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トピックス -企業家倶楽部

2016年07月07日

家族一丸世界を駆ける/ストライプインターナショナルを支えるスタッフ

企業家倶楽部2016年8月号 ストライプインターナショナル特集第4部


石川康晴が新たに掲げたストライプインターナショナルという旗の下、全国各地で奮闘する社員たち。その活躍はアパレル業に留まらない。同社を支えるのは、平均年齢26歳という若さ。彼女たちは、「人は企業の調整弁ではない」と語る石川の大事な家族でもある。そんな石川ファミリーはどのような夢を描くのか、その挑戦心に迫る。



石川が誇る「最後の砦」

専務取締役兼COO 営業統括本部長 立花隆央 Takahiro Tachibana

石川が誇る「最後の砦」


 14年前の表参道、とあるビルの地下。窓も無い10坪足らずの事務所で、壮大な夢を語る男たちがいた。後に売上げ1000億円超を誇る企業に成長するストライプ(当時クロスカンパニー)の社長、専務を務める、石川と立花である。一見、異なる性格のように思える二人だが、本質的な部分で通ずるところがあった。

 一つ目は、熱さだ。立花が入社して半年ほど経った折、二人は今後の方向性や目標について社内で語り合った。気付けば、話し始めてから8時間。しかし、「あっという間でしたよ」と立花は笑う。「昼食をとるのも忘れていました。気が付いたら外が暗かった」。そう言って懐かしそうに目を細める立花。彼と石川の情熱が、見事に共鳴したのだろう。

 二つ目は、芯の強さだ。これと決めたら、自分の定めたゴールに向かって最善の手を考え抜く。

「石川はまず、目標を明確にします。そして、それに向けて走りだし、もし壁にぶつかったら、原因を分析してより良い形でまた走りだす。そうして是が非でも目標をクリアしていく人です」

 一方の立花にも同じことが言える。彼は入社して二カ月後、「お客様が一番喜ぶものを作りたい」と決意し、自社ブランド「イーハイフンワールドギャラリー」の改革に乗り出す。つい最近まで外部の人間だったことを武器に、短所を徹底的に洗い出した。

 立花が目指したのは、品質、価格、トレンドの全てを強みとする商品。「やるからには絶対やり遂げたかった。常にどうすれば良いのかを考えて、戦略をその都度練り直しました」。絶対的な目標に向かって決してブレず、しかし柔軟に突き進む力。これは、二人が持ち合わせる大きな武器だ。

 そして三つ目は、志の高さである。二人が共に目指すのは、国内にとどまらず国外への店舗拡大。そして、アパレルだけではなく、衣食住すべてを手掛けるライフスタイルカンパニーに成長することだ。

 それに向けて食の分野では、秋に自由が丘にオープンするアパレルブランド「KOE」の新店舗にサラダショップが併設されるなど、すでに動きが始まっている。さらに住の分野では、生活雑貨を中心に事業を手がけている。

「将来的には衣食住それぞれの分野に大きく進出している会社にしたい」と語る立花。その他にも、より多くの人にストライプの商品を届けたいという想いから、実際に店舗まで足を運んで購入してもらわずとも済むよう、通販サービスの強化にも注力する予定だ。

 共に手を携えて歩いて来た二人だが、不思議と意見のぶつかり合いが起きたことは無い。「喧嘩をしたことは無いですね。目指す方向性が同じだからでしょう」と立花は言い切った。

「立花が駄目だったら、本当に駄目だから。あいつは最後の砦だから」

 石川は周囲の人間に、日頃からこう話しているのだという。

「嬉しいですね。こう言って信頼して任せてもらっているから、自分も120%の力で成果を出して返そうと思う。石川は厳しい人ですが、その中に本当に優しい部分があります」

 現在は、お互い話さなくとも考えていることが分かるという立花。最後に石川へのメッセージをもらった。「経営理念がセカンドファミリーですから、困難があっても力を合わせていきましょう」

