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トピックス -企業家倶楽部

2015年11月19日

すべての組織は変えられる/リンクアンドモチベーション執行役員 麻野耕司 

企業家倶楽部2015年12月号 先端人


   肩書き、プロフィール、会社概要等は掲載当時のものです。



これを読めば、
多くのリーダーが上手く組織を運営できない原因が見えてくる。
自身も多くの企業の建て直しに関わってきた筆者が、
好調な企業の「ヒト」を軸に据えた経営戦略を語る。
リーダー必読の書! 
(文中敬称略)


『すべての組織は変えられる』 PHP研究所(PHPビジネス新書) 
定価918円(税込)/(850円+税)麻野耕司 著




 アマゾン人気ビジネス書ランキングおよび各書店売り上げランキングでいずれもトップ10入りし、発売2週間で増刷が決定したビジネス書がある。『すべての組織は変えられる ―好調な企業はなぜ「ヒト」に投資するのか―』。そこには、組織を軸に据えた経営戦略の極意が散りばめられている。

 著者は、組織コンサルティングを手がけるリンクアンドモチベーションの執行役員、麻野耕司。「人々が所属する組織に求めるものが、安定性や報酬から、共感できる理念と明確なビジョンに変化した今、そのモチベーションを管理するリーダーのマネジメント力に注目が集まっています。コンサルタントとして、企業再建の現場を見てきた自分だからこそ書けるマネジメントのリアルを書こうと思いました」と執筆の動機を語る。

 組織運営に苦戦しているリーダーたちが、「明日から実践しよう」と思える仕事・コミュニケーション術を説いた本書は、前述のような大反響を得た。



人を押さえた会社が勝つ

 麻野が企業経営において組織作りにこだわるのには確固たる理由がある。

 一昔前は、第二次産業(製造業)が産業の中心で、商品生産に必要な設備をそろえるための資金(カネ)と実際の商品(モノ)が大きな要素だった。一度ヒットした商品はその後何十年にも渡って使われ続けるので、初めの商品開発の段階でしっかりとした戦略を練ることが肝要だったのである。

 しかし、時代を経るにつれてサービス業を中心とした第三次産業がそのシェアを拡大。立派な設備や豊富な資金はビジネスにおいて必須項目ではなくなった。さらに、ITの発展とともにめまぐるしい環境変化のサイクルが生まれ、モノの優位性が崩れた。その結果、一度ヒットしたサービスであっても常に磨き続け、さらに次々と新しいものを生み出し続けられる組織(ヒト)の力が、経営で最も重要な要素となりつつある。

 とりわけIT業界は、「資金があるよりも優秀なエンジニアがいる方が、商品・サービスのレベルが圧倒的に高まる」と言われるほどで、いち早く組織作りに乗り出した。

 しかし、財務や事業に重きが置かれていた時代の名残か、多くの企業は戦略至上主義が先に立ち、同じコンサル業界の中でも花形は戦略コンサルティングとされてきた。組織づくりは二の次といった経営姿勢に麻野は警鐘を鳴らす。



リーダーが病んでいる組織を救う

「リーダーに必要なのは資質ではなく、スキル。そして、知っていることの量や質ではマネジメント力の差はつかない」というのが麻野の持論だ。

 リーダーとしてやるべきことは、決して「目から鱗が落ちた」という目新しい施策ではない。例として『すべての組織は変えられる』から一つ抜粋すると、「相手に対して感謝・謝罪を伝える」。このように、必要なのは多くの人が幼少から教わってきた当たり前のことであり、特別な勉強をして学ばねばならないような高度なテクニックではないのだ。しかし、頭では分かっていても、それを実行に移せるかどうかはまた別の問題。そして実際、行動に移せていないリーダーが大半というのが日本の組織の現状である。

「リーダーが組織づくりのために行動を起こすことこそ、病んだ組織の建て直しに一番効果がある処方箋」と麻野は語る。例えば、部下の適性を知りたい時、一方的に観察することによって見抜こうとするリーダーは多い。しかし麻野は「リーダーと部下の間での対話がなければならない」と指摘する。

「1対1の面談をして、『どんな時にモチベーションが高まる?』『どんな時に嬉しい、悲しいと思う?』と本人に直接聞けばいい。人間、向き合って話せば大抵のことは解決します。決して難しい話ではないはずです」

 そんな麻野が意識している言説がある。「人間が変わる方法は3つしかない。1番目は時間配分を変える。2番目は住む場所を変える。3番目は付き合う人を変える」。経済学に精通し、経営コンサルタントとして世界各国で活躍する大前研一の言葉だ。対話の場を作り、相手の話に耳を傾ける。そうしてリーダーと部下の時間の使い方を変えるだけで、組織は劇的に改善すると麻野は断言する。



人から逃げない胆力を持て

 とは言え、上手く行っていない組織ほど様々な理由を付けてなかなか面談に踏み切れないのもまた事実だ。

 今やヒトを軸に据えた組織コンサルティングのプロとして100社を超える企業の建て直しに携わってきた麻野も、その昔マネジメントで苦い思いをしたことがある。戦略至上主義を掲げてチームを引っ張っていた彼だが、社内調査で自分の部下の上司満足度が極端に低い現実を目の当たりにしたのだ。自分では上手くやっている自信があったにも関わらず、先輩にも「お前、人気ないなぁ」と直球で言われる始末。そのうちに業績は悪化、部下も次々と離れていき、流石に青ざめた。

 背水の陣になって初めて、麻野は部下の声に耳を傾けた。厳しい言葉をいくつも浴びたが、マネジメントスタイルを変える他ないほど事態は切迫していた。

「半年経って業績が上がらなかったら、俺は責任を取って辞める。だから、率直に思ったことを言って欲しい」

 麻野の変化をきっかけにして業績は徐々に回復。組織の結び付きは強固なものとなった。この体験こそ、麻野が「職場のリーダーの行動・意識が変われば組織が変わる」と強く考えるようになった原点だ。

 もちろん、リーダーも人間である以上、「関係性が悪い人と向き合って話したくない」、「大変そうなことからは目を逸らしたい」という気持ちにもなる。しかし麻野に言わせれば、「そこで逃げちゃ絶対アカン」。騙し騙しでお互い居心地が悪いままにすれば、溝が深まるばかり。こうした場面で、「自分が動かないと組織は良くならない」と踏ん張れるのが良いリーダーだと語る。

 きっちり向き合うことを選んだからといって、100%分かり合えるとは限らない。結果としてその人とは別の道を歩むことも時にはある。だが、「向き合って問題に気付いたことが互いにとって良かったのだと割り切り、恐れない気持ちが重要」と麻野は説く。

 そんな麻野の夢は、ヒトを中心に置いた組織作りを目指す「モチベーションエンジニアリング」を世界に通用する経営技術とすることだ。「良い企業ほどヒトに投資している」という彼の言葉通り、これからは組織作りが企業経営の根幹を担っていくようになる。リーダーとして、すべきことを実行する。職場のリーダー一人ひとりが身近なところから一歩ずつ始めていけば、いつか大きな成果となって組織を成功へと導いていくだろう。



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