トピックス -企業家倶楽部

2015年11月30日

アパレルの10年後を見通しIT化を加速する/クロスカンパニー代表取締役社長 石川康晴

企業家倶楽部2015年12月号 核心インタビュー


今、アパレル業界が動いている。トップ3が縮小を余儀なくされる中、下から突き上げるクロスカンパニーの快進撃が止まらない。石川康晴社長は10年先のアパレル業界を見通し、2015年は投資の年と位置づけ、次々と布石を打つ。クルマ業界を徹底研究、宅配クリーニングや洋服のレンタル業にも進出、周辺事業を固める。2016年の東証一部上場を見据え、着々とIT化を加速する石川社長に未来戦略を聞いた。


聞き手:本誌副編集長 三浦貴保

P R O F I L E

石川康晴 (いしかわ・やすはる)

1970 年岡山市生まれ。岡山大学経済学部卒。94 年クロスカンパニーを創業。99 年に「アース ミュージック&エコロジー」を立ち上げた。宮﨑あおいを起用したテレビCMで注目を集め、10 年中国に進出。海外に100 店舗を展開する。一方、女性支援制度を中心とした社内制度の充実、環境活動や地域貢献活動へも積極的に取り組む。2014 年、グローバルブランド「KOE」を立ち上げ世界を目指す。12年「第14回企業家賞チャレンジャー賞」受賞。2014年、京都大学大学院進学。

 




問 CMで宮﨑あおいさんがまた歌っていますね。アースミュージック&エコロジー(以下アース)に力を入れるということですか。

石川 そうですね。アースだけで国内は売上340億円になります。最近ではスターバックスとアースが同敷地でお店を作っています。

問 客層が似ていますからね。アースでもバージョンがいくつかあるようですが。

石川 アースの下に、レーベルというサブタイトルが8つある。例えば、レッドレーベルは10代がターゲットなのでスカートが短めですが、ナチュラルレーベルは30代なのでスカートが長い。

問 客層を広げているということですか。

石川 アースというワンブランドに見えますが、実は8ブランドが入っているようなものです。マルチプロダクトと呼んでいますが、様々なセグメントごとにレーベルを立てている。もともとのコアターゲットは25歳ですが、30歳になってもアースを卒業しないように、イオンモール向け、ルミネ向け、パルコ向けとそれぞれ商品を作っている。今度は40歳向けを作ります。

問 歳を重ねても、まだアースが着られるというのはファンにとって嬉しいですね。

石川 一方、顧客とともに歳をとりたくないという想いがあるので、マーケットにずれないように、新卒が一番若いレーベルを企画している。

問 それだけきめ細かく展開しているからこそ、ワンブランドで340億円稼げるということですね。海外のアースはどうですか。




石川 中国大陸が約50億円。台湾が40億円。香港とシンガポールとタイを合わせて20億円ぐらいです。タイはこの2、3年の政情不安定な最中に25店舗を出しました。

問 アース全体の店舗数と売上はどのぐらいですか。

石川 全世界で360店舗くらいになります。国内が260店舗、海外が100店舗です。売上は海外が120億円ですが、これを6年後には国内500億円、海外500億円と、アースだけで1000億円に持っていきたい。

問 最近はアパレルトップのリストラ、退店が話題になるなど、厳しい環境ですね。

石川 トップ3が縮小しています。ワールドもTSIもかなりの店を閉めると言っていますので、当社にとってはチャンス。彼らが退店する所に入れていかなければと思っています。ショッピングモールの核ブランドなので、大きくて良い場所を持っています。ここに当社の新ブランド「KOE」を入れていきたい。

問 トップ3が落ちて御社が急成長している、その差は何ですか。

石川 一つは顧客のニーズを捉えているか否かだと思います。消費者のリサーチの仕方が大きく違うのではないでしょうか。失敗しているところの特徴は、POSデータでものを作っていることです。これが売れたから来年も作ろうと。でも、一回買った商品と同じようなものは買いませんからね。当社は半分POSデータですが、半分は企画の人たちが店舗に行って、お客様を見て、今着ているものの次に何を着るかを、常に推測しています。

