トピックス -企業家倶楽部

2016年01月25日

切磋琢磨し世界を目指す/アイスタイル社長 吉松徹郎 × ボヤージュ・グループ社長 宇佐美進典

企業家倶楽部2016年1/2月号 熱血企業家!


女性に人気の美容系口コミサイト「@cosme(以下アットコスメ)」とリアルな店舗「アットコスメストア」を運営しているアイスタイル。「ECナビ」などのメディア事業とアドテクノロジー事業を展開するボヤージュ・グループ(以下ボヤージュ)。両社は同じ時期に立ち上がり、創業20 年になるネットベンチャーだ。吉松徹郎社長と宇佐美進典社長、大学時代からの親友ならではの対談が実現した。

(本記事は2015年6月放送の「熱血企業家!」を誌面化したものです)

Profile 吉松徹郎 (よしまつ・てつろう)

1972年千葉県生まれ。東京理科大学基礎工学部卒業。1996年4月 アンダーセンコンサルティング(現アクセンチュア)入社。1999年7月 アイスタイル設立、同年12月 アットコスメをオープン。平成15 年度創業・ベンチャー国民フォーラム起業家部門奨励賞受賞等。2012年3月東証マザーズ上場 同年11月東証一部に市場変更。

Profile 宇佐美進典(うさみ・しんすけ)

1972年愛知県生まれ。96年早稲田大学商学部卒業後、トーマツコンサルティング入社。99年アクシブドットコム(現ボヤージュ・グループ)を創業、2002年代表取締役CEOに就任。05 年サイボウズとの合併でcybozu.netを設立、代表取締役CEOに就任。14年7月東証マザーズ上場。15年9 月東証一部に市場変更。



ネット×リアルで市場を変える

宇佐美 私はアイスタイルが成長した要因は、口コミサイトの運営にとどまらず、リアルの店舗に化粧品の売り場を広げていることだと思います。人気が出た商品をネットでも販売し始める会社は多いですが、逆は珍しいですよね。この発想はどこから生まれたのでしょうか。

吉松 「化粧品・美容業界をネットの力で変えるために何をするか」と考えて導き出した結論です。ネットとリアルを組み合わせることで市場は変わると思いました。

宇佐美 反対に、吉松さんから見たボヤージュの強みは何でしょうか。

吉松 新しいことに挑戦するスピード感と事業を途中で止めない継続力だと思います。アイスタイルとボヤージュが取り組むネット広告は成長市場ですので、企業は色々な事業に挑戦します。その一つがポイント事業ですが、最後までやりきったのはボヤージュだけ。今、宇佐美さんが力を入れているアドテクノロジーの時も同じでしたよね。

宇佐美 はい。様々な事業を手がける中で、「流行り物が得意ではない」ことに気付いたのです。それからは、改善を重ね、根気強く事業を続けています。



事業を続ける秘訣は組織

吉松 ボヤージュが事業を続けられる秘訣は何ですか。

宇佐美 組織の作り方だと思います。ボヤージュはチームで仕事をすることに重点を置いています。そのため、普通の会社が陥りがちな、事業拡大に伴う社員増加によって組織が上手く機能しなくなる現象に見舞われにくい。

吉松 なるほど。事業が壁にぶつかった時、その理由を考えて改善するか、新しいブームに乗るかの二択を迫られます。多くの会社は後者ですが、ボヤージュは前者ですよね。

 改善を積み重ねる姿勢はアイスタイルも同じです。この選択には2人ともコンサルタント出身ということが関係していると思います。コンサルタントは問題の解決方法を提供するのが仕事ですからね。



起業は想定外

宇佐美 吉松さんが起業を考えたきっかけは何ですか。

吉松 宇佐美さんがコンサルティング企業からベンチャーに転職したと聞き、「何をやっているんだろう」と思って会社に遊びに行きました。それがきっかけです。

宇佐美 その時は吉松さんから「インターネットで化粧品のメルマガを配信したい」という夢を聞いて、化粧品のドメインを取ることを勧めたのを覚えています。そして、その場でアットコスメの基盤となる「cosme.net」のドメインを取りましたよね。

吉松 そうです。この時、宇佐美さんと「ドメイン取れちゃった。どうしよう。事業計画書でも書こうかなぁ」という話をしました。これが4月。5月には会社に辞めると伝え、7月には自分の会社を設立しました。

