トピックス -企業家倶楽部

2016年05月11日

企業の規模は社長の志で決まる

企業家倶楽部2016年6月号 視点論点


 企業の規模は何で決まるのだろうか。その会社のおかれた環境で決まるのだろうか。あるいはライバル会社で決まるのだろうか。私は社長の志で決まると思う。

 その社長が年商100億円でいいと思えば、100億円で終わるだろう。1000億円にしたいと思えば、簡単ではないにしろ、実現するだろう。1兆円の大風呂敷を広げれば、一生涯をかければ何とかなるだろう。

 孫正義社長が言っていた。「私が出来ると言ったから、出来るのだ」。経営トップの気力、気迫がその企業の規模を決めるように思う。

 孫社長の発想は借金してでも企業規模を伸ばせるだけ、伸ばしておこうと思っているところがある。2015年9月期現在、売上高は8兆8000億円(2016年3月期に単純に引き直して)、経常利益1兆6000億円(2016年3月期に単純に引き直して)、有利子負債10 兆5479億円となっている。

 少し、借入金が多いように思うが、孫社長は「心配ない」と思っているのだろう。ここが常人とは違うところで、目いっぱい借金している。

 確かに経常利益が年間1兆6000億円あるので、返そうと思えば6年間くらいで返せる。「それより今は企業規模を伸ばすべき」と思っているのだ。孫社長は現在、58歳だが、60歳までは拡大志向で行くかもしれない。セコムの飯田亮取締役最高顧問は「(孫さんは)大したもんだ」と感心している。

 もっとも米携帯会社のスプリントでは若干苦戦しているが、孫社長なら何とかするだろう。あまり心配していない。

 プロ野球選手の王選手が引退する時、「以前は鼻歌まじりで投手の一塁けん制球を補球していたが、ある時、うしろにそらす不安が出てきた」と言っていた。そして、間もなく引退した。

「若気の至り」という言葉がある。「若気の至りで、ついしてしまった」と悪いことをしてしまった時に使うが、私は大いに「若気の至り」を行って欲しいと思う。

 22年前に私が独立したとき、北野建設創業者の北野次登さん(故人)はずい分心配してくれた。私はそんな心配をよそに、自信満々だった。私は50歳、北野さんは70 歳、私の行動は「若気の至り」だった。

 もし、私に分別があり、独立するのは危険だと思ったら(事実、大変危険だった)、今の企業家ネットワークはなかっただろう。私は65歳で定年を迎え、悠々自適の生活を送っていただろう。

 しかし、私は無鉄砲で周りの意見をきかず、さっさと日経を辞めた。今思うと「若気の至り」だった。

 しかし、「若気の至り」があったればこそ、人類はここまで発展してきたのではないだうか。人は誰でも必ず死ぬ。それでも、20代、30代の若者は観念では知っていても、「死」を体感しない。

 在原業平だったと思うが、「ついに行く道とはかねて聞きしかど、きのうきょうとは思わざりしを」という詩歌がある。まさか、自分にその日が訪れようとは思わないのだろう。それでいいのだ。

 先日、藤野英人レオス・キャピタルワークス社長のお話を伺った。藤野さんは「希望最大化戦略」をとってほしいと主張した。

 要するに脳天気で、楽観的に行こうということだ。悲観すると、ろくなことはない。楽観的に考えると、うまく行く。「若気の至り」が必要だ。

 妙に年寄りじみて、心配性になると、失敗するだろう。自信満々でやれば、大体のことは成功する。

 その意味で大風呂敷を広げないようになったら、要注意だ。70歳になっても、80歳になっても、大ボラを吹こう。

 かくいう私も最近、70歳を過ぎたら、年寄りじみてきたので、自身の反省をこめて「若気の至り」を実践してみようと思う。



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