問 なるほど、この秋はどういうものが流行っているんですか。

石川 ガウチョパンツとGジャンですね。その感覚にトップの3社はついてこれない。



2015年は投資の年

問 この一年間でさまざまな分野に参入しておられますが、2015年度の売上と利益はどのくらいになりそうですか。

石川 ざっくり1200億円です。2014年で1100億円でしたので、伸び率は10%。ちょっとペースダウンです。利益は昨年と同じ80億円ぐらいになるかと思います。今年は「投資の年」と位置づけ、思い切って投資をしました。

問 クリーニング業に参入しましたね。

石川 斜陽産業のクリーニングを買ったのではなく、通販の宅配クリーニングサービスを買収した。つまりIT企業を買ったということです。クリーニング工場は巨大設備で稼働率が悪い。そこをITの力で生産性を上げられないかと考えました。

 洋服を売って、それをクリーニングで預かる。同時に倉庫業もセットにすれば、冬物のコートなどは、半年預かって閑散期の夏に洗うことができます。アースというブランドの客単価は5000円ですが、クリーニングと保管というアフターサービスで客単価が上がる。

問 売りっぱなしではなく、アフターサービスで客単価を上げるという発想は他社にはないです。

石川 洋服だけでなく、洋服関連の周辺サービスにも進出する。自動車業界にはありますが、アパレルでは世界初。ビジネスモデルを川下まで繋げて、単価を上げていこうというわけです。もう1つのメリットは、クリーニングで商品が返ってきますので、使用後に服がどう変化したかフィードバックできる。顧客管理が最大化できるということです。

問 顧客管理というと、高額な洋服や着物というイメージですが、客単価の低い洋服でそこまで考えている会社はないですね。

石川 新しいビジネスモデルだと思います。「川下の垂直統合」と呼んでいます。クリーニングネットサービスを持っているIT企業を買収、技術者を手に入れたことがメリットです。その人材の一人がクロスカンパニーのテクノロジーオフィサーとして、通信販売戦略や川下の垂直統合の戦略を練っています。



クルマのビジネスモデルをアパレルで実験

問 洋服のレンタルはどういう意図ですか。

石川 流通のイノベーションという概念です。

問 レンタルと言えば冠婚葬祭と思っていました。反応はいかがですか。

石川 結構なペースで会員が増えています。これは3年くらいかけてリサーチをした。これもアパレルメーカーでは世界初の試みです。

問 どんな人が借りるんですか。

石川 ターゲットは18歳。第2ターゲットは30歳です。私立大学1年生で通学のために毎日私服を着ていかなければならないが、かといってお金はない。この子たちがうちのレンタルの対象です。コーディネート済みなので喜んでもらえると。

問 すごい発想ですが、誰が考えたんですか。

石川 お風呂の中でずっと考えていました。一番のヒントは私が通っている大学の学生たちです。彼らは毎日同じコートを着てくるわけです。でも服が好きなんですよね。

問 一番おしゃれがしたい年齢ですね。

石川 若い時から服に沢山関わってくると、服の文脈が沢山出来る。当社のコアターゲットは25歳ですが、その時は過処分所得がある。生意気な言い方をすると、これはファッション業界の啓蒙活動です。この業界から目を離さないでほしい。30歳くらいになると、結婚や家のローン、教育費で、洋服に支出できない。この人たちにもレンタルサービスを使ってほしいですね。

問 石川社長自身が学生をやっていて良かったですね。

石川 ターゲット層のお客様の横で生活するというのが一番勉強になる。靴、カバン、服などをじっとリサーチしています。今の10代の子たちは所有欲がない。スマホ世代は所有よりもレンタルやシェアです。この世代がスマホを持って、あと10年経った時に社会がどう変わるのか。早くプラットフォームを作っておいた方が、ITは先行者が有利となりやすい業界ですからね。

