トピックス -企業家倶楽部

2016年04月19日

日本でも歯の美白が文化・習慣になる/シロク代表 松田芳久

企業家倶楽部2016年4月号 注目企業

セルフホワイトニングを新習慣に


セルフホワイトニングを新習慣に

セルフホワイトニングを新習慣に

 最新の美容情報に敏感な女性たちの間で今、話題の店があるのをご存知だろうか。2015年8月、東京・J R吉祥寺駅北口改札から徒歩2分の好立地に、セルフ式ホワイトニング専門店「SiroQ」(シロク)第1号店がオープン。美意識の高い女性たちがこぞって来店している。理由はいたってシンプル。人気の歯のホワイトニングが10分1000円からと気軽に試せるからだ。その安さと早さが受けてリピーターになる人も多い。月間来店客数は約5000人で、その8割は女性客である。

 これまでも歯を美白するホワイトニングは歯科クリニックなどで提供されてきた。しかし、30分から60分で料金は5000円から1万円以上と高額であり、敷居が高く二の足を踏む人が多かった。そこに「ビジネスチャンスあり!」と目を付けたシロク社長の松田芳久が、「ホワイトニングを欧米並みに手軽で誰でも出来る習慣にしたい」と10年前から構想し、独自ジェルを開発、満を持して事業化に漕ぎ着けた。

 早速、流行りのセルフホワイトニングとは一体どんなものか体験した。店に入るとオープンスペースに一人用に小分けされた席が10席ほどある。仕切りがあるため隣の人はさほど気にならない。初回来店時のみスタッフから手順の説明がある。そもそもなぜ歯が汚れるのか、そのメカニズムを歯のサンプルとコーヒーを使ってデモを行う。歯には目に見えない溝や穴があり、そこにコーヒーなどの色素が入り込み汚れの原因となるそうだ。その後、なぜ10分で歯が白くなるのか3つのポイントと工程を説明する。その間約10分と手際がいい。



セルフ式で簡単お手軽

 実際にホワイトニングに入る前に、現在の歯の色の写真を撮影する。席に移動し、各テーブルに設置されたタブレット端末の動画を見ながら、始めにスポンジ状のキューブで歯を磨く。このキューブは微小のナノ素材で出来ており、歯ブラシの毛先よりも細く、歯の表面の溝に付いた汚れを吸着して取り除く。歯のエナメル質より柔らかいため削ってしまう心配はない。

 次に独自開発されたジェルを歯の表面に塗っていく。成分はポリリン酸と酸化チタン、プラチナで、それぞれ熱と光を触媒にし、歯の表面に付着した汚れを浮き上がらせる働きがある。ジェルを塗ったら、LED照射機で2分間光を当てる。この工程を2度繰り返し、汚れが落ちたら、白い歯をキープするためにコーティングをして終了となる。最後にホワイトニング後の歯の写真を撮り、どの位白くなったか、その場で比較できる。

 このサービスの一番の特徴は、歯科医はおらず、全ての工程を客自身が行うところにある。10分1000円と価格を安く抑えることが出来る理由はそこにある。2回目以降は、説明不要でローコスト運営が可能になった。


セルフ式で簡単お手軽

10分1000円で認知度向上狙う

 今から約10年前、松田がアメリカ在住の友人を訪ねると面白いビジネスがあるとショッピングモールに連れて行かれた。そこにはガラス張りの人通りから見える店舗で、セルフ式のホワイトニングをする人々の姿があった。街を歩く人が笑顔で挨拶してくれる。そんな彼らの口元からこぼれる白い歯が眩しかった。松田にはアメリカでの体験が衝撃的で強く印象に残った。

 日本ではホワイトニングといえば芸能人などごく一部の人に限られていた。「いつかセルフホワイトニングが日本でも習慣となるに違いない」、松田は機が熟すのを待った。

 松田はホワイトニングよりも先に、2001年からリラクゼーションサロン「ルアンルアン」の運営をしている。そこで扱う石鹸は、ハーブの本場タイで研究開発した商品で、どんな成分が身体にいいかなどの知見を広めていた。また、化粧品を製造する段階で、どのOEM工場がどんな強みを持っているかのノウハウが、シロク事業化で役立った。

「実際に独自のジェルやLED照射機の開発に入ってから2年で開業まで漕ぎ着けられたのは、これまでの美容ビジネスの経験があったから」と松田は自信を覗かせる。

 セルフホワイトニングという新しいライフスタイルが、日本の市場にも受け入れられるという自信はあった。しかし、スムーズにここまで来たわけではない。最初の店は、セルフ式30分3980円で試してみたが、思ったように客足は伸びなかった。アンケートを取ると「歯の色や汚れが気になる」という人は多い。ニーズはあるが、ブレイクスルーには至らなかった。

 この失敗を活かし、広くセルフホワイトニングを知ってもらうためには、思い切った価格戦略が必要と考えた。ヘアカット専門店「QBハウス」の成功にもあやかり、10分1000円としたところ、気軽にホワイトニングを試してみたいという客の心を掴むことが出来た。

 吉祥寺店には、完全個室でコース内容を充実させた6000円のプランもある。オープニングキャンペーンで半額にしたが、それでも客は入ってくれなかった。今のところ、客は10分1000円の料金プランを支持していると言える。



1000拠点で株式上場へ

 現在は、東京の吉祥寺、赤羽、町田の3店舗、名古屋に1店の計4店舗だが、今後は新宿、自由が丘、博多や沖縄と人口が多く注目度の高い都市で出店準備を進めている。「早々に関東で100店舗出店し、一気に知名度を上げたい」と松田の鼻息は荒い。

 直営、FC店の他に2つの業態も開発中だ。1つは、集客力のある本屋など店舗の中に展開する5坪程の省スペースのインショップ業態「シロク・イン」だ。面白いところではゲームセンターやカラオケ店から引き合いがある。

 2つ目は、ヘアサロンやネイルサロンなどにLED照射機とジェルを提供する業態で「シロク・プチ」と呼んでいる。加盟金は10万円、1000人分のホワイトニングキットを38万円、月々のレンタル費用1万円で貸し出す。トータルでも50万円以下から導入できるようにした。

 セルフホワイトニングは新しい美容ビジネスとあって、女性誌やテレビ等メディアからの注目度は高い。しかし、雑誌で知り、関心を持っても近くに店がないと熱は冷めてしまう。

「認知度を上げるためには、まずは何よりも実際に体験してもらうこと」と松田は精力的に提携先探しにひた走る日々だ。

「2020年までに新業態を含め1000拠点展開、売上げ100億円、利益30億円を達成し、株式上場が目標」と将来展望について語る。松田の夢は花開くか、今後に注目したい。



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