トピックス -企業家倶楽部

2016年02月17日

日本一のデジタルデータ復旧技術/デジタルデータソリューション代表取締役 熊谷聖司

企業家倶楽部2016年1/2月号 スタートアップベンチャー


(文中敬称略)



   昨今のパソコンやブルーレイレコーダーには決まってハードディスクやSSD(ソリッド・ステート・ドライブ)などの大容量情報保存機器が搭載されている。仕事の資料や旅行の写真、録画した映画など人によって保存している情報は様々だ。だが機械も消耗品である。ある日突然壊れて内部の情報にアクセスできなくなってしまうことが起こり得る。失った情報は帰ってこないと諦めてしまう人も多いだろう。しかし諦めるなかれ。そんなハードディスクの故障に救済の手を差し出す企業が存在する。熊谷聖司率いるデジタルデータソリューションだ。

 東京・築地に事務所を構えるこの会社は、ワンフロア体制の中で迅速かつ精巧な修理作業を実現している。毎日数十件、月に新規で200件の依頼が舞い込むこのオフィス、クライアントは大学施設や政府関係者、企業や個人など幅広い。皆が皆、迅速な復旧を望んで足を運ぶ。他社のデータ復旧作業は一つ一つの作業工程が別所に配置されていることが多く、修理の過程や代替え部品の捜索などで作業の完了までに3日から数週間を要する膨大な時間がかかってしまう。しかし、ここでは、すべての工程をワンフロアの中で行うことで最短で15分、長くとも48時間以内に殆どの依頼を終えることができる。さらにその復旧率は95.1%と圧倒的だ。



塵ひとつ許さない復旧作業

 ハードディスクの故障は大きく分けて二種類ある。「物理障害」と呼ばれる、衝撃や動作の過程で物理的に壊れてしまっている状態と「論理障害」と呼ばれる、ハードディスクのシステムが壊れてしまっている状態だ。人間でいう外科と内科のようなものといえよう。デジタルデータソリューションの社内には、これらの故障の種類に合わせ「物理復旧エリア」と「論理復旧エリア」と呼ばれる2種類のエリアが設けられており、ここで持ち込まれた機器の本格的な復旧作業が行われる。

 論理復旧エリアでは実績とノウハウで構築された独自開発の復旧技術をもとに億を超える桁のシステムコードを専門のエンジニアによる目で直に確認し不調を発見・修繕する作業が行われる。また、実際にハードディスクの中身を空けて作業する物理復旧エリアでは、人間の手術と同じような無菌のクリーンルーム内で復旧作業が行われる。本来ハードディスク内部は完全密閉された空間であり、繊細でデリケートな構造だ。タバコの煙の微粒子すら侵入を許してはならない。そのため、社内に設置されたクリーンルームは「クラス100」と呼ばれる1立方フィートの中に0.5μm径の粒子が100個以下という非常に厳しいレベルの清浄度を誇る空間を構築している。まさにマシーンの手術室だ。

 国内の他業者では社内に分解用のクリーンルームを持たないため海外の施設に郵送することもあり、実際の作業まで時間を有する。しかしデジタルデータソリューションでは持ち込まれた機器をそのままクリーンルームに入れて作業に移行できるため迅速な作業開始が可能となっている。また、このクリーンルームは持ち込みの難しい大規模サーバーを持つクライアントにも対応し出張用の現場構築が可能な簡易版も存在するという。スタッフが現場に出張後、約1時間という短時間でクリーンルームを構築、作業を開始できる。

 修理を依頼してくるクライアントが持ち込むハードディスクはその大きさやメーカーなど多種多様に及ぶ。部品に破損のみられる物理障害の場合、代替えとなるパーツを用意しなければならない。通常の業者の場合、ここで海外などから部品を発注してもらうため数日の作業ロスが生じるが、デジタルデータソリューションでは実に8000種類の移植用ドナーハードディスクが社内にストックされている。そのためいかなる種類の破損個所であっても対応するドナーを用意し即座に移植することができる。また、機器のさらなる多様化に備え常にドナーの増量に力を入れており、今日もその備蓄数は増加の一途をたどるというのだから驚きだ。



強みはプレミアムゾーン

「我々だけが直せる技術領域がある。それが最大の強みだ」と熊谷は声を大にして言う。ハードディスクの障害にはその復旧難易度に応じてEからSまでのレベルが存在する。EからCまでは一般技術で対応できるレベルだが、BからSとなると一般の業者は匙を投げる。デジタルデータソリューションしか介入できないプレミアムゾーンだ。他社の「できない」に対して堂々と「できます」の言葉をぶつけていく。サービス開始以来9万件に迫る実績をすべてデータベース化、常に研究開発や最新技術を導入し成長を続ける徹底力が95.1%という高い復旧率を生み出しクライアントの信頼を勝ち得ている。

 今でこそ他社を圧倒する復旧技術を持つデジタルデータソリューションだが「その始まりは些細なトラブルだった」と熊谷は語る。ある日社内の重要な資料を保存しているハードドライブが故障を起こし、修理業者に直してもらおうとした。しかし帰ってきた答えは「できません」の一言。納得する説明をしてもらおうにも技術者にしかわからない専門用語を羅列するばかりで一向に話が進まなかった。「これではいつまで経っても埒が明かない」。業を煮やした熊谷は家電量販店で市販の復旧ソフトを購入、自分たちの手で復旧を試みた。結果はまさかの成功、3~4割のデータが無事戻ってきた。業者が「できない」の一言で片づけた修理を当時、素人だった社内のメンバーで達成したのだ。その後「俺らでもできるならやってみよう」の一言で事業としてのスタートを開始。今日まで右肩上がりの利益を上げてきた。

「会社の一番の財産は人だ」と語る熊谷。共に成長する意欲のある人材を世界中からかき集め「常に誠実であれ」と説く。安い案件、困難な案件だからといって投げ出さず「どんな状態でも必ず直す」という誠意をもって仕事に励む姿勢が大切だと社員には厳しく言い聞かせている。



誠実さと技術で世界一を目指す

 熊谷は「世界シェアナンバーワンのデジタルデータのソリューションカンパニーを作りたい」と想いを語る。国内では15年10月には大阪支店を設立、名古屋に出店も視野に入れる。地方からの依頼であっても待たせないスピード対応が可能となった。世界進出は初めに香港と台湾に拠点を構え、ゆくゆくはアジア全域、ヨーロッパそして最後にはアメリカに挑戦するというのだ。そのためには世界最高水準の技術を追求し変化する環境に常に対応していく。ゆくゆくは「データフォレンジック」と呼ばれる犯罪捜査や法的紛争などで、コンピュータなどの電子機器に残る記録を収集・分析し、その法的な証拠性を明らかにするデジタル鑑定の領域にも参入したいとその意欲は尽きることをしらない。世間の「できない」の領域に対して「できる」を武器に切り込んでいく熊谷率いるデジタルデータソリューション。その船は今、世界に向けてオールを漕ぎだしたばかりだ。


【企業概要】

社 名 ● デジタルデータソリューション株式会社
本 社 ● 東京都中央区築地3-11-6 築地スクエアビル7F
設 立 ● 平成11年6月14日
資本金 ● 7000万円



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