 14年前とは比較できないほど会社の規模は大きくなり、延々と8時間も語り合うことは無くなった。だが、石川と立花の堅い絆と信頼は、今も変わらずここにある。



「攻める」財務が土台を作る

常務取締役兼CFO 管理統括本部長 張替 勉 Tsutomu Harigae

 「攻める」財務が土台を作る


「世界一を目指してとことん突っ走っていかないか」

 現在ストライプの財務を取り仕切る張替勉は、石川のこの言葉に口説き落とされた。

 張替は当時、みずほ銀行に勤めており、M&Aのフィナンシャルアドバイザーとして現場を率いていた。安定した収入や保証された生活に不満はなく、「銀行を辞めるつもりはほんの欠片もなかった」と明かす。しかし、石川の口から出る野望や明確なビジネスのビジョンは、張替を強く惹きつけた。「日本のアパレルオーナーで、ZARAやGAPを打ち負かせなんて言う人は聞いたことがなかった。とんでもない人だと思いました」。そして、石川の高い志に感銘を受けた張替の心は次第に一つの方向に固まっていく。「この人と一緒に仕事がしたい。彼の夢に賭けてみよう」。こうして、張替は周りの批判を受けながらも、2009年、銀行を退職。世界一への挑戦が始まった。

 張替はストライプと前職を比較し、「全く違う文化だと感じた」と入社当初を振り返る。当時彼は、人事、総務、財務、法務、労務と幅広く仕事を任されていたが、人事は特に難しく失敗も多かった。本来は、顧客がそれぞれのイメージを持って来店するので、スタッフはそのブランドに合った人でなければならない。しかし、張替が採用するのは体育会系ばかり。「金融の頭しか無いので、アパレルの人事が分からなかった」と自身の失敗を語る。しかし、石川は失敗をただ単に怒ったりはしない。「仕事の失敗は仕事で取り返せ」。石川はそう叱咤激励し、張替の背中を押した。失敗を怒りはするが、決して引きずらない。これが石川の長所だ。

 張替はこの他にも石川の強みをこう分析する。

「とにかく現場を見る人です。その点は全社員の中で一番でしょう。動線やスタッフの接客状況だけでなく、店長による部下への面談のあり方まで見ます。とにかく現場に行け、とよく言われました」

 役員が率先して現場に出向くことだけでも珍しいのに、なんと石川はレジ打ちまでするというから驚きだ。徹底して現場にこだわることで、店舗のオペレーションやお客からの見え方を肌で感じる。これが石川流だ。

 このこだわりは石川の核である「スピード経営」にも繋がる。「現場を見て店舗の状況が分かるからこそ、即断即決で物事を決めることが出来るのです」。特に中国の市場は、迅速な判断が求められる。その場で決めなければ交渉自体が成立しないことがほとんどだ。朝令暮改を当たり前に思って、その時々で最良の決断を下せる力は何よりの武器だろう。

 石川の「現場を見る」こだわりが最もよく現れているのが、元日の福袋販売だ。これは部署を問わず、全社員が出勤して行われている。その徹底ぶりには驚くばかりだが、「恒例行事ですよ」と張替は屈託なく笑った。石川のこだわりが、会社全体の経営基盤になっていることが伺える。

 今、まさに世界一へ駆け上がらんとするストライプ。今後の展開から目が離せない。財務と言えば地道で堅実な印象を抱かれやすいが、張替は「攻めて行きますよ。財務は攻めの部分ですから」ときっぱりと言い切った。そして力強く、「事業部のメンバーとは違った視点の提案もどんどんしていきたい。そして、絶対的な信頼を得るCFOになりたいです」と胸を張った。

 その張替の目が見据えるのは未来。今この瞬間も、彼らの世界一への挑戦は続いている。



真のセカンドファミリーを作る

取締役兼CHO 人事本部長 神田充教  Mitsunori Kanda


真のセカンドファミリーを作る


  P&G、マッキンゼーに勤め、ファーストリテイリングではEコマースの立ち上げ責任者を担当。さらにアスクルからストライプへ。

 ヘッドハンターから「すごい社長のすごくいい会社」と聞き、石川康晴に会って「ビビッときた」と語る神田充教は2013年11月に入社。社長室、経営企画室を経て、現在は人事本部長を務める。

「入社後2カ月間は余計なことを言わず、黙っていました。会社の歴史へのリスペクトからです。石川からは後に『2カ月間黙ってたよね。偉いね』と言われました(笑)」

 ただし、その2カ月の中で唯一、神田が石川へ提案したことがある。それは社員同士が役職ではなく、「さん」付けで呼び合うこと。最初のうちは却下されたが、今ではそれがストライプの流儀となっている。それも含め、神田が「ライフワーク」と語るのは社内の「風土改革」だ。

「ストライプはこれまでトップダウンで伸びてきた会社です。でも石川は私にこう言いました。『この会社を北朝鮮から自由の国アメリカにしたい』と。ボトムアップ型の組織風土を作るためには下を育て、力を付けねばなりません。同時にお客様第一主義から“セカンドファミリー”への浸透活動も、私の大事な仕事です」

