トピックス -企業家倶楽部

2016年02月04日

ハワイや西アフリカに進出 新たな可能性にチャレンジ/ホットランド代表取締役 佐瀬守男

企業家倶楽部2016年1/2月号 核心インタビュー 


モーリタニアでタコ壺漁を奨励する佐瀬代表「築地銀だこ」で知られるホットランドの動きが活発だ。2015年5月にはアメリカで人気のコーヒービーン&ティーリーフを日本で展開、秋にはハワイに新業態「サムライグリル」をオープン。西アフリカのモーリタニアにはタコの加工工場も新設した。2015年は種まきの年と位置づけ、さまざまな事業に東奔西走する佐瀬守男代表に、その本音を聞いた。(聞き手: 本誌副編集長 三浦貴保)



新業態サムライグリルをオープン

問 先般、ハワイに進出されたとのことですが、どんな店を展開しているのですか。

佐瀬 もともと石巻のホット横丁終了後に、使用したトレーラーハウスごとハワイに持ち込もうと考えていましたが、法規制で断念しました。ハワイは家賃が高く、通常だと出店に1~2億円かかる。そこで駐車場や空き地を活用し、フードトラックを並べた横丁を作ろうと考えたのです。6月に現地に合弁会社を設立。まずはワイキキの超一等地に8台並べてスタートしました。2カ所目はアラモアナで、12台のスペースを確保、2016年1月下旬にオープン予定です。ワイキキは、現地の人が小さく運営していたものを買収・リニューアルし、9月にオープンしました。

問 たこ焼を売っているのですか。

佐瀬 Samurai Grill(サムライグリル)という新業態をつくり、サムライグリルライスやニンジャロールを出しています。日本からラーメンや天ぷらなどのテナントも入れています。

問 野外フードコートのようなものですね。

佐瀬 Pau Hana「パウハナ」という名前ですが、これはハワイ語で「ちょい飲み」という意味で、ちょい飲み横丁というイメージが石巻と同じです。外食で世界に進出したい人のチャレンジの場を作ろうと、募集しています。

問 面白い企画ですね。経営ノウハウまで指導するのですか。

佐瀬 自分が一番やりたかったことで、何回か募集したら世界から集まってきました。経営指導は現地の人間が行っていて、住まいも準備し、普通ならば数千万?1億円かかるところが、約300万円で出店できるので、企業によっては新メニューを試してみたいと好評です。

問 ハワイは物価が高いので観光客にもありがたいですね。一番人気のメニューは何でしょう。

佐瀬 ワイキキは観光客が多いので、ガーリックシュリンプやフリフリチキン、ロコモコといったハワイならではのメニューがよく売れます。アラモアナだと現地の方が多いので、天ぷらや寿司など和食が売れるのではないでしょうか。 
 

問 たこ焼とは関係ないメニューですね。

佐瀬 せっかく会社を作ったので、違うスタイルを試してみようと思いました。将来的にはこうしたスモールパッケージの集合体で、アメリカ本土にも出店したいと考えています。

問 小規模のパウハナを様々なところに展開するということですか。

佐瀬 元々は、ストリートフードと日本のB級グルメを対決させる会社を作りたいと考えていて、たどり着いたのがハワイです。世界中のソウルフードや料理を食べられた方が面白いのではないかと考えました。ストリートフードスタジアムのようなイメージですね。英語圏なので、英語を覚えられるし、ドルでの商売という概念が理解できるので、世界展開の足がかりになる。社員研修の一環として出店の申込みもあります。



現場は血が騒ぐ

問 8店舗あると皆でシェアできるので楽しいですよね。

佐瀬 これがハワイ流で、私の夢でした。日本にいると現場に入る機会が減ってきますが、ハワイでは朝から晩まで店舗に入って調理をし、メニューを考え、仕入れもする。血が騒ぐというか、何より楽しい。このサムライグリルが成功すれば、アメリカ本土やヨーロッパにも進出できるし、日本にも逆輸入できるかもしれません。

問 日本でもB級グルメは人気ですからね。若者支援という意味でも、素晴らしい企画ですね。

佐瀬 やる気のある人たちの事業を支援したり、繋げたり出来ますからね。ハワイの風物詩というか、ここでお酒を飲みながら世界のソウルフードを食べることが旅行の目的になるようにしたい。

問 様々な国から出店要請が来るのでは。

佐瀬 寒い国なら倉庫でも可能ですね。一番やりたかったのが、アメリカの大リーグ球場のように、イベントやスポーツと組み合わせて外食を展開することです。

問 お客様がいるところに寄っていくという、発想の転換ですね。

佐瀬 僕らの商売は元々お祭りビジネスですからね。必要に応じたところに必要に応じたものを持って行く。これからはそういう商売になるのではないかと思います。


現場は血が騒ぐ

西アフリカにタコの加工場建設

問 モーリタニアのタコ事業はどうですか。

佐瀬 15年10月に合弁会社を設立、獲ったタコをその場で加工する工場が立ち上がりました。これまでは獲ったタコをそのまま冷凍し、加工する国に送っていたので、付加価値に繋がらない。そこで工場を作り、獲るだけではなく加工して付加価値を付ける。それによって雇用が生まれます。

問 どんな工場になりますか。  

佐瀬 広さは300坪ぐらいです。獲ったタコを厳選し、下処理をした上で、手作業でカット。冷凍、梱包して日本に送る。モーリタニアにはタコが世界一獲れる漁場があるのですが、トロール船で根こそぎ獲ると、生態系が崩れてタコがいなくなってしまいます。そこで私たちは、小舟に乗ってたこ壺で1匹ずつ獲るというやり方を奨励。今回、たこ釣り船を5隻買いましたが、これを100隻まで増やす計画です。