問 エコを考える上でもいいですね。

石川 今はエコ時代ですからね。10年先の先進国の洋服のあり方を考えて実施しました。無数にある競争相手と、少子化していく小さなパイを取り合うと牛丼戦争になる。そこから当社はポジショニングをずらして、事業領域をアパレルからライフスタイルとテクノロジーに移行していこうというわけです。

 もちろん新品も売りますが、直営店もあればEコマースもある。更にレンタルサービスもEコマース。返ってきた商品は中古のリサイクルに回しますが、そちらもやはりネットとの親和性が高い。これはある意味、クルマと同じビジネスモデルで、新車・中古車・レンタルなんです。自動車業界のビジネスモデルを研究して、アパレルにどう取り入れるか考えてやりました。

問 車は裾野が広いですが、アパレルも周辺を掘り起こしているわけですね。新サービスのメチャカリの会員はどのくらいでしょうか。

石川 スタートしてまだ2週間で、1000人です。月5800円で借り放題。レンタルと聞くと99%の人が中古と捉えますが、当社はSPA(製造小売)なので新品を貸し続けます。この「新品」というキーワードを入れただけで、ITのベンチャーが参入してこられない。

問 SPAの強みですね。

石川 4、5年後には会員30万人を目標にしています。めちゃくちゃ借りるで「メチャカリ」です。IT企業っぽい名前をつけました。

問 10年先を見ているというのがすごいですね。

石川 新品の通販も強化し、3年で100億円伸ばす予定です。そのためにテクノロジー人材を買ったようなもの。現在3%しかありませんが、EC化率を10%にすれば、社員全員の給料をもう1割上げられる。生産性を上げて社員の給料、労働分配を上げたいのです。そのためにはIT化とグローバル戦略しかありません。



KOEで欧米展開

問 グローバルブランドのKOEはどうですか。

石川 グレーター・チャイナ(中国・香港・台湾)はアースですが、欧米はKOEでいきます。

問 KOEは導入してちょうど一年ですが、感触はいかがですか。

石川 既存店10店舗は前年比全店プラス。2年目で大幅に伸びており予算通りです。新潟、岡山、香川で品揃えを試そうと思っています。

問 KOEはキッズやメンズもありますね。

石川 キッズはラルフローレンから、メンズはバーバリーから人を入れました。ロンドンにいたデザイナーを加えて、そのメンバーでやっています。

問 一番動いているのはどんな商品ですか。

石川 子供服が絶好調です。高くて品の良いものはありますが、当社は「安くて」品のある商品を手がけている。30代で子供がいて、イケアの家具を置き、モダンな生き方をしているネオファミリー。この人たちがKOEのお客様です。

問 東京はいつごろ攻めるのですか。

石川 大阪は伊丹、関東は埼玉の富士見から東京を攻める準備をしています。来年の後半には東京を攻めようかと考えている。

問 どこを狙いますか。

石川 ファッションを押すなら渋谷、銀座、代官山。ライフスタイルを押すのであれば自由が丘、二子玉川、武蔵小杉。若い人を狙うなら渋谷。インバウンドを狙うなら銀座。どこでデビューするのか模索しています。

問 KOEの海外展開はいかがですか。

石川 2020年までにはアメリカに進出、そこから積極的にチャレンジします。ヨーロッパは検討中です。ニューヨークだと5番街に出せば1店舗で100億円や200億円売れる店がありますが、ヨーロッパだと20億円くらいです。

 ユニクロもMUJIもヨーロッパでは苦戦している。KOEのアメリカ法人が出来たら、そこがKOEチャイナを作ります。今後はKOEのグローバル展開とアースのグレーター・チャイナ展開、そしてテクノロジー分野でネットのプラットフォームを構築していく。

問 最近キュレーションジャパンを立ち上げましが、どういう意図がありますか。

石川 これも慈善事業ではなくビジネスとして捉えています。1つは広告収入、もう一つはEコマースの通信販売収入。メディアでのPV(アクセス数)が伸びてくれば広告収入が入ってくる。さらにPVが伸びたら富裕層向けのクールジャパン商品を外国人に買ってもらおうと考えています。フランス人やアメリカ人が日本に来るときに、キュレーションジャパンでリサーチをして、観光に行くというイメージです。富裕層向けの通信販売および広告のビジネスモデルを、メディアを確認しながらやっていくつもりです。