 宇佐美さんが起業を意識されたのはいつだったのでしょうか。

宇佐美 大学生の時には起業を考えていました。当時は大学を卒業して、コンサルティング会社で働いた後、アメリカへ渡ってMBAを取得。外資系やベンチャーで働いてから35歳くらいで起業するという未来を思い描いていたのです。しかし、実際には予定よりも早い27歳での起業となりました。

吉松 起業の理由を教えてください。

宇佐美 私は19歳で学生結婚をしました。そのため普通の会社では働けないと思い、仕方なく起業を考えたのです。しかし、自分に出来ることも分かりませんので、大学卒業後は就職できそうなコンサルティング会社に入社しました。



共通する運命の日

吉松 これまでに大変だった出来事を教えてください。

宇佐美 約5年前、主力事業の取引先から契約を解消された時は大変でした。しかし、それが会社の転機になったのです。「この事業に期待できないなら、新しいことに挑戦しよう!」と考え、アドテクノロジーの基盤となる事業に取り組み始めました。結果的にそれが成功。今ではアドテクが売り上げの半分以上を占めています。

 吉松さんが苦労したことは何でしょうか。

吉松 アイスタイルは「アットコスメと他の事業への投資の比重をどうするか」という問題を常に抱えていました。会社の方向性を決めかねていたのです。

宇佐美 最終的にどのような方向性に落ち着いたのでしょうか。

吉松 クライアントからの幅広い要望に応えられるように「口コミデータを軸にした、多面的な事業モデルを行なう」ことにしました。それを本格的に決定したのは、ボヤージュの上場した・・・。

宇佐美 2014年7月2日!

吉松 絶対忘れません。宇佐美さんが上場した時、嬉しくて涙が出ました。

宇佐美 本当に喜んでくれて、嬉しかったです。

吉松 あの時、私も「何かをしないといけない」と思い、会社の方針を決めました。それから1年。アイスタイルは大きく変わってきています。私自身が現場に立ち、アットコスメを再び輝かせるために行動しています。その結果、体制も含めて色々と変わって来ました。あの日には運命を感じています。



圧倒的ナンバーワンを目指す

宇佐美 アイスタイルの今後の目標は何でしょうか。

吉松 ビューティー×ITで世界ナンバーワンを取りたい。既に、ビューティーや化粧品のサイトとしてアットコスメは世界一。そのサイトを軸にした店舗も世界展開しています。ビューティーとITを組み合わせた事業は他国では進んでいないため、アットコスメは世界で十分戦えるという自信があります。

 ボヤージュは今後、どのような事業展開をしていくのでしょうか。

宇佐美 アドテクに集中します。ネット上の広告収益最大化を目指すツールであるSSPは、現時点で国内シェア20%を占めます。これを圧倒的ナンバーワンにすることが目下の目標です。まずは1つの分野で圧倒的ナンバーワンを取って他の事業に広げ、最終的にネット広告流通の仕組みをプラットフォーム化して提供したいと考えています。

吉松 当分はネット広告に集中するのですね。

宇佐美 その通りです。しかし、私が考えていない事業に現場が手を伸ばしているのも弊社の特徴。大まかな予算・期限を伝え、「その範囲で大当たりする事業を考えてね」という形で完全にチームに任せています。そのため、知らない間に色々な部門や子会社ができていることがあるかもしれません。



次のステージは世界

吉松 社会人になって20年目になりました。20年後は自分がどうなっていると思いますか。

宇佐美 会社を作るとき、世界を変えるようなすごいことをしようと思い、経営理念に「360°スゴイ」を掲げました。そのため、20年後も「スゴイ」と言えるような事業を行って、世の中を変え続けていたいです。

吉松 20年後も日本にいますか。

宇佐美 会社としてはグローバルに展開したいと考えていますが、この国が好きなので、日本にはいるでしょうね。

 吉松さんは、20年後の自分は何をしていると思いますか。

吉松 部下を育てるなど、自分が培った知識や技術を周りに伝えることに集中していると思います。社会人になって最初の10年は修行で、次は結果を出さないといけない10年。結果を出したら、次は大きなステージを与えられる10年で、最後は人に伝える10年にしたいと考えてきました。20年後を計画通りに迎えるためにも、これから来る大きなステージ、世界進出を成功させます。



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