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トピックス -企業家倶楽部

2016年06月07日

宅配代行を普及させ食文化を豊かにする/ライドオン・エクスプレス 代表取締役社長兼CEO  江見 朗 氏 

企業家倶楽部2016年6月号 頑張るしなやか企業


   肩書き、プロフィール、会社概要等は掲載当時のものです。

   

 



主力「銀のさら」で宅配寿司シェアNo.1

「お寿司が届いたよ!」

 日本人にとって、大きな寿司桶に美しく並んだ出前寿司は、少し贅沢な一家団欒のイメージだ。この市場において45・9%というダントツNo.1のシェアを誇るのが、宅配寿司「銀のさら」を展開するライドオン・エクスプレス(以下ライドオン)である。率いるのは寿司職人の経歴も持つ江見朗。2013年に東証マザーズへ上場、15年には東証一部へ市場変更を行い、16年3月期決算で売上高172億5400万円、経常利益11億7500万円を見込む。

 末端売上げの80%を占める「銀のさら」が有名だが、その他にも宅配事業として釜めし「釜寅」、カレー「CURRYCARRY」、とんかつ「あげ膳」、高齢者用弁当宅配「銀のお弁当」、値ごろ感のある「すし上等!」などを手掛け、総店舗数は676店舗(15年12月末現在)を数える。



サンドイッチ店から創業

 23歳で単身渡米した江見は7年に渡る米国での生活に見切りをつけ、1990年に故郷の岐阜へ帰還。米国における寿司職人の経歴が買われ、板前として働き始めたものの、30歳を過ぎて年下の板長から叱責を浴びる毎日だった。そんな中で仕事の後に一息つける場所となったのが、外国人の多く出入りするショットバー。そこで、現在ライドオンの取締役副社長兼COOを務める松島和之と出会う。

 同社の前身となる「サブマリン」は1992年、岐阜県で創業。家賃8000円、築50年の建物を借り、松島と二人でサンドイッチ店としてスタートを切った。商品をサンドイッチにした理由について、江見は「人脈も学歴も根性も無かったから」と冗談めかして語るが、在米中、フランスパンに切り目を入れた「サブマリンサンドイッチ」の美味しさに感動したことが発端だ。当時こうしたサンドイッチ店は日本未上陸。「それに、当初から多店舗経営を志向していましたので、調理をシステム化できる点は強みに映りました」と江見は振り返る。

 売上げを伸ばすために移動販売を始めると、これが大当たり。フランチャイズ(FC)による多店舗化を狙い、95年には株式会社サブマリンを設立した。名古屋などにも出店し、16店舗まで増えていったが、夜になるとパッタリと客足が止まる。これを解決すべく、サンドイッチ店の狭い厨房で作れるものをと考えるうち、ふと我に返った。

 「待てよ、自分はもともと寿司職人だったじゃないか」



東京へ本社を移転し全国へ

 こうして98年2月に参入した宅配寿司「寿司衛門」は、好調に業績を伸ばしていった。同年10月には本社を名古屋へ移転。解凍技術にこだわったネタは、回転寿司の2倍ほどの大きさで、しかも美味しいと口コミで広がった。業態名を「銀のさら」へと変更すると売上げはさらに伸長。30店舗ほどの段階で全国展開を目指し、2001年7月に東京へ進出、レストラン・エクスプレスを設立した。

 「東京1号店の初代店長は私。ちらしの作成や配布に加え、寿司も握りました」と江見。同年10月からFCを募ると、1年後には瞬く間に200店舗に至り、現在「銀のさら」は360店舗を超える。04 年には宅配釜飯の「釜寅」を開始、13 年に社名を現在のライドオン・エクスプレスに変更した。

 組織が急拡大し、従業員数はアルバイトを含め現在2000人以上。FCを含めると7000人を超える。そうした中、江見は宅配ビジネスの難しさを「社員の働く様子が見えにくいこと」と説く。確かに、ちらし配りも配達も行うのは一人。手を抜こうと思えば簡単に可能だろう。また、お客とのコンタクトは注文時の電話応対や配達時の玄関口など短い時間。現場スタッフの高い意識とモチベーション無くして、高水準のサービスは成り立たない。