問 株式上場のスケジュールはどうですか。

石川 2016年秋までには東証一部に上場します。

問 グローバルブランドのKOEはどうですか。

石川 グレーター・チャイナ(中国・香港・台湾)はアースですが、欧米はKOEでいきます。

問 KOEは導入してちょうど一年ですが、感触はいかがですか。

石川 既存店10店舗は前年比全店プラス。2年目で大幅に伸びており予算通りです。新潟、岡山、香川で品揃えを試そうと思っています。

問 KOEはキッズやメンズもありますね。

石川 キッズはラルフローレンから、メンズはバーバリーから人を入れました。ロンドンにいたデザイナーを加えて、そのメンバーでやっています。

問 一番動いているのはどんな商品ですか。

石川 子供服が絶好調です。高くて品の良いものはありますが、当社は「安くて」品のある商品を手がけている。30代で子供がいて、イケアの家具を置き、モダンな生き方をしているネオファミリー。この人たちがKOEのお客様です。

問 東京はいつごろ攻めるのですか。

石川 大阪は伊丹、関東は埼玉の富士見から東京を攻める準備をしています。来年の後半には東京を攻めようかと考えている。

問 どこを狙いますか。

石川 ファッションを押すなら渋谷、銀座、代官山。ライフスタイルを押すのであれば自由が丘、二子玉川、武蔵小杉。若い人を狙うなら渋谷。インバウンドを狙うなら銀座。どこでデビューするのか模索しています。

問 KOEの海外展開はいかがですか。

石川 2020年までにはアメリカに進出、そこから積極的にチャレンジします。ヨーロッパは検討中です。ニューヨークだと5番街に出せば1店舗で100億円や200億円売れる店がありますが、ヨーロッパだと20億円くらいです。

 ユニクロもMUJIもヨーロッパでは苦戦している。KOEのアメリカ法人が出来たら、そこがKOEチャイナを作ります。今後はKOEのグローバル展開とアースのグレーター・チャイナ展開、そしてテクノロジー分野でネットのプラットフォームを構築していく。

問 最近キュレーションジャパンを立ち上げましが、どういう意図がありますか。

石川 これも慈善事業ではなくビジネスとして捉えています。1つは広告収入、もう一つはEコマースの通信販売収入。メディアでのPV(アクセス数)が伸びてくれば広告収入が入ってくる。さらにPVが伸びたら富裕層向けのクールジャパン商品を外国人に買ってもらおうと考えています。フランス人やアメリカ人が日本に来るときに、キュレーションジャパンでリサーチをして、観光に行くというイメージです。富裕層向けの通信販売および広告のビジネスモデルを、メディアを確認しながらやっていくつもりです。

問 株式上場のスケジュールはどうですか。

石川 2016年秋までには東証一部に上場します。

問 10年後の売上はどのくらいになりますか。

石川 4000億円台後半ですね。テクノロジー(Eコマース関連)が300億円くらい、国内がまだ8割、海外が2割くらいと予測しています。

問 ユニクロ超えはいつになりますか。

石川 まだわかりません。ユニクロもすごい勢いで伸びていますから。立ち位置的には当社が1兆円、ユニクロが5兆円のバランスで20年後を迎えるのではないでしょうか。20年後とはいえ、私はまだ64歳。現役で働いているでしょう。

問 10年後の売上はどのくらいになりますか。

石川 4000億円台後半ですね。テクノロジー(Eコマース関連)が300億円くらい、国内がまだ8割、海外が2割くらいと予測しています。

問 ユニクロ超えはいつになりますか。

石川 まだわかりません。ユニクロもすごい勢いで伸びていますから。立ち位置的には当社が1兆円、ユニクロが5兆円のバランスで20年後を迎えるのではないでしょうか。20年後とはいえ、私はまだ64歳。現役で働いているでしょう。



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