トピックス -企業家倶楽部

2011年03月09日

嗜好の多様性に対応 ブロガー試食会で口コミを活用/理研ビタミン リケンのノンオイル セレクティ こく仕立て青じそ

企業家倶楽部2011年4月号 ヒットメイキングの裏側


ノンオイルドレッシングの老舗である理研ビタミンが1989年の発売以来22年間に渡り、さっぱりとした爽やかさでトップブランドを守り続けている「青じそ」。こくとまろやかさを増したセレクティシリーズに満を持して看板ブランドの青じそが登場すると、発売から3カ月で50万本を出荷する人気商品に。ブロガーを集め試食会を開催するなどネットを活用、滑り出しは順調だ。




 今から22年前の1989年、生海草サラダの添付調味料として販売された青じそドレッシング。あまりの美味しさから、別売りを望む消費者の声から瓶詰めでの販売がスタートする。発売開始から6カ月でトップシェアに躍り出てから現在まで、ノンオイルドレッシングの市場を開拓してきた。発売から20年が過ぎ、市場を活性化するため、味に幅を出す意味で新シリーズを展開している。

 レギュラーシリーズに比べ、まるで油を使っているようなクリーミー感やこくを持たせたのがセレクティシリーズの特徴だ。先行して発売された胡麻、こく仕たて和風、シーザーサラダも好評で2009年度のセレクティシリーズの売上げは前年比140%を達成し、新しい商品の開発が待たれていた。


 通常、商品発売のサイクルは半年間で、春と秋に新商品が発表される。今回の「セレクティ こく仕立て青じそ 200ミリリットル 263円(税込み)  」は2010年秋向けの商品として、8月20日に発売されると、僅か3カ月で50万本を出荷するヒットになった。


「酸味が苦手なお子さんや若い男性にも使ってもらえるマイルドな味になったことが支持された要因ではないでしょうか」。理研ビタミン食品開発部商品企画リーダーの池田航氏は話す。

 同社のアンケート結果によると50代、60代の方は酸味が好きだが、最近の若い男性や子供たちは酸味が強いものは苦手で、マイルド志向になっている。味の好みが変化しているそうだ。



油を使わずにこくをだす

 看板ブランドの青じそを名乗るなら、その名に恥じないような味を作り出す使命があった。そのためには、こくと青じその爽やかさの両立の難しさを解決しなければならなかった。

「弊社はノンオイルドレッシングの市場を開拓してきました。開発部門はおいしさと健康感を兼ね備えた商品開発に力を入れている。新しい市場を創造するノンオイルドレッシングを作ることがミッションです」と池田氏は言う。

 油が使えないという制約の中、どんな素材をどのようなバランスで配合し、味にこくをだすかが開発チームの一番のテーマだった。魚介や畜肉の天然系のエキス抽出にかけては得意とするところ。いろいろな組合せの試行錯誤の中、ホタテエキスやチキンエキス、さらに玉ねぎに熱を入れることで甘みを加え、爽やかな青じその酸味を残しながら、こくを出すという課題を解決した。油がない分、素材の香りが立つという副産物もあった。

 胡麻やシーザーサラダなど、こってり感のあるドレッシングに人気があるが、カロリーが気になると言う人がターゲットになる。一回分15 グラムで、わずか16カロリーに抑えたのが自慢だ。バランスの良い味が完成し、最終決定である社長試食に臨んだ。

「開発部門は、ダイヤル式の固定電話からプッシュホンに進化したくらいでは満足してはいけない。新しく携帯電話の市場を作り出すくらいの創造性がなければいけない」。昨年と同じ事をしていては、前年対比95%に売上げが下がってしまう昨今、定番商品を持っていることで社員は油断してしまう恐れがある。そうならないようにトップブランドになった現在でも開発部門にはいい緊張感が漂う。


油を使わずにこくをだす

ネットの口コミ活用

 こく仕立て青じそは、発売初年度で200万本の販売を見込む。1年後には300万本まで増やし、主力商品に育てたい意向だ。

 レギュラーの青じそは、サラダだけでなく海草や豆腐などにかけ、醤油やぽん酢代わりに使われることが多い。一方、こく仕立て青じそは、玉ねぎの具材感を出し、肉料理などの食材によく絡むようにとろみがつけてある。酸味を抑え、青じその特徴である爽やかさと香りは残し、これまで馴染みのなかった若い世代にも青じそを広めるのが狙いだ。メーカーは商品を製造するだけでは販売に繋がらず、メニューの提案など、使い方を提案しするなど売り方の工夫もしている。

 今年に入り、これまでにない試みも始まっている。それはネットの活用だ。日本最大の料理レシピサイトのクックパッドと青じそを使ったメニューを大募集するコンテストを企画し実施した結果、1000件に迫るメニューが寄せられた。クックパッドは月間896万人が利用し、20代、30代の女性の3人に1人が利用していると言われる。酸味を抑えたマイルドな味を好むターゲットとネットをよく利用する層は年齢的に一致する。低カロリーの安心感からサラダのみでなく、チキンサラダや餃子のたれの代わり、魚料理など、どんな食材にも合う調味料として親しまれている。「我が家ではこんな使い方をしています」といったアイディアが多く寄せられる。ユーザーと交流することで、新しい使い方を発見する機会になる。

 また、主婦層に人気のあるブロガーを招待し、試食会を開いた。会場では、こく仕立て青じそを使った肉料理やサラダを試食してもらい、ブロガー同士の交流やネットでの口コミを促した。今や知名度を上げるためにネットを介した口コミ効果は無視できない存在だ。こういった取組みを継続していく。

 さらに、テレビCMも投入した。店舗の試食販売員から子供の評判が良いと聞き、今回のターゲットである子供が喜ぶ姿を前面に出したCMを採用した。また、今年の夏は猛暑の影響でキャベツやレタスといった葉ものが高騰し、代替品として根菜がサラダに使われた。とろみがあり、具材によく絡むセレクティシリーズは温野菜と相性がよい。



こくと爽やかさの2つの青じそ

 多様性の現代は顧客のニーズが変わりやすく、トレンドを掴みにくいと言われる。市場に数多くの商品が溢れ、場面に応じて商品を使い分ける時代は、十人十色ではなく、一人十色とまで言われる。

「冷蔵庫には常に複数のドレッシングを常備してもらい、食べる人の気分や料理に合わせてさっぱり系かこくがあるタイプを選んでもらうようにしたい。そのために青じそブランドを前面に出した販売促進活動をしていきたい」

 豆腐サラダには、さっぱりしたレギュラータイプの青じそを、肉料理やチーズを使った料理にはセレクティこく仕立ての青じそといった使い分けを提案し、2つの青じその相乗効果が狙いだ。「共働きの家庭では調理に手間が掛からないように必ずドレッシングを3つから4つ用意しています。その方が味に飽きないし、子供たちも野菜をよく食べてくれるので助かります」(40代主婦)

 子供から高齢者まで幅広い層にヘルシーなノンオイルドレッシングは普及している。今後はメニュー提案で用途拡大を図ることが課題だ。4月から健康計測メーカー大手のタニタとコラボダイエットメニューを開発する。生活者の健康を支援するという共通の理念を持つ両者がタッグを組むのが狙いだ。ノンオイルドレッシングを活用したヘルシーメニューを共同開発し、メニューリーフレットを配布する。セレクティシリーズ専用のラインで生産体制を整え、ノンオイルドレッシングのトップメーカーとして、多様化する消費者のニーズに応える商品を揃え、市場規模の拡大を図っていく。



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