トピックス -企業家倶楽部

2016年03月18日

和のファーストフードで世界中の人を笑顔に/ホットランド 佐瀬守男 氏 ×リネットジャパン 黒田武志 氏 キャスター:木村久美

企業家倶楽部2016年4月号 WBC 熱血企業家!


肩書き、プロフィール、会社概要等は掲載当時のものです。

Profile


佐瀬守男(させ・もりお)

1962年群馬県生まれ。東京YMCA国際ホテル専門学校卒。91年焼きそばとおむすびの店「ホットランド」を創業、97 年からたこ焼店「築地銀だこ」を全国展開。アジアにも進出。2011年東日本大震災の時には被災地石巻へ本社移転、支援を強化。たい焼、アイスクリーム事業にも進出。14年マザーズに上場、15 年に東証一部に指定替え。

黒田武志(くろだ・たけし)

1965年大阪府生まれ。大阪市立大学商学部卒業。89 年トヨタ自動車入社。98 年トヨタ自動車を退社し、ブックオフコーポレーションの企業家支援制度の第1号としてブックオフウェーブを設立。代表取締役社長に就任した。00 年イーブックオフ(現ネットオフ)を設立。日本最大級のオンライン中古書店「イーブックオフ」を開設した。13年3月リネットジャパンを設立し、代表取締役社長に就任。14年10月リネットジャパングループに社名変更。



キャスター:木村久美(フリーアナウンサークラブ)



「ホッとするもの」を大事に

黒田 築地銀だこ、銀のあん、コールド・ストーン・クリーマリー(以下コールド・ストーン)など、幅広く事業を展開されていますね。

佐瀬 運営する店舗で販売するのはたこ焼、たい焼、アイス、コーヒーなど。どれも主食ではありませんが、あるとホッとする点は共通しています。そのような「ホッとする食べ物を大切にしたい」というのが創業当時からの想いです。

黒田 築地銀だこの創業秘話をお聞かせ下さい。

佐瀬 実は最初、私は焼きそば屋を開業しました。アメリカ発のファーストフードが私の住む町にも進出し、アメリカ文化が身近になり始めた頃のことです。

 アメリカの食文化に馴染む中、「昔ながらの庶民的な食べ物を、和のファーストフードとして世界に広め、後世に残したい」という想いが私の中に芽生えました。和食は寿司や懐石料理が有名で、海外だと高級なイメージがあります。しかし、日本人は普段からそのようなものを食べているわけではありません。たこ焼など、日本人が日常的に食べている日本食も世界に発信したいと考えたのです。

 そこで、私が焼きそばを好きだったこともあり、「これをファーストフードとして世界に展開したら、日本の文化を伝えられるのではないか」と考え、焼きそば屋を開きました。

黒田 どのような経緯で焼きそば屋からたこ焼屋への移行を決めたのですか。

佐瀬 焼きそば屋時代、メニューには焼きそば以外に、たこ焼やお好み焼きなど、様々な手軽な和食も並べていました。その中で、たこ焼が1番売りやすいことに気がついたのです。子どもからお年寄りまで幅広い客層に、時間に関係なく売れる。そこにビジネスの可能性を見出し、私はたこ焼一本に絞ることを決めました。



惚れこんだカフェ日本初出店

黒田 築地銀だこで有名なホットランドがコールド・ストーンやコーヒービーン&ティーリーフなどの異業種の店舗を経営する狙いは何ですか。

佐瀬 元々、コールド・ストーンのアイス事業はたい焼事業不振の打開策として始めました。今でこそ、クロワッサンたい焼がヒットして、たい焼も主力商品としての地位を築いています。しかし、それまでは冬にしか売れない商品で、厳しい経営を強いられていました。そんな時に偶然出会ったのが、コールド・ストーン・クリーマリーです。彼らの販売するアイスはたい焼と季節が真逆。夏は売上が好調で、冬は落ち込みます。そこで、夏はアイス、冬はたい焼で弱点を補完しあうことにしました。

 カフェ事業に着手したのはコーヒービーン&ティーリーフのコーヒーに惚れ込んだからです。10年前、アメリカでこの店でコーヒーを飲み「こんなにおいしいコーヒーを飲んだことがない!今までのものと全然違う!」と感動しました。なんとかこのコーヒーを日本に持ってきたいと思い続け、10年の歳月を経てようやく日本上陸という悲願が叶いました。

黒田 チェーン店で各店ごとにプロのバリスタを必ず配置するのは珍しいですよね。大変なことも多いと思います。それでもバリスタを置くことにこだわりを感じます。

佐瀬 天気や湿度に応じてブレンドを変えることができるバリスタがいる。それがコーヒービーン最大の特徴です。バリスタの教育だけで一年を費やしました。たこ焼やたい焼事業にも共通することですが、職人に育てていくのが我が社のこだわりです。



