トピックス -企業家倶楽部

2016年01月04日

急成長する高速ツアーバス市場

企業家倶楽部2011年1/2月号 ビジネストレンド





東京-大阪間が片道4000円!

 
 格安料金を背景に、高速ツアーバスが人気を集めている。金曜日の深夜、東京・新宿駅西口のバス乗り場周辺を訪れると、出発を待つ利用客で溢れていた。大量の夜行バスが次々と大阪・名古屋・仙台など全国各地へ向かっていく。20代の女性客は「価格も安いし、翌朝にユニバーサル・スタジオ・ジャパンに着くので、とても便利。明日が楽しみ」と嬉しそうに語る。

 
 利用客はここ数年急増している。2005年の年間利用客数は20万人程度だったが、09年は約450万人と20倍以上に膨れ上がった。楽天トラベルでは、各社の高速ツアーバスを検索・予約するサービスを05年に開始後、毎年30%から80%増のペースで取扱高が増えている。

 
 なぜ急速に人気が高まったのか。楽天トラベルでバス部門を担当する成定竜一氏は、「人気の秘密は、①低価格 ②ネットとの融合 ③利便性の高さの3点にある」と指摘する。
 

 一つ目のメリットは、何と言っても価格の安さである。新幹線の3分の1程度の価格とあって、若者を中心に高い人気を呼んでいる。人気路線は多くの利用者数がいるので、低価格でも十分に稼げる。

 
 二つ目は、ネット予約である。空席確認や予約を24 時間365日、楽天トラベルや各ツアー会社のウェブサイトで簡単にできる。低価格にできるのも、ネット経由で効率的な集客ができるからだ。
 

 三つ目は、利便性の高いサービス。例えば、大阪から東京に向かう夜行便の場合、大阪を金曜日の夜22時に出発すると、翌朝の8時過ぎに東京ディズニーランドに到着する。「土曜日の朝から一日中ディズニーの世界を満喫できるので、テーマパークを楽しみたい女性客の支持を集めている」と、エイチ・アイ・エスのグループ会社で高速ツアーバスを展開するオリオンツアーの浅見和晶社長は言う。




 各社は独自の企画で利用者を取り込もうと、サービス強化に力をいれている。業界大手の平成エンタープライズは、「VIPライナー」という高級タイプを企画。低反発素材を内蔵した業界初のオリジナル・シートをはじめ、無線LAN対応やトイレ付など車内設備を充実させた。各シートにプライベートカーテンを用意して個室感を演出するなど、快適な車内環境を整えている。同社の田倉貴弥代表は「飛行機のファーストクラス並みのサービスを意識している」と語る。利用の6割を占める女性客を掴もうと、女性のみが乗車できる女性専用車両も増やしている。

 
 高速ツアーバスは、ツアー会社が運営する募集型の企画旅行と位置付けられている。実際は観光や宿泊は伴わず長距離間の移動のみだが、バス会社が運行する従来の路線バス(高速バス)とは違い、サービスや路線や料金を自由に設定できる。業界最大手のウィラー・トラベル村瀬茂高社長は「需要に合わせて対応できるのが大きな強みだ」と言う。

 
 同社は市場拡大を追い風に積極的な展開で規模を拡大。年間利用者数は、06年の約31万人から毎年30万人規模で増え続け、09年は約135万人を達成した。10年は約180万人を見込む。売上高は07年12月期の約35億円から09年12月期は約65億円と急伸している。現在約100都市を200の便で結ぶが、今後は6大都市(東京、大阪、名古屋、仙台、広島、福岡)を中心に全国規模で路線数を拡大する方針だ。

 
 高速ツアーバスは2000年の道路運送法改正で新規参入が容易になり、現在は約50社がしのぎを削っている。市場が拡大する一方、競争激化で交通事故や労働条件の悪化が課題になってきた。そこで08年10月、各主要会社が一堂に会し、高速ツアーバス連絡協議会を設立、安全性の向上などに力を入れ始めた。今後は、強みの価格力に加え、独自のサービス展開と安全性の高さが、各社の生き残りと市場拡大を左右するだろう。



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