 ボトムアップのためには神田が責任者を務める採用や教育の充実が必須。その採用方法にも大きな変化が現れた。これまでは500~600人の新卒面接は石川が自ら行なっていたが、遂にそれをやめたのだ。

「新卒の面接は“聖域”でした。でも石川には、世界展開へ向けてイノベーションを起こすためにこそ力を使って欲しかったのです」

 採用する人材の条件は、セカンドファミリーの理念に共感できること。入社後の彼らの教育のためには中間、上級管理職を石川レベルへ成長させることも必要だ。現在、石川自身が京都大学大学院へ通う他、3名がMBA取得支援制度を使って勉強中である。

「社員のためにはもちろん教育プログラムもありますが、それ以上に石川や管理職クラスの社員が平日、仕事後に勉強をしている姿を見せることが一番の教育ではないでしょうか」

 さらに神田は社員同士のコミュニケーション活性化を促進する「ハーモニー・プロジェクト」のリーダーでもある。最近の活動の一つが、ストライプの廊下に飾られた本部の全社員による「私の一番大切なもの」の写真パネル。毎日帰宅後、家族のために腕を振るう“料理男子”神田が笑顔で持つのは調理道具だ。

「仲間の顔と名前だけでなく人となりまでを知り、会話のきっかけとなるようにと考えたものです。2カ月限定企画だったので、一度パネルをはずしたら、石川から『なんではずしたの?また貼ろうよ』と言われ、今では常設しています」

 その石川について神田はこう語る。

「右脳と左脳のバランスが絶妙。もともと感性系の人ですが、自分を客観視する能力があるから勉強を続けるのでしょう。常々、『万能人になりたい』と言っていますから。それに今回、社外取締役に錚々たる方々を3名も招いた。“お友達内閣”ではなく、自分と違う人や、ときには辛口に意見してくれる人と積極的に関わろうとする姿勢は尊敬に値します」

 そんな石川に率いられる社員がまた素晴らしい、とも神田は言う。「アパレル業界は変化が激しく、石川の指示が一夜にして180度変わることもある。それを当然のことと理解し、スピード感を持って柔軟に対応できる社員達がいることが、ストライプの大きな強みです」



共に未来を“妄想” する

取締役兼CTOWeb&Technology 部部長 松村映子 Eiko Matsumura

共に未来を“妄想” する


 現在ストライプの技術責任者を務める松村映子。グループ会社「バスケット」の代表取締役社長でもある。そもそも、この宅配クリーニングサービス会社は松村自身が作った企業。しかも起業は2社目というから驚きだ。そんな若き女性経営者の原点は、中学時代に遡る。

「今のように安くて可愛い服が無かった当時、自分で洋服を作って友達に売っていたんです。『もっと売りたい』と思い、今でいう掲示板のような口コミサイトに掲載したら、知らない人にも買ってもらえました。それで『これからはインターネットが来る!』と、可能性を確信したんです」

 その思いの下、大学では情報工学を学び、2011年、レディースファッションの販売会社を起業。だが、なかなかうまくいかず、コンサルティングの仕事をしながら、クリーニング業へシフト。2014年4月にバスケットを創業した。「私は服飾やクリーニングに携わりたかったのではなく、インターネットの事業を展開したかったんです。そして、それを通じて快適なライフスタイルを作りたかった。宅配クリーニングを選んだのも、自分の服をクリーニング店へわざわざ持って行き、再び取りに行くのがダサイと思ったから。宅配を使って自分の時間を作る方がスマートでしょう」

 物を売るのではなく、ライフスタイルを売る。物よりも大切なのは哲学やカルチャーだ。それはまさに今、石川康晴が熱く語っていることそのもの。バスケットがストライプのグループ会社になったのも、その共通点ゆえだ。

「最初は資本提携という話でした。でも石川と初めて会った日に色々と話すうち、『やりたいことがこんなに似ているなら、一緒にやろうよ』と言われたんです。考えた末、2015年5月にグループ会社となりました」

 現在、ストライプで松村が統括しているのはEC事業とメチャカリ事業。ECはストライプクラブの運営・企画・販売の他、楽天やZOZOTOWNなどとの交渉も手がける。売上は実店舗よりもまだまだ小さいが、今後は店舗ともより連携しながら注力していく。

 一方、メチャカリはアパレルメーカー初の日常着レンタルサービス。月額5800円で常時3着までなら新品を何度でも借りられる。現在、会員は数千名。松村によれば「やればやるだけの効果があり、面白い事業」だが、思ったよりも伸びていないのが現状で、認知度を上げるのが最重要課題だ。そんな業務に共に向き合う中で、松村は石川の能力に驚かされることが多いという。

