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トピックス -企業家倶楽部

2016年01月29日

日本のおもてなし文化を輸出する/スーパーホテル会長 山本梁介

企業家倶楽部2016年1/2月号 新春インタビュー


肩書き、プロフィール、会社概要等は掲載当時のものです。

2015年3月期決算で248億6500万円を売り上げ、右肩上がりの成長を続けるスーパーホテル。ビジネスホテルの価格で高級ホテルのおもてなしを実現、全体の7割超がリピーターというから驚きだ。健康と環境に配慮したホテルのコンセプトはLOHASホテルとして女性客を中心に高い評価を得る。今回は同社の山本梁介会長に、日本で人気を誇るスーパーホテルが海外進出を進める理由、現地での人材育成、今後の展望を聞いた。(聞き手:本誌編集長 徳永健一)

PROFILE

山本梁介(やまもと・りょうすけ)


1942年大阪府生まれ。64年、慶応義塾大学経済学部卒業後、蝶理に入社。67年に家業である繊維商社に入社。1996 年福岡にスーパーホテル1号店を開業し、1997年より現職。2013 年、第15 回企業家賞チャレンジャー賞受賞。著書に『1泊4980 円のスーパホテルがなぜ「顧客満足度」日本一になれたのか?』がある。



ファイブスターではなくスーパースターホテル

問 スーパーホテル海外3店舗目をミャンマーにオープンされました。なぜミャンマーに決められたのですか。

山本 これから経済の成長が大きいASEANで、最初はタイ、次はベトナムでした。3店舗目はたまたまお話のあったミャンマーに決めました。

 スーパーホテルはリピーターのお客様を大切にしています。ミャンマーは工業団地ができ、日本からビジネスで行かれる方が増えました。お客様から、「ミャンマーにはヒルトンやシェラトンなど高級ホテルはできているが、ビジネスに使うリーズナブルで快適なホテルが欲しい」という要望がありましたので、ミャンマーに決定しました。

問 ミャンマーのスーパーホテルは直営ですか。

山本 合弁会社です。パートナーはミャンマーでルビーを扱う宝石商で、宝石を手がけながら資産運用もされています。

問 ホテル事業者ではないのが意外ですね。異なる事業の方が、ビジネスパートナーとして補完し合っていけるメリットがあるのでしょうか。

山本 ベトナム・ハノイのスーパーホテルは、ホテル事業者から引き受けています。問題は業種よりも、スーパーホテルのパートナーとして経営理念が合うかどうかです。皆さんはお金持ちですから、ファイブスター、フォースターのホテルを運営したいと仰る。そこで、我々が目指すのはスーパースターだと説明します。ファイブスターのおもてなしを、スリースターの価格で提供するのだと。すると関心はあるが、果たしてビジネスになるのかと聞かれますので、現場を見に日本へ来ていただくようにしています。

問 実際にスーパーホテルを体験してもらうのですね。反応はいかがですか。

山本 真剣に見ていただいています。大きなホテルを考えている方が多いのですが、東京のこじんまりしたスーパーホテルに宿泊していただく。実際にスーパーホテルのコンセプトを体験すると、経営者として私の話が胸に刺さるようです。

 ミャンマー、ベトナム、タイには、既に世界チェーンの高級ホテルがありますから、そこで同じ土俵に上がって高級ホテル、結婚式場、飲食を手掛けても、数十年先には1番、2番に取られてしまいます。ファイブスターではなく、独自のスーパースターにならなければ長く続けてはいけないことを理解していただかないと、パートナーは組めません。話が消えることもあります。

問 今日本で起こっていることが、今後ASEANでもタイムラグで起こるでしょうから、ホテル事業の未来は予測しやすいのでしょうか。

山本 そうですね。現地の先を行く日本で、稼働率90%以上と成功していることで、納得いただけます。日本に来るということは、それだけ経営に熱心な方という証拠ですから、しっかり現状を見ていただける。初来日の方も多いですね。



海外にも自律型感動人間を

問  お客様の認知度を上げることはもちろんのことと思いますが、海外進出で苦労するのはどういった部分でしょうか。

山本 やはり、何といっても従業員の教育、人づくりです。私どもは日本のおもてなしを現地に持ち込みたい。しかし、現地の仕事は縦割りで、誰かを助けるとその人の仕事を奪ってしまうことになると考えるのです。

 例えば、現地のホテルでゴミを拾いました。会長の私がゴミを拾い出したら、スタッフも拾ってくれるのではないかと期待してのことです。しかし、リーダーから「仕事を奪ってしまうので、そんなことはしないでくれ」と言われてしまいました。

 お客様を感動させるおもてなしマインドは「ここまでやってくれるのか、ここまで考えてくれたのか」という程のサービスを提供しようとする意識です。お客様の不満要因だけならば、仕事のマニュアル化で取ることができます。ただ、私たちが目指しているのはそれ以上のおもてなし、お客様に感動してもらうこと。それが一番大切な部分なのに、なかなか伝わらない。言葉では伝わらないから、日本に来て体験してもらうのです。

 弊社では、お客様の喜びが自分自身の喜びでもあると感じながら、スタッフ同士が助け合って仕事をしています。スーパーホテルの人材育成のテーマ「自律型感動人間」になってもらうことが重要です。そこで、回り道のように思えますが、経営理念を翻訳して伝えています。ここからやっていかなければ、我々の理想と異なってしまいますからね。

 日本からスタッフを連れていけば話は早いですが、コストがかかります。現地の方々をスタッフに起用し、精鋭化しなければ、スーパーホテルの海外事業は完成しません。日本から入るのは支配人とセールスマネージャーくらいで、あとは現地の人に任せなければうまくいきませんので、日本のおもてなしを輸出することにしました。