川上から川下までこだわる

黒田 築地銀だこのたこ焼は本当においしいですよね。こだわっていることは何ですか。

佐瀬 こだわりは、銀だこならではの食感を生み出す職人の技術と、大きくて柔らかいまま食べられるタコ。タコはプリッと噛み切れて、外はパリッと、中はトロッとするたこ焼を生み出すために工夫しています。特にタコの難点、加熱すると硬くなり噛み切れなくなることを克服するのは難しかったです。

黒田 タコの養殖や機械の製造まで御社で行っているということですが、なぜそこまで踏み込まれようと思ったのですか。

佐瀬 タコは値段の変動が激しく、価格に経営状態が左右されていました。そのため、タコを安定的に供給できるようにすることが私たちの最大の課題だったのです。出された解決方法は2つ。タコを穫る場所から考え直す案と、タコを養殖する案です。タコの養殖は世界に前例がなかったのですが、「初めてを自分たちでやってみよう」ということで養殖に着手しました。

黒田 世界初というのはすごいですね。

佐瀬 今は熊本県上天草市と宮城県石巻市の2カ所で養殖を行っています。しかし、まだハードルはあります。川上をしっかりと押さえて供給体制を整えれば、それが参入障壁となり、競合が増えても安定した経営が可能だと考えています。川上から川下まで行うのが私たちのビジネスです。


川上から川下までこだわる

会社よりもお客の笑顔が大事

黒田 石巻と言えば、東日本大震災の時、石巻に本社を移されて被災地支援に取り組まれていましたね。

佐瀬 私は震災が起きてすぐに石巻に飛んで行きました。そして、津波の残した惨状に言葉を失い、たった一度のボランティアで満足して帰ってはいけないとの思いに突き動かされ、温かい食べ物を届けて被災地の皆さんを笑顔にするために「ホット横丁」を設立しました。それを機に長期的な被災地支援に取り組めるよう、本社も石巻に移転したのです。

 そのような形で私が被災地支援に力を入れている時、実は震災によって大きなダメージを受けて弊社自体も苦しい状態でした。東北地方の約100店舗が閉店を迫られ、その上、漁獲量の減少でタコの値段が高騰していたのです。それでも、お客さんは店を開ければ来てくれます。タコさえ届けば店は開けられるので、とにかくタコの供給を重要視し、他人任せではだめだと思い、仕入から何から全ての行程を見直しました。「タコが獲れないなら、世界中のどこかタコが獲れる場所へ自分たちが穫りに行こう!ショッピングモールが開かないなら外で売ろう!店は車でも、テントでも何でもいい」。自分の店のことよりも被災者に何かしたいという気持ちで動きました。実際、当時は30店舗くらいテントで運営していました。

 大変だったからこそ、社員が1つになることができましたし、それが社員の成長に繋がったと考えています。

黒田 ピンチをチャンスに変えて、逆に会社が強くなったんですね。

佐瀬 その結果、株式上場できたのだと思います。

黒田 震災で経営が大変な時に本社を被災地に移す、その決断力と行動力には脱帽です。

佐瀬 私は人が喜びそうなことを考えることが好きで、朝から晩まで、それこそ寝ているときですら考えています。そして、アイデアが浮かぶとすぐに実行したくなります。子供の頃からそうでした。アイデアを思いついたら誰かに語る。人に話すと夢が夢を生みだし大きくなって、最終的にやるしかないというところまで話は進みます。そうなると、せっかちな私は「実行するなら一日も早く!」と思ってしまうのです。

黒田 会社の強みは行動力ですか。

佐瀬 ホットランドの強みは発想力、行動力、スピード感です。私は遅いのは嫌で、現状に満足するのも嫌。私の性格のこの3つが会社の強みになりました。



食を通じて世界を繋ぐ

黒田 海外には何店舗、出店されていますか。

佐瀬 今は50店舗くらいで、特にASEANエリアに多いです。そこでクロワッサンたい焼は大ブームになっています。

黒田 2015年のアントレプレナー日本代表として、モナコの世界大会にも出場されましたが、今後の海外展開のヒントになりましたか。

佐瀬 各国代表のオーラに圧倒されましたが、世界の素晴らしい経営者たちと関わるのは刺激的な体験でした。私たちはこのまま何もしないと、世界で戦えないことを思い知らされました。

 和食と聞いて誰もが「知ってる!大好き!」と言う。「じゃあ、たこ焼は知っている?」と尋ねると「知らない。食べたことがない」と言われる。そう言う人にたこ焼を食べてもらいたいです。「日本らしさや日本人が大切にしているものを世界中に広めたい」という夢に向かって、試行錯誤を続けていきます。

黒田 今後の夢を一言でお願いします。

佐瀬 世界中に散らばっている信頼出来る人たちと共に、良いサービスを発信していきます。そして、いつの日か世界中の人が笑って、たこ焼を食べられる社会にしたいです。



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