「元々は異業種であるネット事業にもしっかりキャッチアップし、的確に分析する力はすごいですね。知識も幅広いし、とにかく勤勉で真面目。その石川の生き写しのように、真面目で服が好きな社員が多いのも驚きでした。だってサボってる人が一人もいないんですから(笑)」

 そう話す松村は社内で数少ない、石川と“バトル”のできる存在。もちろん建設的な話し合いだが、「私は楽しいけど、周りはヒヤヒヤしているみたい」と笑う。

 さて、初めて会った日から意気投合した二人。松村は今、こう語る。

「私、未来を妄想するのが好きなんです。それは石川も同じなので、よく一緒に未来の妄想話で盛り上がります。私はまだまだ実力不足ですが、石川の力を借りれば高い確率でその妄想を実現できると信じています。だから石川にはこう言いたいですね。『妄想を実現しましょう!新しいライフスタイルとテクノロジーを作るというビジョンを』、と」



次は売上げ1兆円100年先の夢を見る   

取締役 経営企画室長 松本真佐人 Masato Matsumoto

次は売上げ1兆円100年先の夢を見る   


 松本真佐人の前職はストライプインターナショナルの主幹事証券である、みずほ証券。IPOを中心に手がけてきた。2013年7月にストライプが上場を目指すと決めた時、その準備を担当するため、みずほ証券から出向。常駐で働くうち石川康晴と管理本部長の張替勉から「ぜひ来ないか」と誘いを受け、2016年2月1日に転籍した。

 みずほで10年勤めた今、新しいチャレンジがしたくなったと言う松本。証券会社のIPO担当として多くの経営者と企業を見てきた彼の目に石川とストライプはどのように映ったのだろうか。

「オーナー経営者には偏りが多いものです。慎重、大胆、ロジカル、エモーショナル……。その中で石川のバランスの取れた多面性と奥深さは印象的でした。正直まだまだ分からない部分もありますが、それも大事。私が言うのも僭越ですが、役員からも『何を考えているか分からない』『怖いところがある』と思われる人の方が、伸びしろがあるのではないでしょうか。きっとソフトバンクグループの孫正義社長だってそうでしょう」

 一方、ストライプの社員については、こう話す。「店舗を含めると、全社員の平均年齢は26・2歳。でも思ったより浮ついていません。アパレル業界で若い女性が多いと華やかなイメージがありますが、仕事の意識が高い。社員にも『現場が一番大事。本社本部は店舗のサポート』という大原則が浸透しています。本社本部の人間はつい自分達の方が偉く思えてしまうし、本社のための提案をしがちですが、石川は必ず『それは店舗の子にどういうメリットがあるの?』と訊きます」

 さて、すでに3年取り組んできたこともあり、上場準備と体制は整った。現在、松本の目はすでに上場後を向いている。売上げを3000億円、1兆円と伸ばすためにはどうあるべきか。社名を変更し、事業領域も変えた。だが、全ての面で若い客層の考え方やライフスタイルに寄り添って変わり続け、社内基盤もより整備していかなければならない、と松本は考える。

「トライして反省し、改善してまたトライする。そうしたPDCAサイクルの短さと集中力、現場へ落とし込む力がストライプの強み。それをより発揮していかねばなりません」

 ところで先頃の熊本地震の際、松本はまた石川の印象的な姿に接した。4月16日夜、石川は岡山から12時間かけて自ら車を飛ばし、熊本へ。避難所にいた一人暮らしの女性スタッフを集め、米を炊いておにぎりを作り、社員の実家へも配ったという。

「第一印象はクールでしたが、情が厚く男気のある人なんです。ただ、おにぎりを握って配るのに食品ラップを持参し忘れ、3時間も並んで買ったそうで、『今回の反省点』と言っていました(笑)。おちゃめでもあるんですよね。このエピソードはまさに“セカンドファミリー”。こうした言葉だけが先行する会社が多い中、経営者自らがルールに落とし込んだり行動に移したりすることはとても大事。それでこそ末端にまで思いがしっかり伝わるんです」

 そう語る松本の夢は、100年先の未来にもストライプインターナショナルが存続しており、かつエクセレント・カンパニーとして人類に貢献していることである。

「ハーバード大学のMBAの授業で、本田宗一郎や盛田昭夫と同じく、石川が取り上げられて、その取り組みが全世界に浸透していたら素晴らしいですね。ストライプにいると、そんな大きな夢が見られますよ」



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