 自発的に現場のスタッフが働くには、本社、社員、アルバイトの信頼関係が構築された組織風土が不可欠だ。「組織作りとビジネスモデル作りを両輪で行ったからこそ、現在の弊社がある」と江見は語る。



怒らない経営

 では、その組織作りの秘訣は何か。江見の信条は「怒りは悪」。「怒り」は生産性を下げ、人間関係を壊し、不合理であると説く。大前提としてあるのは、正しい人間観は「人はみな平等であり、人生の目的は幸せになることで、そのために仕事をする」という考え。否定されることも多いが、江見は「怒らない経営で実際に結果が出ていることは、うちの業績を見てもらえば分かる」と胸を張る。

 江見がこうした信念を持つようになったのは、起業して1年後のこと。事業が軌道に乗らず、パートナーに対しても疑心暗鬼な毎日を送っていたが、ある時「疑う暇があったら全て信用し、尊敬して任せよう。もし傷つけられるようなことがあったとしても、それも全て受け入れよう」という気持ちになったのだという。東京進出からわずか15年で東証一部上場まで成し遂げられたのは、「この人間観と仕事観を社内で共有できたのが最大の要因」と言い切る。

 またビジネスの上で一番怖いのは、最後までやりきれずに、失敗の原因が不明のまま、改善が行われず成長が止まってしまうことだ。だからこそ、同社はヒューマンスキル(人間力)に重きを置く。「何をやるかではなく、誰がやるかが重要」と江見。「ヒューマンスキルの高い人間は上手く仕事を成し遂げるか、仮に失敗しても原因を明らかにし、次へのステップに出来る」と説く。



宅配代行を事業の柱に

 約1.7兆円と言われる寿司市場。ライドオンが拡大する余地はまだまだ大きい。「銀のさら」の収益力向上のため、ネタの上質化、高価格の新メニューを追加するなど、次々に施策を行っている。さらに、値ごろ感のある新業態「すし上等!」をスタート、2015年11月には100店舗展開を達成した。

 同社が中期の目標として掲げるのが、宅配代行サービス「ファインダイン」の事業拡大だ。通常は出前をしていない飲食店の注文、配達、精算を請負うもので、現在18エリアで展開中。外食の店舗は、基本的にお客が来なければ売上げが立たないが、このファインダインの提携店舗となれば、設備投資ゼロで店の規模に関わらず売上げを伸ばすことが可能となる。これまではチラシなどでお客を呼ぶことから始めなければならなかった個店経営の店なども、まず食べてもらえるのだから、一番の宣伝となろう。

 江見は「ただ座して客を待つだけでなく、届けることをお手伝いできる。店側からもお客にアプローチが出来る飲食店文化を普及させたい」と意気込む。目標は加盟10万店。「銀のさら」と店舗設備・物流インフラ・食材・人材・顧客データなどを共有する複合化の検証も渋谷で行い、店舗拡大に備えている。

 最大の障壁は、既存には無いサービスということ。店側、お客側共に認知度アップが急務の課題だ。「このサービスが普及すれば、私たちが現在主力としている宅配寿司すらラインナップの一つになる」と江見は言う。

 将来的には宅配代行サービスに留まらず、ビッグデータや宅配ならではの「顧客の自宅との接点」を武器に、様々な企業と客を結ぶハブを目指しているライドオン。提携先は物販、コンビニエンスストア、警備会社、金融など、挙げればキリが無い。同社は徐々に、「お寿司」から「宅配」の会社へと変化を遂げるだろう。江見の描く未来戦略に、今後も大注目だ。




● 会社概要●

社 名:株式会社ライドオン・エクスプレス

設 立:2001年7月

資本金:9億5043万円    (2016年3月31日現在)



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