激しい化粧品業界で10年という長い時間、「ホットクレンジングゲル」という人気商品を顧客と向き合い日々改良を重ねて作り上げてきたことは岩崎の粘り勝ちと言っても過言ではない。

「岩崎社長が地道に続けられてきた取り組みが実を結び支持者も多くなってきたので、他社も無視できない存在になってきている。界面活性剤を使わないことや温感効果など差別化できる製品作りもさることながら、リピーターとなってくれるファン作りに熱心」と山田はランクアップの強さについて話す。

 女性活用の取り組みについても参考にすることは多い。ランクアップでは17時30分までが就業時間であるが仕事が終われば30分前倒しし、17時に帰ってもよいという制度があり、多くの社員が17時にオフィスを後にする。こういった取り組みも企業のカルチャーとして根付かなければ実現は難しい。

「社長一人の力には限界がある。定時の取り組みに代表されるように会社の制度化をみるとチーム経営が上手くいっている証」と山田は経営者としての岩崎の手腕を評価する。

 もはや出産・育児と仕事の両立をどう実現するのかは一企業の問題ではなく、社会的な課題でもある。母親として育児をしながら、職場においても任された役割を果たさなければならない働く女性は、一人二役、いやそれ以上かもしれない。時間的制約がある中でいかに生産性を高めるか、毎日闘っているのだ。母は強しである。

「若いときの苦労は買ってでもした方がいい。前倒しに多くの経験をして達成感を経験しないまま、産休を取り職場を離れるときに不安になってしまうから」と山田は若い人に助言している。自信を持って自分は会社から必要とされ、元の職場に戻るという環境を作る必要がある。逆も真なりで、会社もまた20代の若い世代にもっと多くのチャンスを与えた方が将来的に会社の成長エンジンになる。時代の変遷によって企業経営も変化しているのだ。

「同世代の経営に携わる身として共感しています。岩崎社長はこれからも驚くような新しい取り組みやサービスの展開を打ち出していくことでしょう。楽しみにしています」とメッセージを送った。



即断即決のブレない経営者


 即断即決のブレない経営者


田中允樹リンクアンドモチベーション ERMカンパニーマネージャー シニアコンサルタント


「会社が変わるというのがどういうことか実感した!本当にありがとう」

 ランクアップのコンサルティングを担当したリンクアンドモチベーション(以下LM)の田中允樹に、岩崎はミーティングで開口一番そう叫んだ。

 その場で見せられた動画に映っていたのは、社員が企画した創業10周年を記念するサプライズイベントの様子。前日夜通しで飾り付けをしたオフィスに、疲れているにもかかわらず練習したダンス。極めつけはメッセージビデオだった。社長の岩崎や取締役の日髙はもちろん、社員全員が号泣。これを見た田中も感動に耐えられず、ホロリときた。

 以前は、岩崎自ら周年行事を提案しても気乗りしない返事が返ってくるほど素っ気ない雰囲気だったというランクアップ。この一目瞭然の変化に、立役者である田中自身が驚いた。

 ランクアップとLMとの関係は、東京国際フォーラムのイベントに出展していたLMのブースに日髙が立ち寄ったことに始まる。その後、岩崎がLM主催の経営者懇親会に出席。LMグループ代表の小笹芳央と田中の考え方に一本の軸が通っていることに感銘を受け、コンサルティングを依頼したのは2012年9月のことだった。

 田中がまず行ったのは、ランクアップのモチベーション調査。「オフィスを見た限り、高いスコアが出そうだと思った」という田中の印象とは裏腹に、結果は振るわず、部署間でばらつきもみられた。

 調査結果を分析すると、会社の理念が浸透していないことが原因だと田中は気付く。当時から8時半出勤17時退社を是としていたランクアップでは、短い就業時間で仕事をこなすため、意思決定が岩崎と日髙に委ねられていた。「一生懸命考えて出した自分の意見も反映されない」と悟った社員は次第にモチベーションを失い、社内には良くない雰囲気が蔓延していたのだ。岩崎や日髙の「女性がもっと輝ける、働きやすい社会を」という想いは社員に伝わっておらず、「残業の無い早く帰れる会社」という認識だけが独り歩きしていた。

 そこで田中はランクアップ初の新卒採用を提案。世界に残る会社にするためには、5年、10年後の会社を担う新卒を採らなければならない。さらに、岩崎の理念に共感した新卒の入社が望める。