 もちろん教育にもコストはかなりかかりますので、今はまだ投資の段階。日本で学んだという実績を買われ、引き抜かれてしまうこともあります。大変ですが、実現できれば素晴らしいホテルが作れると考えています。

問 インバウンド(海外から日本を訪れる観光客)の数字も伸びて追い風ですし、スーパーホテルの名前が海外の現地で知られていると、「来日した際の宿泊もスーパーホテルでお願いします」という具合になりそうですね。

山本 実際に、タイ、ベトナムからのお客様は倍増しました。無理はせず、海外では利益を上げるよりも日本の文化を輸出し、日本は良いところだと感じてもらう広告塔に徹することです。私どもの経営方針は拡大よりもエクセレント。まずはナンバーワンを取るというのが目標です。



女性の共感を呼ぶロハス

問 スーパーホテルの利用客は女性が多い印象があります。ビジネスホテルとしては珍しいのではないでしょうか。

山本 LOHASシリーズでは40%が女性客です。普通のスーパーホテルシリーズでも25%が女性。一般的なビジネスホテルでは2割以下だと思いますから、確かに多いですね。月に6000通くらいいただくアンケートでも、調査会社が驚くほど女性客から高評価を頂いています。

問 LOHASが女性の共感を呼ぶのでしょうか。LOHASのポイントを教えてください。

山本 健康、環境、日常の感動。この3つをポイントにしています。資源多消費ではなく、本物志向。新しい店舗では内装も森林にいるかのような雰囲気にしました。安眠のため7種類の中から選べる枕には、ヒノキの香りがする素材を使用。食事は有機野菜、地産地消のもので作り、アメニティグッズもオーガニックのものを使っています。環境に悪い物質を排除し、お客様にはぐっすり休んで健康になっていただきたい。

問 ここ数年で変わってきたと感じるホテル業界のトレンドはありますか。また、改善していることはありますか。

山本 価格志向ではなくなってきましたので、こだわりのないホテルは難しい状況にあるのではないでしょうか。我々は生産性を高めることはもちろん、顧客満足度を高めようと、LOHASと日常のおもてなしを意識しています。価格も上がっていますが、マーガリンではなくバターを使う、パンは焼き立てをお出しする、天然温泉もプラスチックではなくヒノキの桶と椅子をご用意するといった具合です。豪勢ではありませんが、本物主義を貫いています。

問 需要が増えているから価格が上がっているというわけではないのですね。

山本 仕入れコストや人件費も上がっています。インバウンドもありますが、日本でリピーターとなっていただいているビジネスマンを裏切ることはしません。スーパーホテルをご利用いただいている方の70%以上はリピーターですので、他の人を制限しなければこの数字を確保するのは難しく、やむなく20名以上の団体様はお断りしています。



士気に繋がる環境活動

問 売上げも248億円と右肩上がりです。業績好調の理由を教えてください。

山本 サービス、IT化を徹底的に進めています。フロントでのチェックインもタブレットのサインでできるようにしました。これにより顧客情報の一元化ができ、一気通貫に経理までできてしまう。まだ導入しているのは約10店舗ですが、これから全国に広げていく予定です。

問 朝のビジネスホテルのチェックアウトはフロントで待たされるというイメージがありますが、スーパーホテルにはそれがないのが快適ですね。また未使用の歯ブラシの返却やマイ箸の持参、ごみの分別など、利用客も参加しての環境活動は気持ちが良くて、心が満たされます。エコやLOHASの取り組みは何がきっかけだったのでしょうか。

山本 スーパーホテルの環境活動の発端は、水俣市長からの要望だったのですが、環境活動が活発になるにつれ、どことなく覇気の無かった水俣市が明るく爽やかな雰囲気になりました。この事例から、環境問題に取り組むと人が元気になると知りました。

 環境保全活動のISO14001に取り組む時も、支配人たちが反発しないか心配がありましたが、一生懸命取り組んでくれまして、地元で環境賞をいただいたり、自発的にプルトップを集めて車いすを寄付したりと、むしろ社員のモチベーションアップに繋がりました。お客様をはじめ、人の喜びが自分の喜びにならなければ一流のサービスマンとは言えません。



感性と人間力のある人間が運のいい人

問 「自律型感動人間」と「話し込み」はスーパーホテルの人づくりの基本ですよね。

山本 これらは事業に失敗した経験から学んだことです。皆が天分を発揮して幸せになっていくには、運のいい人になってもらうことが重要。運のいい人とは、感性が磨かれた人間力のある人です。バブル崩壊を経て立ち上がってきたのは、ハングリー精神のある人ではありませんでしたが、感謝と感動力のある人でした。自分が幸せになれば家族も幸せになります。

問 2016年の展望を教えてください。

山本 海外事業を成功させ、日本のおもてなしを海外で実現していきたい。派手な仕事ではありませんが、現地のスタッフの方に「おもてなしとは自分たちにとっても気持ちの良いことなのだ」という理念まで継承していきます。今年は東京・銀座にスーパーホテルを作りますので、フラッグ店に仕上げていきます。

 他には地方創生で、島根県江津市に天然温泉のあるスーパーホテルができました。ここを拠点に体験観光や地域の特産品を売ります。これは、愛媛県八幡浜市でスーパーホテルが道の駅とセットで地方創生に成功したケースを知り、江津市長から口説かれました。八幡浜市は海産物、とくに雑魚天やかまぼこが有名。また海を挟んで九州側に別府があることで、関サバ関アジが安く美味しく食べられます。

 なんと、道の駅「八幡浜みなっと」には年間100万人が訪れるようになりました。他にも案件をいただいており、今後もできるだけ地方創生をお手伝いしていきたいですね。



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