問 タコの事業も夢が広がりますね。

佐瀬 モーリタニアのタコはびっくりするくらい旨い。タコの概念が変わりますよ。私たちは1匹ずつ大事に獲ってその場で加工しますので、弾力、肉質が全然違います。現地の人はタコを食べませんが、工場のメンバーをたこ焼パーティーに招待し、実際に食べてもらいました。すると皆、美味しいと食べてくれた。皆さんのタコが、日本人の好きなたこ焼を支えていると伝えました。長期的に考えると、価格より大きいメリットがあります。

問 タコに対する愛情を感じます。どうやってここまで進めてこられたのですか。

佐瀬 私たちだけでは出来ませんでしたが、現地に精通する営業マンと出会って、一緒に取り組むこととなりました。その彼の紹介で出会ったヤハ氏が素晴らしい方で、現地法人の社長を任せています。タコは年2回しか獲れませんが、エビ、イカ、タイ、スズキなど、数百種類もの魚が獲れる。将来はフランスでたこ焼屋を展開したり、日本でシーフードレストランを営んだり、色んなことができるでしょう。

問 一緒にやろうと思える人との出会いも素晴らしいですね。
 

佐瀬 ハワイもモーリタニアも、自分で現地に行って、色んな人と出会って、どう夢を広げていくか考える。そして出会った人を信じます。

問 佐瀬代表は性善説ですね。人間は、信じると良い人が集まってくるような気がします。

佐瀬 上場して1年経ちますが、一番良かったのは沢山の良い人たちに世界中で出会えて、ビジネスが広がり、その中から任せられる人材が出てきたことです。

問 東証一部に指定替えし、信用度も増して、代表1人じゃ足りませんね。

佐瀬 正直言って手一杯です。

問 日本での展開はいかがですか。

佐瀬 本業の築地銀だこは売上げも安定、出店数も増えています。ハイボール酒場も絶好調。モーリタニアのタコを押さえたので、あとは養殖で奇跡が起こってくれれば良いですね。

問 世界初のタコの養殖はどうなっていますか。

佐瀬 熊本県の上天草に移して実施していますが、今までよりも成長度合いが早いという段階で、春までに結果が出ればと考えています。

問 コーヒー事業はどうでしょう。

佐瀬 7店舗目が愛知県常滑にオープンしました。正直、コーヒー事業は試行錯誤の段階です。ただ、お客様からの評判が非常に良いので、あとはどう事業として利益が出る体制を作れるかですね。

 本当にやりたいモデルは、日本橋のような大きい店ではなくて、もう少し小さい銀だこスタイルのようなお店です。それを今年作り上げたい。これまでの店は全て直営で、コーヒー事業としてのフラッグシップが立ったという状況です。

問 今はイオン側が場所を提供しているということですね。今年から小さいモデルがFCで出てくると、数も増え、知名度も上がりますね。



鎧塚俊彦氏とスイーツの会社を設立

佐瀬 15年11月に世界的パティシエの鎧塚俊彦さんと合弁会社を設立しました。会社名は株式会社1016(イチゼロイチロク)。これは僕と鎧塚さんの誕生日です。ここではコーヒービーンで評判の良かったキッシュやカップケーキを軸に、彼の才能を存分に活かして世界的に展開しようと考えています。今年1月にはキッシュ・ヨロイヅカというキッシュ専門店を出す予定です。コーヒービーンでは「鎧塚さん監修のこういうスイーツと、こういうコーヒー・紅茶を売る」ということを明確に打ち出し、店数をたくさん出店、ブランド化を図りたいですね。

問 フード類が美味しいことは大事ですから、いいですね。今年の出店計画はいかがですか。

佐瀬 年間20店くらい出します。規模を小さくし、1016監修のスイーツも入れていきます。

問 コーヒー事業、ハワイでの新規事業、モーリタニアでのタコ事業と展開がすごいですね。

佐瀬 その他にも色々あります。今度はタイに、ASEAN市場全体を狙った合弁会社を作ります。この市場ではたこ焼が売れるので、そのための会社もマレーシアに作る。次はアメリカにも進出しようかと考えています。

問 2016年はどんな年になりそうですか。

佐瀬 15年に撒ききれなかった種撒きが続く年、そして撒いた種に水をやる年になると思います。来年くらいから刈り取るイメージですね。銀だこについては、15年10月末時点で国内440店舗ですが、さらに1割程度増やします。

問 これだけ展開するに当たっての佐瀬代表のモットーをお聞かせ下さい。

佐瀬 その仕事に100%集中するということです。ハワイの時はハワイの話しかしない。アフリカに行った時はアフリカのことしか考えない。震災の時には石巻に行きましたが、石巻のことしか考えなかった。その時に本社のことや、他との利害関係を考えたら何も出来ません。それ以外のことはシャットアウトし、その会社のことだけを考えてやり抜きます。



Profile

佐瀬守男(させ・もりお)


1962年群馬県生まれ。東京YMCA 国際ホテル専門学校卒。91年焼きそばとおむすびの店「ホットランド」を創業、97年からたこ焼店「築地銀だこ」を全国展開。アジアにも進出。2011年東日本大震災時には被災地石巻へ本社移転、支援を強化。たい焼、アイスクリームに参入。15年にはコーヒー事業にも進出。14年マザーズに上場、15年に東証一部に指定替え。



コメントをシェア

骨太対談
 
コンテンツメニュー
企業家賞
企業家倶楽部企業家大学
Page Top