「やる」

 岩崎の答えは、まさにその場での即断即決。「新卒採用という会社の命運を決める大事を一瞬で決断する岩崎さんは、やはり並みの経営者ではない」と田中も舌を巻く。こうした岩崎の決断の速さも手伝って、たった3カ月のうちに、「組織は自分たちで変えよう」という意識が社員の中に芽生えていった。

 現在もさらなる高みに向け、コンサルティングが続いている。半年に1回のモチベーション調査だけではなく、月に1回はお互いにフィードバックを行う場に田中も参加。意見を言い合える文化を醸成している。「問題の原因は誰かにあるのではなく、人と人の間にある」とするLMならではのコンサルティングだ。

「ランクアップの強みは、社員全員が元気で素直に吸収すること。だからこそ、よりいっそう人と人の間は密にできる」と分析する田中。改めて岩崎へのメッセージを聞くと、「信じて任せてくれたことにまず感謝ですね。絶対に女性が輝く社会に貢献する会社になると信じています。これからもブレずにいてください」と締めくくった。



真面目な努力の人


真面目な努力の人


サピエント業務推進本部本部長   本間澄江


「岩崎さんがいたから、今の私がある」

目を潤ませながらそう語るのは、人材派遣などを手掛けるサピエントで業務推進本部長を務める本間澄江。岩崎とは20代の時に元同僚として働いて以来の仲である。

 二人の出会いは、岩崎がランクアップを創業する二つ前に働いていた広告代理店。札幌営業所の社員であった岩崎と、東京勤務として少し後から就職した本間は、グアムへの社員旅行で初めて顔を合わせることとなった。

「ずっと喋っている賑やかな子がいるなあ」

 それが本間から見た、岩崎の第一印象。本来ならば、これを最後に二人が深い関わりを持つことは無かったかもしれない。しかし、縁というのは不思議なものだ。それから半年もしないうち、岩崎が東京に転勤してきて二人は同じ部署に配属された。

 営業で広告を取って来る忙しい職場ではあったが、同い年ということもあり、よく食事や遊びなど行動を共にするようになった本間と岩崎。3、4年という期間を一緒に働く中で、お互いの生真面目さや仕事に対する情熱を感じ取っていったという。

 その後本間は退職し、サピエントの前身となる会社へ。ほどなく岩崎もランクアップの前職となる広告代理店に転職した。

 辞める間際に本間は、「岩崎さんがいなければ、私はこんなに頑張れなかった」とその心中をポロリ。すると岩崎は「私も同じ。本間さんみたいに頑張っている人がいるんだもの。ノルマ以上に営業を取ってきたわ」と明かした。

 プライベートでは一緒に旅行するほど仲の良かった二人だが、互いに仕事の弱音を吐いたことは一度も無かったというから、その真面目さが伺える。そんな岩崎の性格を知っている本間だからこそ、彼女が前職を辞めて起業したと聞いた時は驚いた。

「以前から、いずれは社長になりたいとは言っていましたが、正直、前の会社を飛び出すことは難しいと思っていました」

 では現在、経営者としての岩崎はどうか。本間は、好奇心旺盛で自身の情熱を照れずに伝えられる彼女を評して、「社長に向いている」と言う。

 一緒に広告の営業職で働いていた時のこと。岩崎は新規顧客の獲得が多いのが特徴だった。なんでも本人曰く「同じ顧客と同じような仕事をしているのは飽きる」らしい。新規顧客と一口に言うが、もちろん断られる確率は高い。それでも、新しいクライアントとの接点を持つ方が性に合っているとする岩崎は、並々ならぬ好奇心と探求心を持っているのだろう。

「きっと今のランクアップでも、同じ場所に止まろうとは考えていないはず。起業して、化粧品もできた。ならば次は何をするか、新しいチャレンジを練っているでしょうね」

 そんな岩崎だが、仕事は地道で慎重。本間が話していても、「どうすれば一番人に喜んでもらえるか」といった気配りを怠らない様子が見て取れる。「あの笑顔を見ると、明るいという印象をまず受けますが、その裏には真面目さがある。運も強いと思いますが、明らかに努力型の人ですね」

 そんな互いの細部まで知り尽くした二人に共通するのは「根拠の無い自信」だと笑う本間。「一緒にいて気が楽」というから、その親密さも知れよう。

「私は岩崎さんのお陰で働く人生を選べた。20代で彼女に出会わなかったら、全く別の自分になっていたでしょうね。感謝をしているし、これからも常に励みになる存在でいてほしいと思います」



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