トピックス -企業家倶楽部

2015年11月25日

速やかに中国から撤退を/拓殖大学客員教授 石平

企業家倶楽部2015年12月号 著者に聞く





『なぜ中国から離れると日本はうまくいくのか』

石 平 著 PHP新書( 定価760円+税)

在日中国人として、日中問題・中国問題を専門とする評論家、石平氏。独自の視点で日中関係の歴史を読み直し、本書を執筆した。中国国内の問題や、日中関係史を根拠に「中国に近づき過ぎると日本は失敗する」という法則を編み出し、中国の危険性を読者に訴える。



中国から離れると日本はうまくいく

問 今回のご著書を書かれたきっかけを教えて下さい。

石 私は元々中国人で、日本に来て今年で27年目。これまで日中関係を理解するために両国の理念、哲学を歴史的な側面から学んできた結果、この本を書こうと思いました。

問 タイトルにもなっていますが、「中国から離れると日本はうまくいく」ことに気が付いたのはなぜでしょうか。

石 この発想は最初からあったわけではありません。古代から現代に至る日中関係史を日本の視点から改めて読み直しました。そして、古代から海洋国家である日本は、大陸と関係を持つと逆に様々な問題が生じることに気付いたのです。日本は大陸に深入りすると、飲み込まれるか翻弄されるか。その海洋国家の宿命を、日中関係史を読み解く中で強く感じました。

 例えば、今の日本文化の骨格を作った江戸時代には、中国との関わりはほとんどありませんでした。その後の明治政府も脱亜入欧を掲げて中国とは関係性を深めなかったため、近代日本の基礎を築きました。

 しかし、大正あたりからアジア主義が台頭しました。アジア主義の基本は中国と連携して西洋に対抗することです。日中戦争が勃発して日本は全面的に大陸に進出したため、アメリカとの関係が悪化し、太平洋戦争に発展。最終的には占領の憂き目に遭いました。アジア主義は間違いだったのです。

 1950年代から60年代にかけて冷戦による東西対立が顕著となると、今度はアメリカと同盟して西側陣営に。自由主義社会となり、再びソ連や中国などの大陸と対峙しました。日本にとってこの時期は、戦後復興を成し遂げて繁栄した時代です。

 敗戦という失敗と戦後の成功が「中国から離れると日本はうまくいく」という私の法則を証明しました。過大な期待をかけて日中関係を密接にすると、結果的に日本経済は大きなダメージを受けるのです。



中国は5年で災難の発祥地となる

問 「失われた20年」と言われた不景気の始まりであるバブル経済崩壊から日本は中国に近づき、その関係が続いていますが、今でも法則は当てはまるのでしょうか。

石 バブル崩壊後に日本経済が希望を失った中、多くの日本人がバラ色の未来があると多大な期待を寄せ、目を向けたのは13億人の中国市場です。しかし、現在では中国経済は危ないというのが有識者の論調になりました。すでに多くの企業は中国から撤退しており、中国に対する投資も年々減少しています。

 おそらく5年後、中国経済の日本へのプラス要素は無くなるでしょう。日本経済は戦後、日中国交正常化がなされるまで中国と関係を持たず、みごとに高度経済成長を成し遂げました。しかし、中国市場が出現したことで、そこが新たなフロンティアであると日本は考え始めたのです。日本経済全体から見れば、中国市場が出現した後の経済成長が停滞したことは誰の目にも明らかでした。

 それでは、日本の真のフロンティアはどこにあるのか。それは生産にしても、消費にしても日本自身にあるのです。日本経済は中国に依存している部分がありますが、幸いまだそれほど依存度は高くない。今以上に関係を深めると、中国市場が混乱した時、日本も道連れとなります。そして、今後5年で中国は日本にとってのフロンティアではなく、災難の発祥地となるでしょう。

問 なぜ、中国経済は5年で悪くなるのでしょうか。

石 中国経済を成長させた要因が輸出と公共投資だからです。日本は基本的に国民の消費によって支えられており、個人消費率は6割前後。しかし、中国経済に占める個人消費率は4割未満に過ぎません。

 安く作れることが中国の売りでしたが、人件費が上がったために安く作れなくなり、今年の輸出はマイナス成長に転じた。その分、過剰投資を行えばどうなるか。公共投資は消費が伸びないことには意味がありませんが、これは限界を迎えています。しかも、不良債権、シャドーバンキング、不動産バブルなど、今までの無理な成長から中国経済に健全な部分は何一つないのです。

 その上、中国は社会主義市場経済体制です。政府は株を買う許可を与えても、売ることは禁止している。そのような自由のない市場を他国は信用できません。この現状を受け、上海株が暴落して東証も大変なことになったことは記憶に新しいと思います。

 今後、中国の経済力は下がることはあっても、上がることはありません。そして、経済の破綻によって中国政府の市場の監視がより厳しくなるでしょう。最終的には政権を維持するために、ファシズムに向かう可能性も否定できないのです。かの国が崩壊の道を辿れば、結果的に日本経済も大きなダメージを受けるはずです。



世界で最も危険な国

問 ご著書の中に「農民工二世」が都市部に流れているという話がありましたが。

石 今後、中国が抱える深刻な問題は農民工、日本で言えば出稼ぎ労働者です。政府の発表では2億6000万人。日本でいう「出稼ぎ」は再び農村に戻るのが普通ですが、中国において、若者の多くは帰ったところで土地も生活基盤もありません。そのため、永遠に都市部を転々として職を求めます。彼らを雇っていたのは、衰退が予測される輸出向けの産業と建設関係が多く、行き場を無くしたことによる暴動が起きて、中国社会は大混乱に陥るでしょう。

 私からすれば、中国は世界で一番危険要素の多い国です。今後、中国で政治的にも経済的にも大変なことが起きることは間違いありません。

問 今後、日本はどのような戦略を取っていくべきでしょうか。

石 日本が取るべき戦略は2つ。中国と距離を置くためにも、同国を排除したTPP経済圏の中で経済活動を行うこと。そして安全保障問題に関しては、アメリカとの同盟を機軸にし、アジア諸国と連携して中国の拡張に対処することです。それにより、アジアの安定や日本の平和を守れます。

 日本の経営者にアドバイスするなら、「早く、中国から逃げだそう。あまり、中国に近寄るな」と言いたい。中国進出に会社の運命を賭けることは禁物。進出しても良いのは、中国企業が全て倒産しても、生き残る自信がある会社だけです。



コメントをシェア

骨太対談
 
コンテンツメニュー
企業家賞
企業家倶楽部企業家大学
Page Top